福祉・医療業界:院内感染対策の不備か経営に与える影響

医療機関では、院内の医療安全管理体制の構築が義務付けられています。しかし実際のところは、保健所からの立ち入り検査があった時のために表面上で対策しているに過ぎず、安全管理や院内感染予防に関する対策が着手できていないことがあります。
医療の安全が注目される中で、院内感染対策への取り組みの遅れはいずれ深刻な医療事故を招き経営を悪化させる要因となってしまいます。


院内感染の経路
現実的な経路として考えられるのは、感染症の患者からの感染です。本人が自覚していないことが多いHIV、B型肝炎、C型肝炎など、問診だけで感染症を把握することは困難です。対策が完全でないことからも、血液検査を実施する病院もあります。
病院で行うべき対応は?
治療現場で出血を伴った外科的処置を行う場合には、A型肝炎やB型肝炎などが治療器具を介して感染することを防ぐことが必要です。患者だけでなく医療スタッフに感染することにも注意しましょう。
保健所検査での改善指導
病院を新規開業する場合には保健所検査として「医療安全管理指針とマニュアル」「院内感染対策指針とマニュアル」を常備しているか確認している地域もあります。
この地域では、もしも常備していなければ指導を行い、常備している確認が取れなければ開設届出済証の交付が行われないという徹底された取り組みをしているようです。
そのため現在病院でマニュアルなどが整備されていないのであれば、これら2つの指針とマニュアルの設置を行いましょう。
感染対策が遅れると経営に影響を及ぼすリスク
院内感染が出た場合、その病院の評判は一気に落ちます。保健所から改善指導が行われ行政処分が下されるだけでなく、感染を受けた患者から損害賠償を求められる医療訴訟を起こされる可能性も否定できません。
感染事故から守るのは患者だけではない
感染事故から守られるのは患者だけでなくスタッフにとっても同じです。対策が講じられていればスタッフに安心感を与えることができれば定着率も高まるでしょう。
患者の病院選びの動機へ繋げることができる
患者が病院を選ぶ基準として、医療安全管理、院内感染予防に対する取り組みがなされているかがポイントです。

積極的に対策に取り組んでいる姿勢が見えることが患者の安心感へと繋がり、受診する病院として選択する動機へと繋がるでしょう。
・患者へのアピールポイントは?
一般医療用具はしっかりと洗浄・消毒・滅菌されていることが必要です。病院が感染症対策に取り組んでいることを患者にアピールするためには、手洗い、マスクなどの予防対策の実践、マニュアル策定と活用、院内研修と外部研修への実施と参加、院内感染委員会の設置と活動報告書の作成などを行うことが良いでしょう。
誰もが安心できる病院を目指して
実務的な院内感染予防対策は、清掃、治療器具などの洗浄・消毒・滅菌、院内感染経路の遮断です。
どのように取り組んでいくかなど、スタッフの意識付けについてはその病院の考え方や理念が重要になるでしょう。