運送業で働くトラック運転手は長時間の過酷な労働を強いられることにより、事故が多発している状況です。
長時間労働になる理由は人手不足ということもあり、人を雇用しようと思っても低賃金のため若者で運転手のなり手がおらず、将来が危惧されている状態でもあります。
過酷労働なのに低賃金?
通常であれば人手が足りていないのであれば、給料を上げるなど高待遇で労働者を集めようとするでしょう。
しかし建設業などの業種は給料や待遇の改善が見られているのに運送業のトラック運転手の収入は悪化したままです。
トラック運転手の人で不足は何年も前から深刻な状態なのに、賃金が安いことでいつまでたっても人材が集まらない負の連鎖が続いている状況です。
しかも配達は赤字覚悟?
トラック業界は中小企業が乱立している状況で、強い立場にあるのは荷物を依頼する荷主側です。そのため配達費用も原価割れになることもみられます。
市場シェアを他社に奪われたくない気持ちから、運送業者は赤字覚悟で配達しなくてはいけない状況に追い込まれました。
このように運送業界を崩壊させたのは、規制緩和と自由競争を進めた結果によるものだと言えるでしょう。
過去にはトラック運転手は儲かる仕事だった
長距離トラック運転手の給料は、1990年頃まで当時のサラリーマンの給料20万円台の倍以上でした。労働が辛くても走行すれば儲かるため、若者はトラックに乗って稼いでいました。
しかしバブルが崩壊する前の日本では、運転手不足が深刻となり物流崩壊といわれる状況だったため、政府は運送業の規制緩和を行ってトラックを何台でも増強し運転手も何人でも雇用できるようにしました。
トラック運転手の給料が上がらない理由
その後バブルが崩壊して輸送量は減少。大幅に増えたトラックと運転手が取り残されることになり、それまで40万
円あった給料は半分以下まで減少してしまいました。
このようにトラック運転手の収入が減少しいつまでたっても増えない状況なのは、実は運転手が余っていることにあります。そのため必要になるのはトラック台数規制だと言えるでしょう。
運送業の労働環境が改善されるには
トラックの台数に規制がかかっていたバブル期には、トラック運転手は客の態度が悪いから運ばないと強気の態度でしたが荷主は運転手に何とか運んでもらわないと困るので機嫌を取るといった状況が普通に見られました。
現在のように荷主が強い立場であることは、シェアを失いたくないがために赤字で事業を継続させてしまうことになってしまいます。
今後運送業の労働環境が改善されるには、規制緩和や自由競争を取り止め、トラック台数を規制し、運転手に対しても適切な規制を行うことが必要となるでしょう。