厚生労働省が企業に「ストレスチェック」を義務付け
20~40代の死亡原因のうちもっとも高い原因が自殺で、10人に1人が自殺で亡くなっています。このことから厚生労働省は2015年12月から従業員50人以上の事業所に対して、57個の質問事項に答えるストレスチェックを実施することを義務付けました。
厚生労働省の思惑とは
厚生労働省は今回労働安全衛生法の改正を行ってストレスチェックを義務化することにより、2020年までには全労働者がメンタルヘルス対策を受けることのできる環境整備を行う方向性で動いています。
ストレスチェックに対する意識や必要性が低い企業が多い
まだ多くの企業ではストレスチェックに対しての取り組みが遅れている状態です。その理由として、個々で対応できるので決められた業務としての必要性を感じないということ、またメンタルの問題は個人の要因であることから企業側として何もできないということがあげられます。取り組んでいる企業でも、特にルールや担当者を設けているわけではなく手の空いている人などがつなぎながら対応していることが多いようです。
ストレスチェックによって本当に職場環境は改善できる?
ストレスチェックの診断結果については、直接厚生労働省から本人に対して報告があるため勤務先の上司などに知られることはありません。もしも診断結果にストレスが強いという判定が出た場合、勤務先に申し出ることで医師の診察を受けることもできます。しかし実際にストレスチェックでストレスが強いと判断されたとしても、医師の診察を受ける相談を上司に対してできるのかという問題があります。企業や上司に対してストレスチェックの結果を開示することができず、結局は企業を通さず医師の診察を受ける方法を取るのではないかとも考えられます。
取り組むためには企業内のルールを明確に
企業がメンタルヘルスに取り組むために最も重要になるのは、企業で明確なルール作りをおこないそれに基づいて施策を運用することでしょう。特にメンタルヘルス対策の取り組みが遅れている中小企業は、衛生委員会を機能化し、産業医を効率的に活用するなどを行って高いストレスを感じている人に対しての対応強化を進めていく必要があります。企業でルールを作り土台を強化した上で、従業員向けの研修、環境づくりを行うようにしましょう。
労働者の悩みや気持ちの理解に努めるために
ストレスチェックへの取り組みは、若い現役世代が抱える悩みに先手を打つことができる方法の1つです。死因原因に最も多い自ら命を絶つという選択をする人が今後増えないようにするためにも、企業や上司などは日頃から部下や後輩などに対して相談しやすい環境づくりを行う必要があるでしょう。そのためにも企業ルールを策定し、様々なことに対応が可能になる人事労務をつくっていく必要があります。