現在日本の多くの企業は世代交代のタイミングを迎えています。
しかし、実際後継者が見つかっている企業がほんの一握りのようです。
そこで今回は後継者不足問題の解決のためのヒントを解説させて頂きます。
大廃業時代がやってくる
以前、経済産業省が衝撃的なデータを公開しました。
それは、日本にある中小企業約420万社のうち、2025年までに約245万人がリタイアの時期を迎え、127万社がまだ後継者が見つかっていないというのです。
さらに、60歳以上の事業者の7割が自分の代で事業を辞める意向を持っているというものです。
これは非常に大きな問題です。
なぜなら、もしこの数字のまま実際に廃業が続けば、2025年までに650万人の雇用と22兆円のGDPを失うことになるのです。
ただでされ、現在高度な機会の登場やAIなどにより雇用が今度減少していくことは目に見えている中で、さらに働き口が減少することは多方面に影響があるのは間違い無いでしょう。
このデータには更に衝撃的なものがあります。
それは、廃業を考えている事業者の約5割が黒字だということです。
つまり、赤字企業がなくなる訳ではなく、優良企業と言われている企業が続々と廃業していく危機に面しているのです。
まさに、大廃業時代と言っていいでしょう。
廃業を選択しないためには?
黒字にも関わらず廃業を選択する経営者の多くは、後継者がいないことを理由に決断しているようです。
中小企業の社長は後継者を自分の身内で探す傾向があります。
しかし、自分の子供たちはすでに違う道に進んでおり、彼らの考えを尊重するが故に後継者としての人生を強制できないようです。
これは価値観の変化が影響しているようです。
これからリタイアを迎える社長がまだ子供だった頃の世の中は、親が言う事に逆らうことは非常に難しい世の中でした。
もし、生まれた家が事業を行っていれば、必然的に後継者として小さい頃から育てられたのです。
これは親が言うまでもなく子供は自分が後継者だと理解していた時代です。
しかし、現在の子供たちは違います。
実家が事業を行っていても、自分が後継者だとは言われない限り理解していません。理解というと語弊がありますが、そこまで真剣に考えておらず、言われるまでは自分のやりたいことを優先します。
しかし、親は言わなくてもわかる時代に育っているため、ここに考え方の違いがあるのです。
実際、先ほども触れたように経営者が自分の子供達に後継者をお願いする年齢になった頃には、すでに自立し別の道を歩んでいるため断られるというケースが非常に多くあるようです。
そうならないためにも、もし身内で後継者を探す場合は、高校生の頃あたりからは真剣に話していた方がいいでしょう。
大学生になると早い場合、大学受験の時点で自分の人生を一旦決めているケースがあるためすでに手遅れになる場合があります。
子供にそのような話をすると重荷になるのでは、と考える方もいるかもしれませんが、やりたいことを決断した後に後継者をお願いされる方が圧倒的に重荷になるのは間違いありません。
視野を広げよう
さて、これまで身内で後継者を探すケースを解説させて頂きました。
大切なことは、価値観の違いがあるため「できるだけ早く話す」ということです。
伝わっているだろうという考え方は非常に危険です。
もちろん、身内から後継者が生まれれば、社内外の理解も得やすく、比較的価値観の近い人間が事業を継ぐため最も良い方法かもしれません。
しかし、身内に後継者がいないからと言って廃業にするのは判断が早すぎると思います。
なぜなら他にも事業承継の選択肢はたくさんあるからです。
もちろん中小企業経営者であれば、他の方法を知っているでしょうが、何故かその選択肢は捨てられるケースが多いようです。
それらは取り組む前に無理だと諦めてしまっているようです。
例えば、従業員から後継者を探す場合。
このケースでよく言われているのは、「適した人材がいない」という言葉です。
全ての企業に言えますが、会社で最も優れた人材は経営者です。
しかし、後継者を探そうとすると、どうしても自分に近い、または自分以上の能力を持った方を探しがちです。当然見つかるはずがありません。
最初から経営者の器を持っている人などごく稀な存在で、基本的には任してみることでその能力を養っていくのです。
つまり、現在経営者に適した人材はいなくても、将来可能性のある人材ならいるはずです。まだまだ足りないけど、考え方がいい従業員などはいないでしょうか?そのような従業員を育てていかなければならないのです。
他にもM&Aという方法もあります。
会社が黒字であれば十分可能性がありますし、最近では中小企業のM&Aを
専門でやるような企業も増えてきています。
まずは、一歩踏み出して生の情報に触れることが重要です。
このように身内で事業承継を行うにしても、それ以外の方法を取るにしてもすぐに行うことができる方法など存在しません。
短く見ても3年以上の長期戦で事業承継は考えなければならないのです。