経営者と保険/経営者に関わるリスクと保険(事業承継)

現代社会で企業は色々なリスクに取り巻かれており、その影響も年々拡大しています。利益を創出しながら成長していく過程において、仮に不祥事が起きればその対応次第で存在の危機に及ぶと考えられます。
そのため事前にリスクを想定し、対策のシミュレーションを行っておく危機管理が重要です。特に相続や事業承継という問題は、事態が起きてから策を立てても手遅れになる可能性がありますので、出来るだけ早急に準備が必要だと言えるでしょう。


事業承継の時に必要なのは資金準備
事業承継を円滑に行うため、まず事業承継や相続時の資金として何をどのくらい準備すべきかを把握しておきましょう。
中小企業の経営者が保有する資産には、自社株や不動産など流動性が低いものの割合が多いことで相続時に色々な問題が生じる可能性があります。
相続財産の大部分を流動性が低い資産が占めていることで、相続税の納税資金を捻出するために手放したくない不動産の売却、後継者に渡す自社株の換金などが必要になるかもしれません。
代償分割がスムーズにいかなければトラブルが発生するため、リスクを回避の資金の備えが必要です。経営者に万一のことがあった時に円滑な事業承継を可能とするために検討しておきましょう。
何の資金がまず必要になる?
まず考えなくてはいけないのが相続税の納税資金の準備です。相続時精算課税制度を生前に活用し、非課税枠を超える贈与は行っていないケースでの課税価格に対する相続税額を確認しておきましょう。
配偶者税額軽減枠を最大限適用されるように相続した場合で、相続人が配偶者と子ども1人、課税価格2億円の場合の相続税額は約670万円になります。
配偶者と子ども2人で、課税価格3億円に対する相続税額は約2,700万円、配偶者と子ども3人で課税価格5億円なら相続税額は約5,970万円です。
このような多額の納税資金だけでなく、他の相続人への代償分割のためにも、まとまった現金が必要になることを理解しておきましょう。
忘れてはいけない自社株対策
法人の事業承継や相続では、自社株の評価額を把握することが重要です。評価額がわからなければ相続税額は算出できません。自社株の評価は相続税法の定めによるため、資本金ではなく会社規模に応じた評価になります。
さらにその評価は毎年変わるため、安定的に利益が出ている場合は発行価格の数十倍などになるケースもあります。それに伴い相続財産全体が大きくなって、多額の相続税が後継者にかかるため事業承継に支障をきたす可能性が出てきてしまいます。
生命保険での事業承継資金の準備
このように事業承継に必要な資金を生命保険で準備する場合には、保険期間や保険金額、経営環境や事業方針などが変化した場合にも柔軟な対応が可能かなど、税務面も踏まえて検討していくことが必要です。
活用できる保険商品の代表的なものには、長期平準定期保険 逓増定期保険、低解約返戻金型平準定期保険などがあります。他にも変額保険の定期型なども検討の視野に入れても良いでしょう。