製造物はメーカーから卸売業者を経て小売店に卸し、最終的に消費者の手に渡るという流れ一般的です。
しかし製造物に欠陥があった場合には、消費者が損害を被ることとなり小売店を飛び越えて、直接メーカーに対して損害賠償責任を追及することが可能です。消費者だけでなく損害を受けていれば第三者でも責任を追及できます。
PL法でいう欠陥とは?
製造業者はリコールリスクについて検討しておく必要がありますが、リコールリスクに関係する法律にPL法があります。
PL法での欠陥とは、購入したテレビが突然火を噴いて爆発しケガをしたようなケースがあげられるでしょう。
小売店の責任は?
テレビを販売した小売店に対しては、民法570条で規定されている売主瑕疵担保責任での一定の範囲で責任が認められます。
ただし責任の範囲は多くの場合がテレビ代金程度で、人命や健康に関する救済にはなりません。
販売業者に過失があった場合には、広い範囲で損害賠償されることになるでしょうが小売店は製品の設計や製造まで携わっていないことから欠陥について過失責任が認められることは稀です。
メーカーの責任は?
欠陥品を製造したメーカーが責任を追及された場合、メーカーとエンドユーザーである消費者の間には直接的な契約関係は存在しません。
そのためこれまでのケースでは、民法で定められた不法行為責任による責任を追及されるという「過失責任の原則」による訴えが一般的でしたが、この規定によると消費者側が過失を立証しなければならないことから責任追及は困難な状況でした。
このような困難を避けるため、メーカーに無過失責任を負わせることとして設けられた法律がPL法です。
PL法は個人だけでなく法人も保護する
消費者を保護する目的として作られた法律がPL法ですが、欠陥品によって被害を受けたのが個人ではなく企業の場合でも保護されます。
企業が他メーカーから購入した素材や半製品に欠陥があった場合には、メーカに責任を追及することができます。
そのため企業はメーカーとしてどのような責任を負う必要があるのか、そして逆に被害者となった場合にはどのような責任追及が可能かということを理解しておく必要があります。
責任追及期間の制限
PL法には、被害者が損害賠償義務者を知った時から3年、製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過した場合時効が成立する旨が規定されています。
この10年のカウントについては、物質が身体に蓄積して健康を害する損害の場合、一定の潜伏期間の経過後に症状があらわれた時点から10年として数えます。
そのためリコールリスクに備えるという意味でも、引き渡し時期や出荷時期を記録しておく必要があるでしょう。