グループホームと呼ばれるものの中には、障害者グループホーム、認知症高齢者グループホーム、ファミリーグループホームなど様々です。
グループホーム火災が発端となり消防法が改正され、さらにそれに続いて建築基準法の取り扱いをめぐって各地で混乱が起きています。
グループホームによる火災がきっかけで…
平成18年1月に、長崎県大村市の認知症高齢者グループホーム「やすらぎの里さくら園」で火災が起きたことがきっかけとなり、その後に起きた火災事故もリスクを浮き彫りにさせました。
単に火災事故という現象だけを問題にするのではなく、火災事故を生み出し、その
被害を大きくした、火災の背景にある要因を考えると、単に防災や消防設備面の対応だ
けでなく、幅広い対策の必要性が見えてくる。
グループホームの状況
消防設備は300 ㎡以下だったので自動火災報知設備や消防への火災通報装置も備えられていませんでした。当然ながら1,000 ㎡以上だと要求されるスプリンクラー設備もありませんでした。
この火災事故により、消防法改正、建築基準法の取り扱い、小規模福祉施設の安全や防災における論議が始まることになりました。
平成19年6月に消防法施行令の改正が公布されました。そしてグループホーム等小規模な建物にも消防設備等の設置が義務付けされ、防災設備面で対策が行われました。
グループホームの抱える問題は山積み
しかしグループホームが抱える火災やその他のリスクはまだまだ数多くあります。
グループホームで火災が起きてしまったら、そのように考えた場合にはまず火災を防止して被害を抑えるための対策を講じることが必要です。
消防設備や防災管理などは重要ですが、実際に火災が起きてしまった場合の事後対応についても考えておく必要があります。
どのようなことを具体的に検討すべきか
対応していく項目を考えた場合には、次のことを再度検討して対策を講じることが必要でしょう。
①地域環境と連携体制
・敷地の条件と立地環境
・近隣や隣家との協力体制や、建物の位置と距離の関係など
・関連施設や機関との連絡や協力体制
・避難施設や場所の確保
・近隣施設や住民との管理状況の確認
②建物や設備の状況
・主要構造や耐火性能、防火区画について
・出入り口や老化、階段やバルコニの位置など、二方向避難経路の確保
・外部と居室のつながりと出入口の確保
・自動火災報知設備など消防設備、消火器具、避難器具の設置
・ホームセキュリティ、機械警備システムの設置
・火気使用室やコンロなど器具設備の確認
③対策マニュアル
・火災や防災マニュアルの策定
・避難訓練マニュアル
・緊急連絡網の設定
・非常緊急時支援体制
・提携医療機関との連携
④生活プログラムと運営ルール
・各部屋、場所の入退出や鍵の管理方法
・火気使用や喫煙ルールの設定
・外部や地域関係者の入出管理方法
・建物所有者や運営者、入居者の管理責任区分
⑤保険による補償
・火災保険、地震保険
・家賃保証制度、共済制度
・借家人保険、各種自賠責保険
・資産管理、信託・後見人制度
グループホームで講じておくべき策の確認を
グループホームで火災事故が起きてしまった時のために、講じておく対策は様々です。しかし一番は火災が起きないように十分に予防策を講じておくことでしょう。
万一起きてしまった場合に、入居者を迅速に避難させることができるような事前策、そして被災した時の備えについても検討しておきましょう。