企業経営に大きな影響を及ぼす未払い残業代

近年、企業の残業代が支払われていないことに対して、従業員や退職した人が企業に請求するといった動きが見られます。
労働基準監督署に対する申告件数、是正勧告件数、訴訟などの請求件数も急増している状況ですので、未払い残業代の問題は企業経営に影響を及ぼすことが十分に考えられます。
そのため未払残業代の請求が急増している実態を理解し、それによって企業がどのように対応していくべきかを検討していく必要があるでしょう。


未払残業代の請求者が急増している理由は?
未払残業代を請求する動きが高くなっている理由として、終身雇用制が崩壊したことがまず1つとして考えられます。
これまで就職すれば一生涯その会社で働く終身雇用制が一般的でしたが、企業も生き残りをかけてリストラを実施し、さらに給与の伸びも期待できなっています。
終身雇用制の崩壊は退職金にも影響し、必ず受取れるわけではないという状況になったと言えます。
転職を行うことも珍しくなくなったことが、在職中には請求できなかった未払い残業代を退職後に容易に請求できる状況を作っているとも考えられるでしょう。
未払残業代が請求される方法
是正勧告によって事業主に未払い賃金を支払うように促す方法や、労働者が労働組合に加入して会社との団体交渉により請求されるという方法などが考えます。また、労働者が原告となって裁判所で訴えを起こすというケースもあります。
このような是正勧告や訴訟リスクを回避するために、次のような対策を講じておくようにしましょう。

・振替休日を活用する方法
無駄な時間外労働を発生させないために振替休日を活用します。振替休日は休日として定められた日と事前に特定した労働日を振り替えることで、代休は休日労働後に以降の労働日の労働義務を免除することですので目的が違います。
振替休日でも同一週内での振替処理でなければ、週法定労働時間を越えた部分の割増残業代支払いは発生しますので注意しましょう。

・変形労働時間制の導入する方法
事業所の実態に応じて1か月単位や1年単位の労働時間の配分を行い労働時間の短縮を図る方法です。業務の繁閑に応じた柔軟な労働時間配分が可能です。

・フレックスタイム制を導入する方法
総労働時間内に始業や終業の時刻を労働者に委ねるという制度で、効率的な労働時間管理が可能です。注意が必要なのはフレックスタイム制での出退勤時刻は1分単位であることです。

・みなし労働時間制の導入する方法
時間外労働の計算は行わないで一定時間労働したものとみなす制度です。1日単位で設定し所定労働時間労働したものにする場合と、一定時間残業したとみなす場合があります。ただしみなした時間以上に働いた場合には、超過した時間に対する残業代の支払い義務が生じます。
企業が時間外労働に対処するために
企業は残業代未払いに対する問題を解決するための策を講じ、問題を解決するためにも正確な労働時間の把握をして時間外労働を抑制していくことが必要になると言えるでしょう。
後で未払い残業代を請求されると、賠償請求問題にまで発展し多大な損失を被ることにもなり兼ねませんのでしっかりと対策をしていきましょう。