建設業のリスク・アセスメントは製造業と比較すると難しいと考えられます。製造業とどのような点が異なるのかについて理解しておきましょう。
建設業は作業場や作業内容が一定ではなく、さらに責任体制が明確でないという部分が製造業とは大きく異なります。それぞれについて考慮しながらリスク・アセスメントを検討する必要があります。
建設業は作業場が一定ではない
製造業の場合には作業を同じ工場内で行いますので、変化があるもとしては、作業内容、設備、ライン、材料などで、リスク・アセスメントの実施するタイミングが明確です。
一方の建設業は作業場が毎回変わり、土木建築工事などはトンネルやダムなど年単位になる現場もあります。
数か月程度の工事で現場が同じ場所だとしても、河川敷や斜面などがあるケースや天候で状況が変わるケースもあります。
そのような作業環境の変化でリスクも変わってくるため、それらを想定しておかなければリスク・アセスメントは成り立ちません。
建設業は作業内容が複雑
製造業の場合は作業者1人の作業内容はおおよそ一定ですが、建設業の場合は1日の中で行う作業内容は変化していく傾向になります。
例えば同じショベルを使って掘削作業を行うにしても、作業場所で条件が異なってきますので多種多様の作業環境と組み合わせてリスク・アセスメントを検討する必要があります。
建設業は統括者がはっきりしない
建設業の作業場では下請け業者が複数入っているため、統括は元請け業者ですが個々の作業者まで把握できないことがほとんどです。
リスクを一般化して多種多様な現場で適用させるためには、建設業特有の様々な問題をクリアして行く必要があります。
建設業のリスク・アセスメントはどうすれば良い?
リスク・アセスメントを工事単位で実施する場合には、リスク低減措置も限られた予算内で行うことになりますのでコスト面が関係して対応できないことも多数出てくるでしょう。
建設業の作業については、環境や条件が異なってくるので一様でなく、現場ごとにリスクを洗い出さなければならなくなります。しかし一様でなくても基本の作業方法は共通していますので、その共通する作業は一般化することができるでしょう。
工事単位でのリスク・アセスメントは限界がありますし、元請け業者が出来ることも下請け業者が出来ることも限界があるでしょう。そのため会社全体と作業場それぞれでのリスク管理が重要になるということが製造業と違う部分だと言えます。
ニーズの高まるリスク・アセスメント
建設業のリスク・アセスメントは会社全体で取り組まないといけませんが、責任についての明確化をしておくことや、情報の収集方法などについて事前に決めておかなければ混乱を招くことになります。
比較的事故の多い業種ですので、今後もリスク・アセスメントの必要性は高まっていくと考えられます。