企業が抱えるリスクの約8割は人に関わるものです。規模に関係なく、1人でも雇用してれば労務問題を抱えることになるでしょう。
労務リスクが顕在化すると経営に与える影響は甚大なものになりますので、労務リスクを可能な限り軽減していくことが必要です。
イレギュラーな労務管理による労務リスク
労務管理は人が人を管理するため、管理する者、そして管理される部下の性格や就業に対する意識などが運用に影響します。
企業の方針とは異なるイレギュラーな運用を管理者が独断で行った場合には、労務リスクが発生する可能性が高まると言えるでしょう。
そのようなことのないように、企業は労務管理に対して徹底した体制を整備する必要があります。
賃金の支払い方法は定めを守ること
労働基準法で賃金の支払い方法は定められています。どのような定めかというと、円建てで支払うといった通貨払いの原則、本人以外に支払うことは認められない直接払いの原則(妻と子等は例外のケースもあり)、残業代の不払いは違反となる全額払いの原則、毎月1回以上払いの原則、一定期日払いの原則などがあります。
職場環境は安全で安心できるように整備すること
事故防止以外にも、違反する長時間労働や特定する人だけに過重な負荷がかかる仕事の与え方はあってはなりません。また、過重労働によって心身の健康が害されては行けません。
・安全配慮義務を守ること
労働安全衛生法で、使用者の責務として労働災害防止のための最低基準を守ること、快適な職場環境の整備により、労働者の安全と健康を確保することが定められています。
さらに事業者は国が実施する労働災害防止に関する施策にも協力することが必要です。
違反した場合には、労災事故が発生したかどうかではなく、労働安全衛生法等によって 刑事責任を問われることもありますので注意しましょう。
・企業が取るべき防衛策
労災事故が起着た際の損害賠償請求は近年とてつもなく大きな額になっています。
そのため、労働安全衛生法を遵守し、労務管理マニュアルを作成・整備した上で安全管理教育を徹底することが企業にとっての防衛策になると言えるでしょう。
また、使用者賠償責任保険といった労災上乗せ保険への加入も検討するようにしましょう。
労務リスクを回避するために必要なことは?
企業は経営の存続だけでなく、そこで働く人も守ることが必要になります。
人を雇用すれば当然労務リスクを抱えることになります。しかし収益を確保していく上で人を雇用することは必要です。
業務や労務管理は欠かすことができない作業ですので、先に述べた防衛策なども踏まえてどのように取り組んでいくかを検討していく必要があるでしょう。