負債よりも資産のほうが上回っている状態で、経営していく余力はあるのに自ら会社を廃業や休業、閉鎖してしまうことを「隠れ倒産」といいます。
この隠れ倒産に至る背景として、近年では経営者の高齢化、後継者難、人材不足などが多く見られます。
会社を廃業する選択を選ぶなら?
もし会社を廃業や休業することを検討するなら、清算価値の現状を把握することが必要です。
会社は債務超過に陥っていないか、債務の保証人の状況、不動産の担保状況、在庫、超過金額はどのくらいあるのかというように確認しておくことはたくさんあります。
棚卸しを行いお金の流れなども踏まえた上で、事業をいつ停止させることが良いかを考えて行くことが必要でしょう。
ただ会社を閉めれば解決するわけではない
そして最も大切なのは従業員の整理です。しっかりと説明を行って理解を得ておかなければ、労働問題に発展する可能性もあります。
債務超過の問題についても、中小企業の場合には経営者が連帯保証となっているため、廃業したいけれどできないというケースもあるようです。
様々な費用負担が発生する可能性も大
また、黒字企業だとしても清算していくことは容易ではありません。在庫は叩き売り価格になってしまいますし、生産設備は価値を無くすだけでなく処分するための費用が発生するとも考えられます。
廃業するまで操業赤字に耐えながら、従業員の退職金なども支払う必要があるなど費用負担は大きくなります。
会社を存続したいけれど後継者がいない場合
後継者が見つからないのなら廃業するしかないと考えてしまう経営者は多いようですが、方法は他にもあります。
自転車操業で債務が重なり破産するしかないという状況ではなく、単に後継者が見つからないことが理由で廃業を決断しようとするのならM&Aという方法も選択肢の1つとして検討しましょう。
例え直近の業績が赤字だとしても、高い技術力が評価されることで譲り受け企業が見つかることもあります。
M&Aとは?
企業の合併買収をM&Aと言いますが、別々の会社が1つの会社になることを合併、会社が別の会社を買うことを買収といいます。
後継者問題や経営基盤の強化、事業領域の拡大などの有効な手段として活用されている方法です。
経営余力があるのなら別の選択肢も必要
経済や社会などの枠組みの中で後継者問題を考えていくなら、会社を閉める行為は避けるべきだと言えるでしょう。雇用の機会、培った技術やノウハウを失うことになるからです。
後継者不在による隠れ倒産は経営の余力がある状態での倒産ですので、活用できる方法を利用するなど会社存続の道を探っていくことが必要でしょう。