世の中には、様々な「助成金」がありますよね。
日常生活で活用したことのある人も、もしかするといるかもしれません。
その中には、中小企業向けの助成金も豊富にあります。
しかし、意外と活用状況は芳しくありません。
一体、なぜ中小企業の経営者は、お得な仕組みの活用を検討をしないのでしょうか?
中小企業経営者の助成金事情とは?
中小企業の経営者ならば、少しでも経営上の負担を軽くするために、メリットのある制度は活用すべきです。
助成金は、その最たる例になるでしょう。
ですが、現状では積極的な活用に至っている形ではありません。
まずは、その背景となる事情を見ていきましょう。
・調査から見た活用している中小企業の割合
・活用している中小企業は、どこから情報収集しているのか?
他の中小企業の状況は、中々知ることができませんし、聞きづらい部分がありますよね。
ここからは、一般的な助成金事情を除いてみます。
・調査から見た活用している中小企業の割合
今回は、大同生命で実施された助成金や補助金の活用実態の調査を基にしていきます。
この調査は、2020年2月3日~2月25日に実施されていますので、コロナ禍の影響が本格的になる前になりますよね。
ですが、調査した時点からも分かる情報がたくさんありますから、必見ですよ!
調査内では、全体だけでなく、従業員規模等の項目別ごとに活用状況をまとめています。
この質問で最も多かった回答は、「過去に一度も活用したことはない」の54%で、半数以上となる結果になっています。
私たちからすると、「なぜだろう?」と思ってしまう回答結果になりますよね。
助成金は、お金を受け取るには一定の条件が必要になりますが、それさえクリアしていれば返済する必要がありません。
対象となっている状態なら、絶対に申請した方が良いことが分かりますよね。
一体、利用したことがないと回答した背景には、何があるのでしょうか?
・活用している中小企業は、どこから情報収集しているのか?
先程は利用しない中小企業の割合を見てみましたよね。
一方で、何かしら利用したことのある経営者は、どのような形で存在を知ることができたのでしょうか?
情報を知らなければ、申請までたどり着くことはできませんよね。
同調査では、以下のような形で情報を知ったことが紹介されています。
一番多かった回答は、「専門家からの情報提供」になっていました。
その次に多かったのが、「商工会等の支援機関からの情報提供」「金融機関からの情報提供」になりますので、お金と繋がりのある機関から教えてもらったことになるでしょう。
さらに、もう少し細かく見てみると、「活用したことのある他の経営者からの情報提供」という回答もある結果になっています。
やはり、業務上関わりのある場所や人から教えてもらうというのが、助成金の情報を探す近道になるでしょう。
特に、契約している税理士等から教えてもらったというのは、経営上のアドバイスとしてとても助かりますよね。
このように、経営者自らが情報収集して発見することもありますが、基本的には誰かから教えてもらう形が多いようです。
ですが、誰かから情報提供をしてもらうというのは、運しだいという見方もできますよね。
要するに、ここで紹介された内容が身近になかった場合は、助成金の情報すら経営者の耳に入ってこない可能性が高くなると言っていいでしょう。
参考URL(https://www.daido-life.co.jp/knowledge/survey/202002.html)
助成金活用ができていない!~経営者のホンネに迫る!~
ここで、本題に戻りましょう。
助成金が活用できていない経営者の多くは、どのような意見や考えを持っているのでしょうか?
ここからは、活用できていない理由について2つの視点から迫ります。
①経営者の意見とは?
②社会情勢から考える助成金事情
ひょっとすると、「自分にも当てはまる」という意見があるかもしれません。
今後の経営の参考として、色々な事情を知っておきましょう。
①経営者の意見とは?
そもそも助成金を活用していない経営者は、どのように考えているでしょうか?
「活用しない」という選択をすることは、結構大きな決断になりそうですよね。
大まかな理由は、以下の通りです。
・そもそも助成金があることを知らなかった
・存在は知っていても、自分の会社のどこが対象になるのかが判断できない
・自社の規模では、助成金の対象にならないのでないか?
・受給手続きが複雑なため、対応できない
活用できていないという事情は、意外と経営の中身と関係していますね。
そもそもの存在を知らなかったという場合に関しては、これからリサーチを進めていくと探し出せる可能性があるでしょう。
しかし、2つ目以降からの理由は、経営者ならば誰もが考えたことがあるはずです。
確かに、助成金の情報を発見しても条件に該当するかどうか、その判断がしにくい場合もありますよね。
また、手続きをしたいと思っていても、書類作成に専門的な知識が求められる場合もあり、経営者や従業員では手が出せないこともあります。
これでは、せっかく掴んだ情報を活かすことができません。
この問題の対応策は2つあります。
一つは、情報を知ってから公官庁等の専用の窓口に、自社が該当しているのかを相談してみることです。
このことは、当たり前のように思えますが、意外と諦めてしまって相談していないというケースが多いのです。
実際に手続きするかどうかは、その後で決めて構いません。
まずは、該当しているのかを確認すること。
基本ですが、これに尽きるでしょう。
もう一つは、自社で契約している税理士等がいる場合は、専門家に相談することです。
これは、先程紹介した調査にも出ていましたよね。
税理士の他にも、社会保険労務士がいる場合は、その人に確認してもらっても大丈夫です。
特に社会保険労務士は、助成金の受給手続きも業務の範囲内になりますから、手続き面を全てお任せしても問題ありません。
むしろ、プロに手続き等を任せられることで、経営者は通常の業務に集中できますから、一石二鳥なのです!
いくら経営者であっても、全ての知識に精通している訳ではありませんから、プロに任せられる部分は任せてしまいましょう。
②社会情勢から考える助成金事情
最後に、助成金の活用が消極的な理由として、社会情勢、特に政治に関する影響をお話ししたいと思います。
突然ですが、みなさんは現在ある助成金が、数十年前からずっと存在している内容だと思っていますか?
確かに、内容によっては昔から設けられているものもありますが、最近新設された内容もありますよね。
この流れから分かる通り、助成金が設けられるのはその時々の政治や社会情勢によって、できたりなくなることもあるのです。
その代表例は、自民党から民主党に政権が変わった時です。
この時に政治の変化があっただけでなく、自民党時代には利用できていた助成金がなくなってしまったことを、覚えている人もいるでしょう。
現状では、様々な事例に対応できるような助成金がありますが、それが何かしらのきっかけでなくなることは容易に想像できるのです。
そうなると、情報を集めたとしても、すでに利用できなくなっていたということもあり得るでしょう。
従って、助成金は経営者にとって便利でお得な要素がある一方で、不確定要素も含んでいることになりますよね。
活用時には注意しなければならない部分になりますから、このような事情があることも覚えておいて下さい。
まとめ
中小企業経営者にとって、助成金の活用は経営に大きく関わります。
例えば、新しい設備を購入するにしても、助成金があるのとないのでは出費面等が変わりますよね。
自社が対象になるかどうかは、経営者自身で判断できないことが多いですから、専門の窓口や専門家の力を借りるべきです。
どうしても堅苦しいイメージが先行してしまいますが、中小企業の味方であることは忘れないで下さいね。