飲食店を始める際にはまず物件を契約し、その時に火災保険に入れば終わりと考える経営者もいるかもしれません。
しかし飲食店を運営する上で、実は飲食店特有の様々なリスクがあることを理解しておく必要があります。
飲食業を行う上でのリスクとは?
飲食業を行うことで想定しておくべきリスクには、財産のリスク、休業のリスク、第三者に対する損害賠償のリスク、従業員の労災事故のリスクが挙げられます。
財産のリスク
店内や事務所の設備、調理器具、テーブルや椅子、照明器具、食器など所有財産に生じる火災や盗難等のリスクで、建物を所有している場合は建物も財産に含まれます。飲食物や材料等、屋外に設置する看板や照明、パラソル類なども対象です。
飲食業は厨房で火や水を扱いますので、火災や水濡れ事故が起きる可能性が他業種より高いと考えられるでしょう。
さらに集中豪雨などで一階や地下の店舗の場合には水災リスクについても考えておく必要があります。
休業のリスク
火災や給排水設備等の事故で修復が必要になれば、その期間中は営業できません。休業もしくは規模を縮小しての営業という形になるでしょう。
また、食中毒が発生してした場合などは保健所から行政処分を受けて営業停止になる可能性もあります。
このような休業期間中に発生する家賃や人件費など一定の固定費、別に仮店舗を借りる費用、さらには売上が減少するなど、様々な費用負担に合わせて収入が減るといったことも考えられます。
第三者に対する損害賠償のリスク
製造や販売した食品を食べ食中毒が出た場合には店側に法律上の賠償責任が認められることになります。そうなれば治療費や慰謝料、被害者の休業補償等の支払い義務が発生してしまいます。
被害の大きさによって億単位の大きな額になるケースも考えられ、さらに食中毒を出したことで店としての信用を失ったことに対する信頼回復のために広告宣伝費なども必要になるでしょう。
また、賃借物件の場合には火災や水濡れ事故により、建物に損害を与えればオーナーに対する賠償責任が発生します。水濡れ事故で同じ建物のテナントに損害を与える可能性も考えられるでしょう。
さらに店内で客が転倒してケガを負うリスクや、衣類などを汚してしまうリスク、靴など預かったものが紛失してしまうリスクなども考えられます。
従業員の方の労災リスク
業務の中で調理中の火傷などのケガ、掃除中の転倒、配達中の交通事故など様々なケースが考えられます。
現場の安全管理や勤務体制に問題が指摘されれば、使用者が損害賠償責任を請求されるケースもあります。
飲食店の保険を選ぶポイント
先に述べた飲食業を営む上でのリスクは損害保険でカバーできるリスクばかりです。
飲食業向けの保険として、賠償リスクに対する補償を中心とした保険商品が複数の保険会社から販売されています。補償額や補償内容を確認し、不足が生じないように加入することが必要です。
他にも経営者が病気や働けなくなるリスクや、地震や津波などのリスク、原材料価格が高騰するリスク、取引先が倒産してしまうリスクなど様々なリスクが存在します。
それらをカバーできる保険もありますので、万一の備えとして検討することが必要だと言えるでしょう。