いい加減理解しよう。税=財源ではない。

真実の眼鏡

ほとんどの人は、日々の生活の中で様々な税を納めているでしょう。
しかし、税とは何かという点は理解して納めているでしょうか?
税は、国や自治体の財源と思っている人も多いでしょうが、実はそうではないのです。
税の本質について、解説します。

税=財源ではない

近年、ガソリン税が高額になっていることや消費税が増税されたことで、税に対しての関心が高まりつつあります。
また、環境税として炭素税の導入が本格的に検討されている点でも、税とは何かという点に注目されるようになっています。

炭素税というのは、二酸化炭素排出量に応じて税を負担するというものです。
しかし、税が財源であるなら、その税は排出された二酸化炭素を処理して減少させるために使われるべきでしょう。
ところが、実際にはそのようなことを想定しているわけではありません。

また、炭素税と似ているものですでに導入されている税に、石油・石炭税というものがあります。
これはガソリンなどの価格に組み込まれている税で、ガソリンや石油、石炭などを使用する際に税金を支払うことになり、電気や都市ガス、LPガスなどを使用する場合でも負担することになっています。

また、日常生活で特に馴染み深いのが、消費税です。
これは、物品を購入する際にその価格に対して一定の割合でかかるもので、誰もが等しい税率で負担するものです。

消費税は、本来であれば消費活動が過熱した際に、そのままではインフレになってしまうという不安が生じた場合、消費を抑えることを目的として導入されるものです。
しかし、現在の消費税には様々な問題点があります。

現在の消費税は、建前と実態に乖離があります。
本来は、消費に対してかけられる税であり消費者が負担するものなのですが、現時点では付加価値税となっていて、事業者が負担する面も多くなっているのです。

その結果起こっていることが、人件費への負担です。
消費税の負担があるため、事業者の中には従業員の賃金の低下につながっているところもあります。
そのせいで労働者の地位が下がることになり、雇用の破壊にも繋がっているのです。
その結果、経済構造を破壊することにもつながっています。

元々は福祉など社会保障のために使われるという名目で導入された消費税ですが、そのせいで国民の生活が壊れていくのです。
今は、税の本来の在り方について考え直してみるべきでしょう。

税は政策調整のためにある

税金の在り方は、政策調整を目的としているものです。
国や自治体が、これをして欲しくないという行動を制限するために、税が導入されるのです。

先程の消費税でいえば、国民の多くが豊かになり、競うように消費をしていくと徐々に物価が上がり、インフレを引き起こします。
それを避けるために、消費活動を制限する目的で消費税が導入されるのです。

炭素税も、政府が温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというカーボンニュートラル宣言を行ったことで、二酸化炭素の排出を制限するために導入が検討されています。
税金を余分に払いたくなければ、二酸化炭素排出量を減らすよう行動することとしているのです。

炭素税は、既にヨーロッパを中心として導入されています。
世界の中でも先駆けて導入したのがフィンランドで、1990年にはすでに導入されています。
そして、25年でおよそ20%の排出量削減に成功しているのです。

その翌年にはスウェーデンで導入され、2015年までには25%削減されています。
アイルランドでも2010年に導入されていて、大幅な削減にはなっていませんが増加は防ぐことができているのです。

このように、税というのは政府の方針に実効性を持たせて、それにそぐわない行動にはペナルティを科すという形で導入されるものです。
近年は、そのような形での税が導入されるケースが増えています。

しかし、過去に消費税が導入された際は、社会福祉の財源として導入するとはっきり言っています。
これは、税の本質とはかけ離れているのです。

その結果、消費税によって事業者の負担が増え、それが労働者の賃金の低下や雇用破壊へとつながり、経済構造を壊すことになったのです。
そんな消費税が、何故導入されたのでしょうか?

それは、財界の要望に従ったため、といわれています。
本来、政府の施策というのは国をどうしたいか、という国家観に基づいて行われるものです。
政策調整のために税が導入されるというのは、それに則したものです。

しかし、消費税の導入や法人税の減税というのは、その本来の在り方とは異なるものでしょう。
これらは、一部の企業や財界を優遇するために導入されたと捉えることができるものです。

そのせいで、ゆがみが生じて国民の生活に多大な影響を及ぼし、大きな負担となってしまっているのでしょう。
その点からいっても、国家観に即していない税の導入は百害あって一利なしといえるのです。

日本では、炭素税をはじめ様々な税が今後導入されていくでしょう。
また、消費税も増税される可能性はぬぐうことができません。
しかし、政府には税金を導入するにあたって、その目的について考えて欲しいものです。

それが国家観で必要な税なのか、それとも何かしらの便宜を図るために導入されるものかを考えてみるべきでしょう。
そうしなければ、いたずらに国民へと負担を強いることになってしまいます。

また、過去に導入された税に関しても、それが正しくないものであれば即刻廃止するべきでしょう。
税は財源を確保する為ではなく、将来の日本をより良いものとするために導入するべきなのです。
その点を踏まえて、税についてもう一度考え直してみましょう。

まとめ

税金というのは、国民の生活をより良いものとするためにあります。
それは決して、安易な財源確保のためにあるものではなく、生活の在り方を導くためのものです。
そのため、政策調整を目的として導入するべきなのです。
そうしなければ、国民の生活にただ負担を強いることになってしまうでしょう。
そのようなことがないように、新たな税を導入する際はどのような未来を思い描いたものかを考えると共に、不要な税が導入されていないかを考えなくてはいけません。