老後の生活を助けるためのものとなるはずの国民年金ですが、年金の受給開始年齢の変更やトラブルの発生に伴い、本当に年金をもらえるのか不安に思ったり、もしくは経済的な理由があったりして、その保険料を未納にしている人もいると思います。
しかし、年金を未納にするということには大きなリスクが伴うのです。
そのリスクについて、考えてみましょう。
差し押さえも起こりうる
まず、保険料という名前から誤解している人が多いのですが、国民年金というのは個人年金とは異なり、加入するかどうかを自分で選べるものではありません。
加入が義務付けられているものなので、必ず加入しなくてはいけないのです。
国民年金の保険料が未納の場合、税金の未納と同じように差し押さえの対象となることがあります。
これは、その可能性があるというだけではなく、実際に行われているのです。
2016年4月から9月にかけて、年金の未納による最終催告状は約6万5千件、督促状は2万件近く送付されています。
そして、財産の差し押さえも5,794件実施されているのです。
もちろん、いきなり財産を差し押さえられるようなことにはなりません。
しかし、年金が未納のままになってしまうと段階を踏んで督促状などが届き、それを無視してしまうと最後には差し押さえとなってしまうのです。
また、国民年金保険料を一度も支払ったことがない、という人は少ないと思います。
年金は保険料の納付期間が10年以上というのが受給資格になっていて、それ以上の期間支払っていれば65歳になった時から基礎年金をもらうことができます。
10年以上保険料を支払っていた場合は、支払い期間が短ければ受給できる金額が減ってしまうのですが、それでももらうことはできます。
しかし、支払った期間が10年に1ヵ月でも足りない場合は、一切年金をもらうことができません。
つまり、年金未納によって支払った分の保険料がそのまま無駄になってしまう可能性もあるのです。
そのため、最低でも受給資格を満たすだけの期間は支払っておくべきでしょう。
そもそも、年金は支払った金額に対して、平均寿命から考えると2倍前後の返戻率となるので、加入しておいて損はしにくい精度なのです。
支払いが難しい場合は?
それでも、経済的な理由などから支払いが難しいという人は少なからずいるでしょう。
望んで未納としているのではなく、未納にせざるを得ないという人には、どのような対処法があるのでしょうか?
支払いが難しい理由によっては、保険料の支払いに猶予を得ることや、免除してもらうこともできます。
その種類には、どのようなものがあるでしょうか?
まず、保険料の支払い猶予を得る方法として、納付猶予制度というものがあります。
この制度は、本人、及び既婚の場合は配偶者のものも含めて、前年の所得が一定の額を下回っていた場合に、本人が申請書を出して承認されることで保険料を納付するまでの猶予期間を得ることができる、というものです。
この制度を利用するには、対象となる人物の所得審査を受ける必要があります。
また、年齢にも制限があり、20歳以上50歳未満の場合のみ、利用できる制度となっています。
学生を対象とした、特例の制度もあります。
この場合は、国民年金保険料を納める本人が学生である場合は、その納付を在学中に限って猶予できるという制度です。
このように、現状では保険料の納付が難しい場合は、納付期間を猶予することができるのです。
それとは別に、納付そのものを免除してもらえる場合もあります。
納付を免除してもらえる場合は、本人と世帯主、および配偶者の前年所得が一定額を下回っている場合に、申請書を提出することで全額、あるいは4分の3や半額、4分の1の割合で免除してもらうことができます。
納付猶予制度と同じような内容ですが、基準となる所得が異なります。
ただ未納としてしまうと大変なことになるため、理由がしっかりとある場合はきちんと手続きをして、納付の猶予か免除を得るようにしましょう。
まとめ
国民年金の保険料は、未納となってしまうと差し押さえなどが行われるというデメリットがあります。
こうしたデメリットを回避するために、未納とならないように注意しましょう。
どうしても支払うのが難しい場合は、納付の猶予や免除も可能なので、こうした制度を利用する場合は、きちんと申請を忘れないようにしましょう。