企業経営は、無戦略で行うものではありません。
「事業ドメイン」と呼ばれる事業領域を確立しなければ、失敗するリスクが高くなってしまうのです。
なぜ、しっかりと事業ドメインを定めておくことが重要なのでしょうか?
今回は、事業ドメインを設定する重要性とそのメリットをお話しします。
事業ドメインについての基本知識
事業ドメインの重要性を知るには、まず設定する理由について知らなければ意味がありません。
ここでは、事業ドメインの基本知識や経営理念との違いについて押さえましょう。
・事業ドメインは企業の「経済活動を示す事業領域」を示す
・経営理念と対象にしている範囲の広さが違う
経験の少ない経営者だと、まだ馴染みがない人もいるはずです。
早速、内容を確認していきましょう。
事業ドメインは企業の「経済活動の事業領域」を示す
事業ドメインとは、自社が活躍している経済活動の事業領域を意味する用語になります。
もっと分かりやすく説明すると、特定の企業が上手く立ち回れる「舞台」を表します。
もう少し詳しく理解するために、代表例として大手コンビニチェーンの「セブンイレブン」の例を取り上げましょう。
セブンイレブンでは、食品や雑貨だけでなく、宅配、銀行といった多岐に渡るサービス展開をしています。
身近な場所で、色々なサービスの利用ができるのは、消費者にとって嬉しいことです。
これが、セブンイレブンにとっての事業ドメインになるのです。
セブンイレブンでは、コンビニエンスストア事業に対して「近くて便利」という事業ドメイン設定を行いました。
こうして、従来のコンビニの枠組みを越え、多岐に渡ってサービスを受けられる場所として認知されるようになっていったのです。
今の私たちにとっては当たり前の認識ですが、一昔前のコンビニと比較すると大きな変化であることが分かります。
このように、企業自身が輝ける場所を探すといった意味で設定が行われているのです。
今、自社の輝ける場所を、きちんと理解できていますか?
経営理念と対象にしている範囲の広さが違う
よく事業ドメインと勘違いされやすいのは、経営理念です。
経営理念は、あくまでの企業や従業員の行動指針になります。
反対に、事業ドメインは従業員を対象としているのでなく、企業が活躍するであろう市場に向けて設定される概念になります。
もちろん、市場に向けたアプローチをするためには、従業員の意識も欠かせません。
そのため、事業ドメインは経営理念よりも幅広い範囲を含んだ内容を示していると考えるべきです。
類似した用語ですが、対象範囲の広さは全く違いますから、アプローチの範囲に違いがあると覚えておいて下さい。
事業ドメインの重要性~設定することのメリットとは?~
事業ドメインの設定は、企業の成長に欠かせないと言っても過言ではありません。
従って、成長を促す要素になるため、経営の中でも重要性の高い存在だと言えるのです。
そして、設定をすると、2つのメリットが生まれます。
・多角的な可能性を見つけることができる
・経営資源を適切に投下でき、失敗のリスクを軽減できる
ここからは、経営の実践的な部分に触れていきます。
経営面で伸び悩んでいる経営者の方に、参考にしていただければ幸いです。
多角的な可能性を見つけることができる
1つ目のメリットは、企業の新しい可能性を発見できることです。
企業によっては、固定の業種に拘ってしまうことで、成長を止めてしまっていることが少なくありません。
視点を定めることで、新しい市場で成功することが可能になるのです。
何より、企業にとって新しい顧客が生まれることは、業績にプラスになります。
その結果、安定した成長や業績を見込むことができますから、可能性を生み出す意味で重要になるのです。
今までの企業戦略が頭打ちになっていると感じている経営者こそ、事業ドメインの見直しを行って損はありません。
経営資源を適切に投下ができ、失敗のリスクを軽減できる
2つ目のメリットは、経営資源を適切な形で投下できることです。
先程、1つ目のメリットで多角的な可能性を見つけられることをお話ししましたが、無計画に従業員や資産を投下してはいけません。
確かに、可能性を明確にするために経営資源を導入することは大切ですが、成功の可能性が低い部分に投下する意味はないのです。
そのため、不要な多角化を防ぐ意味でも、事業ドメインは大きな役割を果たしています。
当然、従業員や資源は、無限ではありません。
限られた経営資源を有効活用して利益を上げるには、投下先の見極めが必要になります。
具体的なビジョンが定まっていないと、本当に必要な個所に資源の投下ができませんし、重点的に企業の成長をさせるという意味でも、重要度が高いと言えます。
現在までに成功している企業のほとんどは、この見極めが成功したから成長ができているのです。
どうしても企業経営では、失敗することを恐れがちです。
しかし、この感覚は決して間違いではありません。
リスクに対して、きちんと向き合っている証拠だからです。
事業ドメインを設定した結果、必要な事業の取捨選択ができますから、失敗リスクの回避になっているのです。
上記2つのメリットを知ると、事業ドメインを設定する重要性が理解できるはずです。
企業が的確に成長していくためには、可能性のある市場を見極め、そこに適切な経営資源を投下することが求められます。
これは、新しい事業を始めたいから、経営資源を投下するという短絡的な形だと失敗するリスクが高くなってしまいます。
自社の強みだけでなく、顧客が何を求めているのか。
安易に考えず、きちんとしたデータから根拠を導いて検討すると、企業の成長へのきっかけが見えてくるはずです。
そのために、まず考えるべきことは、現状の見直しです。
自社の業務状況を通して、プラスになる部分を探してみて下さい。
些細な内容でも、テコ入れをすれば大きく成長する可能性が十分にあります。
成功できるのは大企業だけに限られませんから、今すぐチャンスを掴み取りましょう!
まとめ
事業ドメインの設定がなぜ重要なのか、ご理解いただけましたか。
こちらは、企業の経済活動を示す事業領域のことを意味する用語で、再設定したことで成功した有名企業がほとんどです。
経営面できちんと事業領域を確立すると、新しい可能性や適切な経営資源の投下が実現できますから、「無駄」が一切なくなります。
成功のヒントはどの企業にもありますから、まずは現状を知り、視野を広げて見てみましょう。