災害が発生した時、企業が従業員の安否確認体制を整備するために、BCP(事業継続計画)の初期対応でどのようなことから行えば良いでしょう。
災害直後の初動対応
企業はBCPを策定する際に、災害が起きた直後の初動対応における重要項目として安否確認を検討する必要があります。
事業が仮復旧を行うにも、まずは従業員の安否状況の把握が必要です。安否確認のために連絡網の仕組みを形成するためにも、複数の通信手段を併用しましょう。
・SNSなどのツールの活用
携帯メールと電話では大規模な通信障害でいずれも長期間利用できなくなる可能性がありますので、インターネットも併用して活用することが必要でしょう。特にSNSなどを用いた連絡ツール、具体的には、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、さらにskype(スカイプ)、LINE(ライン)などが有効です。
・災害用伝言ダイヤルの活用
NTTが災害用伝言ダイヤル171を提供していますし、災害用伝言板を用いるなど安否情報の登録についても担当者が個別に集約する方法も利用しましょう。
・形にして携帯する方法
デジタル機器が不通になる可能性もありますので、それらを想定した場合の連絡先について紙など形にして携帯させるといったことも必要です。
・端末を選ばないシステムの活用
停電が生じるとモバイル以外の端末は利用できなくなる可能性が高いため、安否確認できる端末が会社のパソコンに限定されてしまっていては意味がありません。
端末を選ばず利用できるシステム、例えばクラウドタイプのものやインターネット上のブラウザでアクセスできるものを利用することも検討しましょう。
なお、安否確認のための登録と閲覧については、モバイルやパソコンなど複数の端末から可能な状況にしておくと良いでしょう。
収集した情報の活用方法の計画を
業務を仮復旧するための計画は安否確認だけでは立てることができません。システムの使い方の練習等も必要ですが、安否確認の際に何の情報を得るべきで、収集した情報をどのように集計し活用するかなどまで計画を立てることが必要です。
備蓄に備えることも努力義務
帰宅困難者などのために、事業者は従業員を3日間程度事業所に留まらせるための備蓄も必要です。
食料品と水の備蓄は年に1度は防災意識の向上も兼ねて入れ替えの際に従業員に配布しても良いでしょう。
従業員の家族の安否確認体制も必要
実際のところ、企業が備蓄の整備などを進めたとしても、従業員が自分の家族の安否確認が行えなければ無理をしても帰宅をする傾向が強くなります。
しかし災害が起きた直後に無理な帰宅をすると二次災害を招く危険性が高くなりますし、事業の仮復旧のためにも必要な人材を中心として3日間は事業所に留まらせることが必要になるでしょう。
そのため従業員が安心できるように、従業員の家族の安否確認も可能な仕組みも必要となると考えられます。安否確認システムや連絡網について、従業員の家族の安否確認も踏まえて検討して行いましょう。