日本は空前の人材難です。
大小関係なくほぼ全ての会社が採用に頭を抱えています。
その影響は会社の規模が小さければ小さいほど早く広がっており、現在零細企業は非常に厳しい状況に追い込まれています。
そこで、今回は零細企業にとっていかに採用強化が重要か、そしてなぜ採用強化をしなければ廃業や倒産に追い詰められてしまうのかについて解説させて頂きます。
そもそもなぜ人材確保が難しい?
現在ほぼ全ての企業が採用に苦しんでいますが、そもそもなぜ人材確保がこれほど難しいのでしょうか?
それにはいくつかの理由があります。
中でも大きな理由として、生産年人口の減少があります。
ご存知のように人口は年々減少しており、子供の数は非常に少なくなってきております。つまり、単純に応募数に対して求人数が圧倒的に多い状況で、需要と供給のバランスが崩れてしまっているのです。
また、相変わらず就職活動を行う学生が大企業志向であることも大きな問題です。仕事内容などではなく、企業ブランドのみで就職先を選定しており、力のある中小企業や零細企業に良い人材が来ないという現状です。
そして、これらの要因以外で近年登場してきている理由が、働き方の多様化です。どこかの会社に所属せずとも、個人でお金を稼ぐ事が非常に簡単になりました。それほどITやインフラが発達したのです。今では、個人でも生活費以上のお金を稼いでいる人がゴロゴロいます。
このような流れは今後ますます加速し、会社に就職することは選択肢の一つになっていくでしょう。
人口減少・大企業志向・働き方の多様化、これら3つが同時に発生していることが、この人材難を引き起こしているのです。
そして、その人材難は中小企業や零細企業などの規模の小さい会社にとっては経営を揺るがすような大きな問題なのです。
人材確保ができない零細企業はどうなる?
では、実際に零細企業を例に考えてみましょう。
零細企業とは、しっかりと定義があるわけではないですが、製造業で言えば従業員20人以下、サービス業なら5名以下の企業を指すようです。
このような企業の多くは、日々の業務に忙殺されている傾向があります。
要するに、そもそもの業務量が非常に多く、かつ業務内容が整理されておらず、ほぼ全員が複数の業務を同時にこなしているケースがよくあります。
製造業の場合は、職人技のようにベテランでなければ行えない属人性の高い業務を多く抱えいる場合もあります。
さて、このような会社の売り上げや利益を拡大するには何が必要でしょうか?
現在のように変化の激しい時代は、現状維持発想では間違いなく会社の業績は傾いてしまいます。そのため、常に売り上げアップや利益アップを考えなければなりません。
このような会社の場合で言えば、中長期的には属人性の排除を行なっていかなければなりません。
業務の中でAさんしかできない仕事、Bさんしかできない仕事、このような業務が多すぎることは、企業成長を鈍化させます。なぜなら、一人で行うことができる業務量には限界があるからです。
また、このような属人性の高さは自ら人材難を招いているとも言え、人が定着しづらい会社と言えます。なぜなら、新入社員にとっては一度に覚える仕事が多すぎるため、なかなか貢献できているという実感がわきません。そして、教える先輩従業員にとっても忙しい業務の合間で教育する必要がありますから、生産性を落としていまいます。これでは、人は定着しませんし、採用もガンガン行えるような状況でもありません。まさに負の連鎖が起きてしまっているのです。
だからこそ、業務の棚卸を行い、分業化を進めていかなければならないのです。
さて、ここからが問題です。
零細企業が分業化を進めたとしても、この時点では売り上げは伸びません。
分業化はあくまで売り上げアップのための手段で、基礎を固める感覚に近いです。
その基礎の上で実際に売り上げを作るのは現場で働く従業員です。
莫大な投資ができる企業であれば、すべて機械化・自動化することで従業員を少なく経営を行うことはできるでしょうが、零細企業はそうはいきません。
基本的には、人材を採用し、その人材の数に売り上げが比例して伸びていくという形です。
分業化ができていれば、人数と売り上げは特に比例しやすくなるイメージです。
つまり、零細企業にとって人材確保はまさにライフラインで、今後の経営戦略を進める上で必要不可欠なピースなのです。
もし、人材確保ができなければ、次第に売り上げが落ちていき、場合によっては廃業や倒産という決断に追いやられてしまいます。
零細企業の採用戦略
これまでで、零細企業にとっていかに人材確保が重要かについて解説させて頂きました。
では実際零細企業はどのように採用を強化するべきでしょうか。
ハローワークや求人広告に募集広告を出したからといって満足いく結果にはならないでしょう。
まず、行うべきは先ほども触れたように社内の改革です。
新人を受け入れる体制を整えてからでなければ、いくら募集をかけて人が入ってきたとしても定着してくれません。
結局やめてしまっては、それまでにかけた採用・教育コスト・人件費・生産性低下による機会損失額などがすべて無駄になってしまいます。
そうならないためは、まずは完璧でないにしても、受け入れられる体制を設計しましょう。
また、採用募集となるとすぐに福利厚生に考えがいきがちですが、それもあくまでオプション的なもので、いくら外見がよく見えても働いた際にギャップでやめてしまうなんていうことも少なくありません。
そのため、最も行うべきは自社の強みを作ることです。
あなたの会社を代表する商品やサービスはありますか?
マーケティングと同じで、採用も一番商品が必要です。
特に零細企業となると、給与や福利厚生で厳しい人材獲得合戦に勝つことが非常に難しいため、他社にはない特徴を持たなければなりません。
それは商品やサービスそのものなのか、それともスピードや接客の丁寧さのようなサービス面なのか、どちらでも構いません。
このような考え方はまさにマーケティング発想です。
競合他社との差別化要素を磨き込み、それを顧客に伝える、これができれば採用にも間違いなくプラスに働きます。
その理由は当たり前で、伸びている会社は魅力的に見えるもので、零細企業ほど会社の業績を伸ばしていることが何よりも重要です。
零細企業におけるもう一つの人材確保
さて、最後にもう一つ重要な人材の確保についてです。
これまで解説させていただいたのはあくまでも従業員の確保でした。
しかし、忘れてはいけないのは経営者候補の確保です。
実際、近年廃業した多くの中小・零細企業は後継者不足が要因となっています。
零細企業の多くが家族経営ですから、次期経営者は社長の子供であることが多いと思います。そのあたりの話を、子供としっかりできているでしょうか?
経営者であるあなたの一方的な思い込みになっていませんか?
また、社内から後継者を探す場合は、従業員にその意識はありますか?社長の視点を持てるような教育機会をつくっていますか?
これらは全て後継者育成ができていない会社ができていない行動です。
もし、当てはまるようであればすぐに実践することをお勧めします。
採用強化は付け焼き刃でできるものではありません。
そして気づいた時には手遅れなんてことがよくあるものです。
だからこそ、零細企業は今のうちから採用戦略を作り込み、実行に移すべきなのです。