会社の業績を伸ばすためには多くの場合顧客数を開拓する必要があります。
BtoCなら個人顧客、BtoBなら新たな企業を開拓することで売り上げをのばすことができます。
そして、この重要な役割を行うのが営業という職業です。
営業の出来次第で会社の売り上げが左右されるといっても過言ではないほど、重要なポジションだと言えるでしょう。
そこで今回は、時代の変化や市場の変化に対応した、いつの時代でも求められる営業のスタイルについて解説させて頂きます。
営業スタイルは大きく変わった
営業といえば、どのような業務を毎日行うイメージでしょうか?
おそらくこのイメージは年齢によって異なるのではないでしょうか。
日本に存在する企業の90%以上は中小企業で、ちょうど中小企業は世代交代のタイミングになっております。
つまり、日本の多くの企業の経営陣は高齢化が進んでおり、その世代の営業スタイルといえば、とにかく顧客の元に足を運び、御用聞きを行う中で関係性を作り上げ、受注を獲得するというものでした。
おそらく現代でもその方法の営業スタイルを行なっている企業も多いではないでしょうか。接待でゴルフなどを顧客と回ったりしていませんか?
このような営業スタイルは現在では合わなくなってきている事にお気づきでしょうか?
実際、このようなスタイルの営業しかやってきていない企業の多くは売上を落としているという事実があります。
営業とは経営と同じで時代の変化とともに方法を変えなければならないのです。
現代求められている営業スタイルとは提案型営業です。
この営業スタイルについては後ほど詳しく解説させて頂きますが、この変化に気づいていないケースが非常に多いようです。
特に、現場に出ている営業マンは気づいていても、その上に立っている上司が昔ながらの方法で営業を行い過去に成功していることから、その成功体験から抜け出せず、自分の部下に向けて同じやり方を求めているような場合も多くあるようです。
これは現場からすれば最悪です。
結果がでにくい方法を強要されているにもかかわらず、結果を求められる訳ですからそんなに厳しいことはありません。
「私は大丈夫だ」と思っている方も、立場が上にいくほど現場の生の声を聞く機会がなくなり、知らず知らずのうちに時代においていかれてしまうようなことがあるため、注意が必要です。
提案型営業とはどのような営業か?
では、次は今の時代に適した営業スタイルについて解説させて頂きます。
現代の営業は提案型でなければなりません。
御用聞きを行うような営業スタイルは言ってみれば、顧客から要望が出るのを待つスタイルだといえます。提案型はこの逆だと思ってください。
顧客が心に持つ本当のニーズや顧客さえも気づいてないウォンツを把握し、それらを実現するような内容を営業が提案するというものです。
なぜ、提案型が今の時代かというと、要望をただ待つスタイルは最終的に価格に落ち着く場合が非常に多くあります。
要するに、「あなたの会社はどこまで安くできますか?」この答えが安いところに発注が入るというものです。
しかし、現在はあらゆる業種業態に競合が存在し、激しい価格競争が至ると事で行われています。
つまり、以前の営業方法ではこの激しい価格競争に入っていくだけで、受注をとれたとしても結果的にプラスになっていないというケースが多々あるのです。
そうならないためには、価格以外で顧客にとってのメリットを作る必要があります。
そこで登場するのが提案型営業なのです。
「この商品を導入する事で御社の◯◯という問題が解消され、さらには△△のようなプラスのメリットもついてくるため、最終的にこれを導入する事で利益が□□アップすることが予測できます」
このような顧客にとってのメリットを具体的に提案することで、そのメリットを得る場合の価格はこれです、といった具体で話を進めることができます。
要望を待つだけの営業スタイルの頃、主導権は間違いなく顧客がもっていましたが、提案型営業では少なくとも対等、もしくは営業側に主導権があるような場合もあるのです。
主導権を持って受注できれば、自社にとっても大きな利益を生むことができます。
提案型営業を行うには知識が必要
さて、これまでで提案型営業の良さはご理解いただけたと思います。
しかし、この営業スタイルに明日から変更することができるかといえば、間違いなく無理でしょう。
なぜなら提案型営業はこれまでの営業方法の延長線上にはないからです。
提案型営業を行うには、顧客をよく知ることが必要です。
売上規模や販管費の比率などはもちろん、集客方法やその業界のトレンドなど顧客を取り巻くあらゆる環境を理解しなければなりません。
言ってみれば、コンサルタント業に近いものに営業はなってきています。
ここまで読んで、そんなの難しくて無理だ!と思う方もいるかもしれませんが、思考法をフォーマット化さえできてしまえばそこからはそんなに難しくありません。
要するに、自分なりの分析方法を作ってしまえば注目する点は絞られるためそれほど分析に時間を費やす必要はないということです。
また、「なぜ?」をうまく活用することも有効です。
顧客の立場に立ってみて、売り上げが落ちている悩みを持っているのであれば、その理由はなぜかを3回ほど繰り返し考えてみるのです。
例えば、1回目の「なぜ」の答えは新規顧客獲得数が減っているだとすれば、なぜ新規顧客は減っているのかを考えます。その答えが、販促の反響率が落ちているだとすれば、次はなぜ反響率が落ちているのかを考えます。
このように繰り返し3回ほど「なぜ」を繰り返せば、大体のことは根本的な問題に辿り着くことができます。
そしてこの根本的な問題を自社の商品やサービスで解消できる提案ができれば間違いなく顧客にとっては喉から手が出るほど欲しいものになるはずです。
提案型営業も競合性が存在する
このように提案型営業を行うことで主導権を持った営業が可能になります。
しかし、提案型営業も向かうところ敵なしかといえば、決してそういう訳ではありません。
提案の質悪いケースについては営業を行う中で上がってくるでしょうからここではあまり触れませんが、意識すべきは競合です。
要するに競合他社も提案型営業を今後行ってくる可能性が高いということです。
つまり、顧客のニーズを把握するだけでなく、競合他社がどんな提案をしているかにもアンテナを貼っておかなければなりません。
これらのあらゆる条件を考慮した上で、自社の商品やサービスを顧客が選ぶメリットを提示する必要があるのです。
つまり、これからの営業マンは非常にレベルの高い仕事が求められます。
しかし、やらなければ結果は残せないですからやるしかないのです。
もし、今はまだ要望を待つスタイルで数字を伸ばせている企業があったとしても、それが先細りになることは誰もが気づいているはずです。
一気に営業スタイルを変えろ、とは言いません。
今のうちから少しづつ提案するような癖付けを行うことで、顧客に刺さるポイントをあらかじめ探っておくことが重要です。
最後にもう一度言います。
万が一あなたがかつてトップ営業マンだったとして、今多くの部下を持っているとすれば、過去の自分のやり方を強要してはいけません。
営業スタイルは時代の変化とともに変わるのです。
今求められるのは問題解決型の提案型営業なのです。