将来の死亡リスクに備えて、生命保険への加入を考えたものの意外と保険料が高く、悩んでいるという人は少なくないでしょう。
そんな方におすすめなのが、掛け金の安い都道府県民共済です。
しかし、あまりに安いと保障の内容などが気になると思います。
なぜ安いのか、その理由について解説していきます。
都道府県民共済とは?
都道府県民共済(以下、県民共済と記載します)というのは、都道府県ごとに運営されているもので、契約内容に応じて保険金を受け取ることができることから、保険に近いものとして扱われています。
テレビのCMや、新聞の広告などで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
しかし、目にしたからと言ってすべての人が興味を持つわけではありません。
詳しくは知らないという人もいると思うので、まずはその仕組みから解説していきたいと思います。
この県民共済というのは、全国生活協同組合連合会という非営利団体によって運営されています。
ただし、実際の運営は各都道府県で行われているので、全体的に似通ってはいるものの地域によって多少の違いもあります。
加入資格としては、自分が住んでいる地域か勤務先の地域であることとなっています。
掛け捨て型の保険のため、引っ越した場合でも引っ越し先で再度加入し直すことに問題がなく、内容もほとんど同じなので戸惑うこともないでしょう。
生命共済の他、火災共済なども存在しています。
コースとしては、入院リスクに備えた入院保障と、死亡保障と入院保障を兼ね備えた総合保障の2つがあります。
この2つのコースを組み合わせることで、入院保障を厚くした総合保障にもできます。
また、それに加えて入院一時金や手術保障が受けられる医療特約や、がん治療に備えた新がん特約、がんだけではなく心筋梗塞や脳卒中にも対応する新三大疾病特約など、様々な特約も用意されています。
年代によって保障内容も異なり、子ども型や熟年型、熟年入院型といったコースもあります。
これらのコースを切り替えていくことで、0歳から85歳まで加入することができます。
満期となるのは85歳で、それ以降は解約となります。
また、新規加入については69歳までとなっています。
加入時の年齢によって契約できるコースが異なり、さらに契約中一定の年齢となった際にはコースを変更する必要があります。
掛け金は、特約を除いて最大でも4,000円までです。
掛け金を増やすことで、その分補償される金額も増えていきますが、コースの組み合わせはこの範囲で選ばなくてはいけません。
この掛け金は、加入者によって異なるものではありません。
あくまでも、どのコースで契約するかによって変わってきます。
また、毎年の決算時に剰余金があった場合は、加入者に払い戻されます。
保険との違い
何も県民共済だけが共済ではありません。
全国的なものとしてはJAやCO-OP、全労済、JFなどの共済もあるのですが、民間の保険会社の保険と共済ではどのような違いがあるのでしょうか?
共済というのは、共に助け合うという意味です。
共済保険ともいわれますが、実際のところ保険とは大きく異なります。
最も大きな点としては、共済は公的法人や非営利団体の運営であり、営利を目的としていないという点です。
共済に加入する場合、まずはその共済組合の会員となるために、一定額の出資金が必要となります。
これはそれほど高額ではないのですが、お互いに手を貸し合うための団体に所属する、ということになるので、その入会金のようなものです。
イメージとしては、みんなから集めた掛け金を一つの箱に入れておき、死亡や入院などの保障が必要になった場合はその箱から決まった金額を支払う、ということになります。
そして、決算の時に箱の中身が残っていたら、加入者に分配するのです。
一方、一般的な保険会社の場合は集めた保険料を運用して、利益を出すことを目的としています。
保険会社というのはれっきとした営利団体なのです。
言い方を変えると、保険会社の場合は資産運用のための資金を定期的に募るもので、出資者にはその見返りとして、決まった期間の間に保障内容と合致する状況となった場合には、保険料として決まった金額を支払う、ということになります。
保険料として支払う金額をキープしつつ、自社の利益も追求しなくてはいけないため、共済よりも割高であるといえます。
その代わり、満期を迎えた際にはこれまで支払った保険料の一部を払い戻す、ということができるのが特徴です。
また、保険会社は株式会社なので、株主がいます。
株主に利益を還元するためにも、より多くの利益が必要となるのです。
そのため、利益を追求していく必要があります。
また、保障される内容も大きく異なります。
県民共済の場合は、保険にいくつかの種類はあるものの、そう多いものではありません。
しかし、保険会社の場合は実に多種多様の保険があるので、自分の都合に合わせてちょうどいい保険を選びやすいのです。
保険会社の場合、保険の内容もその時に必要とされているものを調べたうえで、常に新しい内容に刷新されていきます。
今まで入っていた保険が、保障内容を新たにして登場することも珍しくはないでしょう。
また、保険会社の場合は積極的に勧誘を行い、加入者を増やそうとしていますが、共済の場合はあまり勧誘などを行いません。
それもあって、共済は事業費があまりかからないのです。
いくつかの違いはありますが、どちらが優れていると単純に比較できるものではないので、比較しながら保険を考えていくといいでしょう。
利点と問題点
他の保険にはないような利点がある県民共済ですが、問題点もあります。
その安さが最も大きな特徴であり、また最大の利点でもあるのですが、それ以外の利点や、利点に付随する問題点もあるので、その詳しい内容を解説します。
まず、安さに目が行くと気が付きにくい利点ですが、性別や年齢によって掛け金が変わらないという点も大きな利点です。
一般的な保険は、被保険者の性別でも掛け金が変わり、また年齢が高くなっていけばいくほど掛け金は割高となるのですが、その心配はないのです。
また、保障内容についてのコースが少なくシンプルではあるものの、内容は非常にバランスがいいという点も利点です。
特約なども用意されていますが、それでも一般的な保険と比べるとかなりわかりやすくなっています。
加入の際の健康状態の申告についても、一般的な保険より緩やかな判断基準であることから、たとえ一般の保険では加入しにくい持病や入院及び通院歴がある人でも、加入しやすいという利点もあります。
保険の加入を断られた場合でも、もしかしたら加入できるかもしれません。
問題点としては、まず死亡保障が少ないという点が挙げられます。
年齢に上限がある県民共済ですが、死亡時の保障については60歳から少しずつ減っていき、85歳にはなくなります。
入院保障なども同様なので、十分な額になるとは限りません。
コースとしては、医療保険と生命保険がセットになっている一体型のコースがほとんどなのでシンプルなのですが、その代わりに個別で加入できないという問題点もあります。
あまり選択肢がないので、その点も踏まえておく必要があるでしょう。
47都道府県のうち、39都道府県でしか取り扱っていないため、加入したくてもできない地域があります。
自分の地域にはあるかどうか、調べてみるといいでしょう。
このような利点や問題点があるので、もしも加入を考えている場合は、こういった点も踏まえておきましょう。
まとめ
掛け金が一般的な保険と比較してかなり安いため、保険料について知っていればその安さに疑問を抱くかもしれません。
しかし、一般的な保険とはそもそも異なる点が多いので、単純に比較できるものでもないのです。
なぜ安いかの理由を把握したうえで、内容についてもしっかりと比較して加入するかどうかを決めてください。