携帯電話を取り巻く環境は、急速に変化しています。
その中で、NTTがドコモを子会社化するニュースがありましたよね。
しかし、私たちユーザーからすると、何のために子会社化するのか疑問に思いませんか?
利用者には、どのような変化があるのでしょうか?
ここでは、情報通信技術に関わるニュースの解説をしたいと思います。
子会社化する目的とは?
NTTがドコモを子会社化する目的は、主に効率的な営業ができるようにすることにあります。
「効率的な営業」とは、一体どのようなことを指すのでしょうか?
効率化を理解する上で大切となるポイントは、3つあります。
・5Gと光回線の存在から
・グループ全体でのサービスの多様化
・グローバル展開をするため
これは、みなさんが受けるサービスにも関わってくる部分がありますから、その根本をよく学んでおきましょう。
・5Gと光回線の存在から
2020年に入ってから、携帯電話各社では5Gの展開に力を入れています。
現在まで利用されているのは4Gですが、それよりももっと早く通信できるということが分かっていますよね。
実際に販売されているスマートフォンの中にも、5G対応機種が登場しており、残すは利用できる環境整備の拡大のみです。
所謂、スマートシティ構想の要になる部分だと言っていいでしょう。
一方で、新回線をプラスに捉えることができない事実もあります。
本来、NTTは有線電話をメインとしてサービスを扱っていましたよね。
しかし、携帯電話の技術的な進歩によって、家庭に固定電話を引く人は少なくなってきています。
さらに、固定電話を設置するためには電話線を引かなければなりませんが、その工事費の負担は大きいですよね。
新しい技術の進歩により、有線電話の価値観が大きく変わっていることが理解できるでしょう。
5Gや光回線の利用が普及してくるとなると、そのサービスを提供している会社の利益が高くなることは明らかですよね。
そうなると、別個の会社として存在しているよりは、同じグループとして活動した方が利益的にプラスになるのは、言うまでもありません。
従来通りのままだと、片方は業績が良いが、もう片方は伸び悩むといったことになり兼ねないのです。
どちらかというと、利用者に寄り添った形での決定というよりは、企業のバランスを取るための決定に近いでしょう。
・グループ全体でのサービスの多様化
2つ目のポイントは、多様なサービス提供を目的としていることです。
元々ドコモはNTTの分離分割によって生み出された会社であり、NTTの移動体通信サービス部門がポケットベルのサービスを提供していたことが起点となっています。
それが、1991年にNTTドコモのブランド名で、独自のサービス展開を行っていますから、意外と最近の話になりますよね。
しかし、これからのサービスは、携帯電話に留まらず、住宅や家電等、様々な物と連携したサービスが想定されています。
その際に求められるのは、今までとは違った価値観のサービス。
先程も少し触れましたが、スマートシティが実現できるような内容が求められていると言っていいでしょう。
このことを実現するためには、別々に行動するより、ある程度まとまった事業をすすめていくのが望ましいと考えたのです。
・グローバル展開をするため
3つ目のポイントは、グローバル展開です。
突然ですが、みなさんは世界中で有名な通信技術サービスや関連企業と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?
そこに登場するのは、アメリカや中国の企業になりますよね。
日本企業が登場する業界でないことに、お気づきでしょうか?
もちろん、NTTドコモも世界進出を狙ったことがありますが、その結果は失敗に終わっています。
つまり、グローバル展開をしようとしても、負けてしまうのです。
何とか世界と競争していくためには、やはり何かしらの強化が必要になりますよね。
それを見越して子会社化をするのでないか、とも言われているのです。
補足ですが、基盤強化は国内のシェア事情も関係しています。
有名な他社キャリアと比べた時に、シェア割合が減少していますので、押し負けている状態でもあるのです。
携帯電話事業の競争力が低下していると言っても過言ではないでしょう。
国内シェア率をアップさせる意味でも、今回の子会社化は大きな転換点になっているのです。
みなさんの視点からも、これからの提供サービスの幅が広がりそうだと感じるのではないでしょうか。
さらに携帯電話に関するニュースでは、携帯電話料金の値下げの検討がされている話題がありますので、期待してしまいますよね。
さらに、子会社化にはもう一つの目的があるのです。
意思決定の迅速化が可能に
最後に解説する「効率的」の内容は、企業間の意思疎通に関することです。
もう一度確認しますが、現在までの関係性だと、ドコモはあくまでもNTTから分裂した、別の企業という位置づけになりますよね。
従来から、完全な子会社でなくても、子会社という位置づけに変わりはありません。
ですが、別個の企業であるが故の悩みがあったのです。
それは、一般株主の存在。
NTTとドコモ間で何かしらの事業の決定をしようとした場合、企業の関連部署だけでなく、株主等を含めた調整が求められます。
例えば、携帯電話の料金の値下げに関しても、今始まった議論ではありませんよね。
昔から高いといった話題は、少なからずありました。
ですが、中々実現には至りませんでしたよね。
その背景には、株主の配慮があったことが関係しています。
料金を値下げしてしまうと、利用者にとってはとても嬉しいことになるでしょう。
反対に、株主の視点から考えてみて下さい。
株主に入る利益は、企業の業績が良いことで増えていきますよね。
その利益の中には、携帯電話の利用料も含まれています。
利用料金の値下げとなると、全体の利益が昨年度よりも減少することが明らかですよね。
そうなると、株主への利益配分はどうなると思いますか?
昨年度よりも、手元に入る利益が少なくなってしまうのははっきりしていますよね。
それを嫌がる株主からすると、値下げの動きはどうしても認められないことが理解できるでしょう。
このように、消費者から見る視点と株主から見る視点では、利用料金1つを見ても意見が分かれますよね。
上記のような意見調整が入ると、中々物事が決まりませんから、意思決定においても時間がかかってしまうのです。
しかし、完全子会社化することになると、NTTの意向が反映しやすい形に変わりますから、利用料金の値下げに踏み切りやすくなります。
利用料金を下げたいという私たちのニーズに答えられるのは、もしかすると遠くないかもしれません。
一方、NTTとの関係性が強くなることで、公正な市場競争ができなくなるのでないかという声もあります。
利用料金を含めた携帯電話サービスは、基本的に他社との競争が前提で成り立っています。
現在までのサービスは、その競争の賜物と言ってもいいでしょう。
ですが、子会社化してしまうと、他社と比べた時にNTTの市場支配力が増してしまうのでないかと懸念されているのです。
そうなると、今までの市場バランスが大いに崩れてしまい、公正な競争ができなくなってしまう可能性がありますよね。
今後のサービス展開や業界内の変化に、注目してみて下さい。
まとめ
今回は、NTTのドコモ子会社化について、その理由を解説しました。
これまでのドコモの歴史を見ると、画期的なサービスは独立した企業として、柔軟な発想の下で誕生しています。
これは、企業内だけでなく、他社競争においても相乗的な効果を生み出していたことに間違いはないでしょう。
利用者目線からはサービス利用の幅が広がりそうですが、業界内全体の動向は子会社化をきっかけに大きく変わっていきそうですね。