飲食店などに対する保健所の食品衛生監視指導とは、飲食に起因する衛生上の危害が発生することを防ぐための計画、体制、そして検査・指導です。
食品衛生法などの法律に基いて、都道府県や市区、保健所などで実施されるものです。監視指導内容は食の安全に関して様々ですが、飲食店を経営するにあたり次の部分を特に注意しましょう。
飲食店への保健所・役所の関与
飲食店に役所や保健所から指導が入ると、飲食店としてはまるで敵のように思うかもしれません。しかしけして店を抑圧するために監視指導を行なっているわけではなく、食品に関しての重大事故を予防し、住民が健康でいられるために行なっています。
衛生に関しての色々な情報を集積している保健所や行政からの助言や指導は価値があるものだと言えるでしょう。一方では強制的で疎ましいと思うかもしれませんが、頼れるサポート役とも言えます。
保健所が行う検査
保健所が行う検査には、立ち入り検査と収去検査がありますが、どちらも具体的な日時は公表されません。ただし多くの市区で年間予定を公表していますので参考にしましょう。
・収去検査
食品に有害な微生物や残留農薬が含まれていないかの検査です。収去検査が実施される時期は都道府県や市区、飲食店の形態によっても異なります。
・立ち入り検査
設備や管理体制が適切かどうかを調査します。立ち入り検査の実施時期も都道府県や市区、飲食店の形態などで異なります。
・抜き打ち検査、臨時検査
来店した客や住民からの苦情や内部告発などで、臨時的に立ち入り検査が実施されます。抜き打ちといっても、多くの場合は事前に告知があるようです。
飲食店に対しての行政指導は強制ではない?
飲食店に対する行政指導は、衛生と秩序を維持することが目的の助言、指導、勧告です。行政側は食品衛生法の規定で不利益処分や書面での行政指導を実施した件は公表することになっています。
そのため指導を受けた場合には、社名や所在地、代表者名や行政指導の内容が公表されます。
飲食店側にとって悪影響を及ぼす可能性があるかもしれませんが、消費者にとっては大切な情報だと言えるでしょう。
飲食店に対する行政処分とは?
営業許可の取消しや営業停止、商品の自主回収、廃棄といったものが対象です。行政処分は行政指導と違って法律に基づいた処分ですので法的拘束力があります。従わなければ強制執行など社会的制裁が実施されるでしょう。
飲食店における食中毒の傾向の理解を
行政処分の対象の代表とも言える食中毒ですが、近年増加の傾向にあります。その原因として、新型ウイルス等の流行(冬季の食中毒)、人の免疫力の低下などが挙げられます。
他にも、店内の清掃や保守が長時間営業によっておろそかになっていること、非正規雇用が増えて意識が低い従業員の増加なども理由となっている可能性があります。
食中毒を予防するために、従業員への指導を徹底し業務スケジュールの見直しや衛生管理を行う体制を整備しましょう。もし食中毒などが出れば、行政処分の対象となりますので十分に注意する必要があります。