急成長に進展するIT化の進展の裏側で、IT事業者が抱えるリスクも大きく膨らんでいると言えるでしょう。
ITセキュリティやIT事故対策に注力してもやはり限界があるため、保険で備えることが必要と言えるでしょう。
損害賠償責任を負うことになった時のために
IT業が抱えるリスクに対応できる保険は、IT業者が提供するITサービスに欠陥などミスがあったことでユーザー等に経済的な損害が発生し損害賠償請求された際に負担する法律上の損害賠償責任に対して補償を行います。
そのためIT事業者向け賠償責任保険に加入しておくことで、万一のトラブルに備えることができるでしょう。
IT業者向けの賠償責任保険の特徴とは?
システムやソフトウェア(コンピュータプログラム)を納品し正式使用後30日以内に起きた損害賠償請求に対してもカバーされるので免責期間が設けられておらず安心です。
ユーザーから預かったデータを誤って消去してしまった場合や紛失、毀損してしまった場合など、IT事業者(被保険者)自身が負担するべき復元費用をカバーされます。
さらに保険期間の開始前に、既に着手もしくは納品しているITサービスのミスが原因の損害賠償請求もカバーの対象となります。
実際に考えられるトラブルとは?
IT業を営む上で、考えられる事故やトラブルには次のような事例が考えられます。
・IT事業者が開発・納品した物流システムにバグなどがあり、システムが利用できず顧客のビジネスが停止しその間の対応で臨時に要した超過人件費、倉庫やレンタカー代、休業損害などを損害賠償請求される。
・顧客のシステムを管理中、誤って顧客データを削除してしまい復旧に要した超過人件費や外注費用を損害賠償請求される。
・サーバメンテナンス中に誤ってサーバをダウンさせてしまい、ネットワークを利用することが出来なくなったことによる休業損害を請求される。
・サーバの保守業務中、予想していた最大のアクセス量に見合わないサーバを設置したことでキャパシティオーバーにより停止。業務停止期間中の対応で臨時に要した費用について損害賠償請求される。
・開発したオンラインゲームが某アニメのストーリーに似ていると著作権侵害による損害賠償請求をされる。
業務に合う補償内容を確保することが必要
他にも様々なケースが存在し、賠償請求される金額も事故の事例によって異なります。また、賠償責任保険に加入するだけでなく、特約を付帯しておかなければ補償されない事故例もありますので業務に合う内容で契約することが重要だと言えるでしょう。
ITリスクによる賠償請求額は多額になることも想定されますので、保険などで備えておくことが大切です。