介護現場で主役になるのは利用者、そして介護職員です。人と人との関係で構成されるため、良い介護を提供したいのなら理念や理想だけを追求するのではなく利用者と介護職員の満足度が高まっているかを確認する必要があります。
介護現場は人手不足の状況であるのは、介護職員の不満や悩みが溜まりやすい職場環境であることが理由であるとも考えられるでしょう。
理想を追い求めるあまり介護職員に無理をさせていないか?
理想を実現しようと介護職員に無理をさせていないでしょうか。有給休暇を取る暇もなく、サービス残業や休日出勤などが当たり前の状態であれば、心身が疲れ果てて段々追い込まれていくと考えられます。
しかし理想を実現できないのならダメな社員だとレッテルをはられてしまうので、結局現場に残るのは異議を申し立てることのないイエスマンばかり。そうなると人間関係は悪化し、心身共に疲労だけが重なってもうなずくことしかできない職員だけが働いているという状態になってしまいます。
このように現場の人を無視した状況はとても危険と考えられ、放置したままではブラック企業だと言われる可能性もあります。
職員が悩みを打ち明けられない雰囲気は危険
介護現場では利用者の心身の健康や人権が第一だと考える土壌が大きく、働く人の健康や人権は二の次であるという考えにすり替えられてしまう傾向があります。
しかしこの空気が蔓延してしまうと、働く立場である介護職員が不満や悩みを訴えにくくなり表に出にくくなるでしょう。悩みが表に出ないまま蓄積されていくことで、積もり積もった不満がいずれ爆発突然退職に至ることや労働基準監督署にかけこまれるということに繋がってしまいます。
経営者や管理職は、介護職員に無理をさせている状態が理想だと勘違いしていないかを再度確認してみましょう。
介護職員の労働相談を受付ける窓口の設置を
介護現場で働く介護職員が自らの人生を犠牲にすることや、燃え尽きて心の病になることが果たして理想の介護現場でしょうか。
職員が志した福祉の仕事を通じ、社会に役立ちながら感謝された相応の報酬を給料として受け取ることができ、しっかり休日を取得して当たり前の生活を送れてこそ理想の介護現場だと言えます。
介護現場で介護職員が抱える悩みを、誰かに相談できる風土を作っておくことが必要です。それにより、働き手と事業所との信頼関係が構築できると考えれば、離職率を抑える効果でもあると言えます。
労働相談を受付ける担当者を固定して、直属の上司には相談しにくい空気をまずは払拭しましょう。組織の中に担当者を専属で立てるのなら、相談してもしっかり守秘義務が履行されることで安心して悩みを打ち明けやすくなります。
高まる介護職の人手不足解消のために
相談内容は解決まで時間がかかったとしても、相談者に対して定期的に経過報告を行い、不信感を抱かせない工夫も必要です。
介護職に対する理解がない経営者や事業所は、離職率が高まり人手不足の状態が常に続きます。離職を防止するためにも、介護職に対する理解を示せる職場環境づくりを心掛けて行くことが必要になるでしょう。