昨今、企業の経営において注目されているのが、従業員の健康問題です。
なぜ注目を集めているかというと、従業員の健康問題が経営にも影響を及ぼすと言われているからなのですが、これは果たしてどういう意味なのでしょうか?
従業員の健康問題が経営に与える影響について、考えてみましょう。
なぜ、従業員の健康問題が経営に影響するのか?
従業員の健康問題は、どのように経営に影響するのでしょうか?
それを知るためにはまず、従業員が健康面で不安を抱えている場合にどのようなデメリットが生じるのか、という点を考えてみましょう。
ほとんどの人はこれまで、風邪をはじめ、何らかの病気にかかった経験があるでしょう。
病気になると、その病気にもよりますがおおよそ誰でも、健康な時と比較して集中力の欠如や運動能力の低下、または思考能力の鈍化といった影響を受けることになります。
仕事においてこのような状態になると、普段の仕事と比較して業務にあたる際の効率が低下したり、ケアレスミスが増えたりすることが多くなります。
そうなると、1人当たりの生産力が低下することになるでしょう。
一時的なものであれば、その影響は少ないかもしれません。
しかしこれが、生活習慣病など慢性的な病気であった場合は、その症状が改善されるまでには長い時間がかかってしまうこととなるでしょう。
これまでであれば、こうした生産力の低下は従業員の人数でカバーすることが出来たかもしれません。
しかし、社会の変化によってそれが難しくなっています。
その変化とは、団塊の世代の退職と少子化問題です。
第一次ベビーブームといわれた、戦後生まれを指す団塊の世代は、最近まで社会の中核を担い、これまでの社会の発展を支えてきました。
しかし、2010年頃にそのほとんどが定年退職を迎えたことで、日本の労働者人口は一気に減少してしまいました。
そのため、日本における労働者人口は年々減少傾向にあるのですが、それに加えて少子化問題があるため、今後も労働者人口が増える見込みはありません。
となると、これまでと同様の生産性を保つためには、従業員一人一人の生産性を向上させる必要があるのです。
生産性を向上させるために必要となるのは、今よりも仕事の効率を高めることです。
そのため、効率の低下の原因となる従業員の健康問題に注目し、会社がその改善に努めていこうという試みがされるようになってきたのです。
健康経営
会社の業務の一環として、従業員の健康問題に取り組んでいくような経営方法を、健康経営といいます。
この健康経営は欧米で生まれた考え方で、アメリカやイギリスの企業などでは以前から取り組みを始めており、日本でも徐々に広まりつつあります。
日本での取り組みとしては、東京証券取引所と経済産業省が共同で健康経営銘柄を選定し、発表しています。
健康経営銘柄は、経営的な視点から従業員の健康管理に取り組む企業を評価したもので、剪定された銘柄の株価は上昇しやすい傾向にあります。
また、時間外労働や業務内容の改善など、健康経営を目指す企業を対象として厚生労働省から助成金が出されています。
助成金が出されていることで、企業としても健康経営に取り組みやすくなっていくでしょう。
今後、健康経営に取り組む企業と取り組まない企業では、生産性に大きな違いが出てくると予想されます。
そのことが一般的に認知されると、より多くの企業が健康経営に取り組むようになるのではないでしょうか。
まとめ
現在、多くの企業では、以前よりも少ない従業員で業務を行う必要が生じています。
その中で重要となるのは、従業員一人一人の生産性を向上させることです。
従業員の仕事の効率を高めるために、従業員の健康を改善していこうと健康経営に取り組む企業が増えている中、他の企業に先んじて取り組んでいく事は大きなアドバンテージとなるでしょう。