「資本主義」を正しく理解しよう』

真実の眼鏡

日本は資本主義社会だということは、一般的に言われています。
しかし、資本主義については正しく理解しているでしょうか?
中には、単にお金を持っている人が強い、と思っている人もいるでしょう。
資本主義とは何なのか、正しく理解しておきましょう。

資本主義とは?

世の中には、様々な主義があります。
政治体制においても、日本では国民が主権となる民主主義を掲げています。
そして、経済システムにも資本主義や社会主義、共産主義などがあるのです。

日本の経済システムは、資本主義です。
これは、企業や個人が自由経済活動によって個々の利潤を追求していくことで社会全体も豊かになっていくという思想であり、財産は私有で市場に国家が介入しないという特徴があります。

資本主義は、社会全体が豊かになっていく一方で、その富は平等に分配されるのではなく一部に蓄積されて貧富の差が広まりやすいというデメリットもあります。
しかし、資本主義の本質はそこではないのです。

資本主義の最大の特徴は、資本主義社会において国が破綻することはない、という点です。
といわれても、ピンとこない人も多いでしょう。
その点について、もう少し詳しく解説します。

日本では、よく国の借金で破綻するという話題が出ています。
しかし、これはあり得ないことなのです。
それは、何故なのでしょうか?

そもそも、国の借金という言葉は存在しません。
英語等、外国の言葉でもそれに該当する物はないのです。
その代わりにあるのが「Government debt」、日本語では政府の負債です。

実は、日本銀行の統計でも国の借金ではなく「一般政府の負債」と書かれているのです。
それが、マスコミを経由して財務省から発表される際に変化したのが、「国の借金」です。

つまり、借金をしている主体が国ではなく、政府なのです。
政府が借金を返せなくなる、あるいは金利の支払いができない時に破綻するのは、国ではなく政府ということです。

定義はその通りでも、日本政府が返済できなくなったり、利子を支払えなくなったりすることはあり得ません。
そのため、日本が財政破綻する可能性は皆無なのです。

それは何故かといえば、日本の借金である日本国債は100%日本円建となっているからです。
そのため、返済や利子の支払いができなくなるということはあり得ません。

といわれても、借金は借金だからない方がいいという人もいるでしょう。
そもそも、資本主義の本質は負債が増大することを前提としている経済モデルなのです。
借金を否定するということは、資本主義を否定することになってしまいます。

資本主義の仕組み

資本主義には、大きく分けると2種類あります。
実体経済と、金融経済です。
まずは、実体経済について解説します。

実体経済では、まず生産者がモノを生産します。
そして、加工や流通などで付加価値が付けられ、需要に応じて消費、あるいは投資されます。
消費や投資をするのは、消費者や企業、政府、もしくは海外です。

消費や投資をした場合、そこからは支出として金銭が支払われます。
その金銭は、流通や加工などを行った人たちに支払われ、そこから最終的には生産者へと支払われます。

その途中に投資があれば、支払われる金銭の一部が投資した人へと戻っていくことになります。
そして、得られた利益はまた別の消費へと使われ、経済が循環していくのです。

これは、何も第一次産業に限ったものではありません。
サービスの提供も、生産と同様に扱われます。
公務員も、警察官なら治安維持サービス、消防なら鎮火サービス、役所なら行政サービスなどを提供することになるのです。

給与や報酬は、消費や投資による支出を基としたものです。
しかし、投資をするとなると大きな金額が必要となるため、通常の収入だけでは間に合わないことも多いでしょう。

例えば、需要が増大したことで新たに大きな工場を建てたいと思い、設備投資をしたくても企業にはそのお金がないという場合、どうしたらいいでしょうか?
そういった将来の所得に対する資金需要があった場合に、資本主義では金融経済を活用することになるのです。

金融経済とは、要するに銀行を中心とした経済です。
銀行では、資金需要があった場合にその資金を貸し付けるのが仕事です。
設備投資をしたい企業、マンションを買いたい個人に、融資をするのが銀行の役割です。

そして、銀行ではその融資した資金に金利を加えて返済してもらいます。
同時に預金を預かり、それに金利を支払うのが銀行の支出です。
こういった変化は、産業革命によって起こったものです。

産業革命前は、土地や労働が生産活動につながっていました。
しかし、土地が大きく増えたところで労働活動には限界があるため、使い切ることができません。
そのため、生産物や消費にはあまりつながらず、豊かになるのは難しかったのです。

しかし、産業革命によって生産活動には技術が加わりました。
そして、投資されるのは土地ではなく資本となり、労働の効率も高まったのです。
また、それによって生産された成果の一部は資本として再投資されるようになりました。

これが、資本主義の重要なポイントです。
成果の全てを消費するのではなく、一部を再投資することで生産性が大きく向上し、経済活動が拡大していくようになったのです。

実体経済において、生産者の生産量が増え収入もそれに比例して増えるようになったのは、産業革命によるものです。
そして、誤解してはいけないのが資本=お金ではないという点です。

資本主義は、お金がなくても成り立ちます。
資本は、建物や工場、設備など、価値のある様々なものが含まれます。
経済活動の基盤となるものは、全て資本になるのです。

資本主義は、現金ばかりではなく経済に関わる全てが資本です。
それが多いほど、活用することで多くの利益を得られるでしょう。
決して、お金だけの問題ではないという点を理解しておきましょう。

まとめ

日本は資本主義なので、借金をするのが前提となっているというのは間違いではありません。
借金をしてでも投資をすることで資本を増やし、それ以上に利益を得ていくのが資本主義の考え方なのです。
資本は、必ずしも現金だけではなく、それに伴う設備やサービスなども含む全体的な価値を示すことも忘れないようにしましょう。