少子高齢化が進む日本ですが、その影響もあって私立学校をめぐる経営環境は近年ますます厳しい状況です。
私学の中でも私立大学は特に状況が厳しく、それぞれ学校法人は危機感を持って特徴ある学部や学科の設置、教育活動の展開など入学希望者が増える努力を行っています。
経費削減で経営の効率化による成果を上げているところもありますが、その一方、対策を講じたとしても経営状況が悪化し続ける学校法人も増えています。
入学定員を満たさず、帰属収入で消費支出を賄えないという学校法人の割合は増加しています。
経営危機に立ち向かうには
経営危機に立ち向かうためには、経営力の強化を目指すことが必要です。機動的・戦略的な行動で、公共性・自主性、安定性を守ることができる経営環境を確保しましょう。
学校法人の業務と権限は誰にある?
多様性が魅力の私学ですが、今後経営環境を整備するにあたり、学校法人の業務とは何か、そして決定権は誰にあるのかを確認しておきましょう。
私立学校法では、「理事会は学校法人の業務を決し」と記されていますが、ここでの「業務」とは何を指すのかを考えることが必要です。
また、学校教育法では設置者は「学校を管理し経費を負担する」と記されています。この「管理」という部分には、人や物、そして運営の管理が入ると考えられます。
学校で起きる全ての問題が学校法人の仕事で、理事会はその全ての意思決定をする権限を持っていると考えられるでしょう。
家計負担が上昇しても私立大学に入るメリットはある?
経営環境を潤ったものにするには、入学希望者が増えることが必要になるでしょう。しかし高卒と大卒の初任給比率や、大卒と短大卒の就職率で確認した場合、大卒だからという部分での経済的メリットは低下している状況です。
そうなると大学進学率が低下する一方でしょう。家計負担が高くなり卒業後に経済的メリットが高いのであれば、学力の低い層の人たちは私立大学に進学することを希望することになるでしょう。
しかし卒業後に経済的なメリットがないのなら、無理をして大学に通うことは断念することになります。
学生の質にも変化が…
投資型の学生から、消費型の学生が増えてきています。将来の展望を確実に描くことができなくても、今を充実させることに魅力を感じる学生は消費型の学生と考えられます。
この消費型の学生にどのように応えていくことができ、どのように満足させる教育を提供できるのか、さらには投資型の学生の要求にも応えていく方法などを検討していくことが必要です。
今後私学に必要になることは?
需要が減っていく状況の中、まずは学生納付金に依存しないで経営していける方法を考え、経営基盤の強化を可能とする方法を見つけることが必要です。
日本だけでなく、国際競争力を強化し、国際標準に適合する大学の在り方を考えていくことが求められます。