中小企業の黒字廃業はなぜ起きるのか?その実態を解説します

黒字廃業という言葉を知っていますか?
廃業というと、会社に利益が出なくなり行うものだというイメージが強いかと思いますが、実は現在日本では中小企業を中心に利益が出ているのに廃業に追い込まれるケースが非常に増加しているのです。これが黒字廃業です。
そこで、今回はなぜ中小企業で黒字廃業が起きてしまうのか、について解説をさせて頂きます。

明るい未来が見えないことが黒字廃業を増加させている

現在日本の多くの中小企業が黒字廃業のリスクを抱えています。
日本に存在する企業の99%は中小企業ですから、まさに中小企業が日本経済を支えていると言っても過言ではありません。
そんな中小企業が万が一軒並み廃業するとなると、日本経済は大打撃を受けることになります。
では、なぜ今黒字廃業が増えているのでしょうか?
様々な要因が複雑に絡み合っていますが、一言で言えば明るい未来が見えない事が大きな影響を与えています。
黒字廃業のリスクを持つ多くの中小企業が製造業です。
日本の高度経済成長を支えた町工場が今非常にキツイ状況です。
その背景には、グローバル化があります。
みなさんご存知のように、現在の製造業といえば、価格競争が行ききっており、とにかく原価をどれだけ下げられるかが重要です。
そのため、国内ではなく人件費や地代が安い東南アジア等に製造拠点を移す企業が一般的です。
この流れがまさに町工場を苦しめているのです。
長年経営を行ってきていることによりリピート顧客があるから現時点での業績は問題なくても、その顧客も高齢化等による廃業の危険性があり、そうなれば一気に会社の業績が傾いてしまう危険性があります。
このように多くの製造業経営者は明るい未来が見えないことから廃業を決断するケースが後を立ちません。

経営者の高齢化と後継者問題

そして、さらに廃業の決断を加速させている問題があります。
それは、経営者の高齢化と後継者不足です。
今まさに高度経済成長を支えた企業は世代交代のタイミングです。
しかし、多くの中小企業では後継者育成がうまくいっていないのです。
中小企業の多くが家族経営が多いため、基本的には経営者の子供に白羽の矢が立つ訳ですが、家業を継ぐ決断とは違う人生プランを設計することが少なくありません。
それは時代が変わり家業を継ぐことが当たり前でなくなったこともありますが、やはり先ほどからあるように明るい未来が見えないことから、経営者自身もそんな状況で譲れないと考えているケースも多いようです。
また、町工場は技術力が商品ですから、この技術の伝承がうまく言ってないところも影響しています。
実際、多くの町工場では80歳を超えるような職人さんがまだ現役で仕事をしているケースも少なくありませんし、そのベテランの技術は本人しかわからない領域で止まってしまっているケースが多くあります。
経営者の後継者はもちろん、技術の後継者問題も同時に発生しているのです。
このようなことから、この機会に廃業を、と考える経営者が多いようです。

黒字廃業にならないためには?

黒字廃業にならないための対策は様々です。
例えば、これまでに出てきた経営者の後継者探しや技術の伝承などは必ず取り掛からなければならないことです。
できない、と言っていても何も始まりませんから、できる方法を探すしかありません。
しかし、もっと根本的に必要なことがあります。
それは時代の変化に負けない会社にすることです。
現在明るい未来が見えていない企業の多くは、時代の流れにおいていかれているという見方ができます。つまり、その変化にスピードに対応できていないということです。
この部分から根本的に改革をしなければ、いつまで経っても時代のあおりを受けて厳しいままです。
原価率の低さで勝負できないのならば、価格以外で価値を出すしかありません。
スピードなのか利便性なのか、技術力の高さなのかは各企業の長所によると思いますが、とにかく独自の武器を身につけなければ、あらゆる業種において現代を生き抜くのは非常に難しいです。
とある業界に対して圧倒的強みをもっている、などニッチなマーケットでもいいので一番になれるところを作らなければなりません。
問題は根本から解決しなければ何も変えられません。
会社の経営スタイルを今の時代に負けないものに作り変えた上で、後継者や技術伝承などに取り組むことができれば、今のまま行うものとは全く結果が変わってくるはずです。
もし、経営スタイルを変える時間がないのであれば同時進行でも仕方がないとは思います。
本質的な問題を後回しにしていては、黒字廃業の呪縛から逃げることはできません。

日本は中小企業によって支えられている国です。
中小企業が持つ技術は今でも世界に誇れるものがたくさんあります。
自社の強みを見つめ直して、しっかり伝えることができれば必ず勝機はあるはずです。
中小企業には黒字廃業で日本を窮地に落とす可能性もあれば、利益アップで日本経済を活性化させるどちらの可能性も秘めているのです。
是非後者の可能性を実現していただければ幸いです。