2011年に起きた東日本大震災では危機管理マニュアルが存在していたのにもかかわらず、政府の危機管理体制は機能しませんでした。
巨大地震が発生し、それに伴って津波、余震が起こり、さらには福島第一原子力発電所事故が起こりました。
地震対策や原発における緊急時対応や原子力防災、事故対応についてのマニュアルがあったのに災害や事故が想定外のレベルだったという言葉で済ませてしまっています。
企業が事前に取り組めることは?
実際のところ自然災害が発生した場合には、どのくらいの被害レベルかは発生してみないとわからないことがほとんどですので、それを認識した上で企業の危機管理マニュアルを作成し活用することが必要となります。
企業を取り巻くリスク
企業には様々なリスクが取り巻いていますが、経済や政治などの社会リスク、自然災害や事故のリスク、経営リスクなど企業規模の大小にかかわらず表面化し複雑化している状態です。
実際に起きた災害リスク
東日本大震災関連での倒産は、震災から1年間で656件でした。
これは阪神大震災時の3.3倍という数字で、負債総額も9,210億8,800万円となっており 倒産企業の従業員数は1万757人でした。
福島第一原発事故の影響により倒産した件数は、2014年までの3年間で142件だったとの報告もあり、これまで例のなかった原発関連倒産の調査によりいかに東日本大震災の与えた影響が大きかったかを明らかにしました。
危機管理対策はコストがかかる?
危機管理対策費は不測の事態が発生した場合の損失を防ぐための保険のようなものです。
不祥事を起こした場合には印象が悪くなるだけでなく、最終的には金銭的な損失に直結するということを理解しておかなければいつまでたっても危機管理は後手に回ったままでしょう。
社内で反対勢力が出てきたり、情報セキュリティを強化することで効率を悪くする場合もあるかもしれませんが、経営者が必ず陣頭指揮を執って強化していく必要があります。
危機管理マニュアルの作成
特定の部署を設けて1~2年かけて自社独自のものを作り上げていきましょう。
まずは経営を深刻な事態に至らしめる危機を起こすと考えられる災害・事故・事件を洗い出しましょう。
日常の業務の中で発生した問題や事故、ニュース、財務諸表、製造フロー等も参考にしながら追加の危機を考えると良いでしょう。
次にそれらの管理すべき危機をどのような方法と対策で取り組んでいくのか計画しますが、 スケジュール、費用、資源なども明らかにしながら決定していきましょう。
取り組む項目の数や組織規模によってスケジュールは異なりますが、3~6か月程度を目安に取り組むと良いでしょう。
想像もつかない災害や事故に備えて
誰もが予測しなかった福島第一原発事故のように、地震による被害は想定より拡大することもあります。
そのため企業としては倒産という危機に陥らないためにも、危機管理体制を構築しておくなど備えの構えが必要となるでしょう。