近年は、業務効率化が中小企業を始めとした多くの企業が取り組むべき課題となっています。
そのために様々な点を見直しているのですが、中にはどのようにして取り組んで行けばいいのか分からない、という経営者もいるでしょう。
具体的な、業務効率化の取り組み方について解説します。
業務効率化はなぜ必要なのか?
そもそも、なぜ業務効率化に取り組まなくてはならないのでしょうか?
その背景となっている昨今の社会情勢について、解説します。
また、それと併せて業務効率化のメリットについても解説します。
昨今、多くの企業で問題になっているのが、人手不足です。
企業で中核を占めていた団塊世代の退職と、少子高齢化による労働力人口の減少によって、多くの企業では往年の従業員数を維持することが難しくなっているのです。
それは大企業でも例外ではないのですが、より大きな影響を受けるのは中小企業です。
10万人の社員から1万人減少するのと、500人の社員から50人減少するのとでは、同じ1割でも後者の方が影響は大きいのです。
中には、減少した労働力を残った従業員で埋めようとする企業もあります。
そういったやり方は従業員の過剰労働を招き、ブラック企業と化すのです。
通常の企業は、そうならないようにしながらも売り上げ拡大を目指さなくてはならないという、厳しい状況となっています。
そのために必要なのが、業務の効率化です。
しかし、大企業と比較すると中小企業では労働生産性が低く、人的リソースが乏しいことから、業務効率化は厳しいと考えられています。
それでも、業務効率化に成功している中小企業もあるのです。
中小企業は、大企業よりも業務効率化への取り組みが厳しいものとなります。
そのため、大企業と同じやり方では成功しません。
そのために考えるべき点が、現在の消費動向です。
かつては、資本力に勝る大企業に消費者は囲い込まれていました。
しかし、消費者が情報を取捨選択できる時代になった今は、中小企業も大企業と並んで消費者に選択されるようになっているのです。
そのため、中小企業は業務効率化をすると、大企業にも劣らない経営力を手に入れることが出来るかもしれないのです。
中小企業の業務効率化への取り組みには、このようなメリットがあります。
また、中小企業と大企業の違いとして、中小企業は個人への依存性が高いという点があります。
特定の業務に対しては、社内で対応する人が決まっている、ということが良くあるのです。
こうした個人に依存している部分を、ツールやシステムの導入によって誰でも対応できるようにすることも、業務効率化には必要となる点です。
そうすることで、業務もスムーズに進むようになるでしょう。
業務効率化のポイント
中小企業で業務効率化に取り組む際は、どのように進めていくべきでしょうか?
また、意識するべきポイントはどのような点でしょうか?
取り組みのプロセスと、意識するポイントについて解説します。
プロセスとしては、まず業務効率化に取り組むことを考えるきっかけとなった要求を明確にします。
こうした改善欲求は、現場から出すことができるようにしましょう。
続いては、その業務効率化が可能かどうかを検討します。
実施すると判断した場合は、その論拠に対しての事実関係を調査し、その目的や方向性、どのように取り組むのかといったコンセプトについても決定し、具体的な成功となる結果を定義します。
続いては、問題定義として現場からのヒアリング、および問題となっている点や改善に関する実測を行い、理想的な業務効率化の結果と現実のギャップについて評価します。
そうして、問題となっている点を掘り下げていき、問題の定義について決定します。
定義が終わったら、実際に取り組む際の目標やその期限、取り組むメンバー、必要な予算などを検討した上で、どのくらいのリソースを割り振ることが可能かを判断します。
そのリソース量によって取り組むことができる業務効率化の内容も変化してくるので、取り組み可能な範囲や優先度についても決定します。
ここ迄決定したら、メンバーの調整や役割分担を行い、正式に業務効率化への取り組みを実施します。
そうして、途中経過を見ながら再度予定を検討し直していきます。
このときのポイントとなるのが、「ECRS」といわれるものです。
Eliminate、Combine、Rearrange、Simplifyの4つの頭文字を合わせたもので、業務効率化に取り組む際は常に意識しなくてはいけません。
Eliminateは、無くするという意味です。
業務の中で、排除しても問題ないものを検討するもので、業務の目的やその理由などに明確な根拠がないものがないか、全体の業務の内容やそのやり方等を洗い出して無駄を削除するというものです。
業務上、無駄なものがなければそれでいいのですが、実際には多くの無駄があるものです。
例えば、従来の設備では必要だった検査項目が、その必要がない新型の機器に更新されても残っているということもあり得ます。
無駄を改善するのではなく無くすることができれば、工数自体が少なくなるため大きな効果を得ることができるでしょう。
また、それに必要な労力が少ないため、真っ先に取り組むべきポイントです。
Combineは、まとめるということです。
例えば、別々の部署で行っている作業が似たようなものであれば、それを一本化することで全体的な作業効率は向上します。
また、部内で行われる会議が3種類ある場合などに、それを一本化して1度に終わらせることで、その会議に費やされる時間が削減されます。
ただし、なんでも一本化すればいいわけではなく、業務内容によっては別々のほうが効率よく進められることもあります。
Rearrangeは、組み替えるという意味です。
現状の作業の順番、あるいはそれを行う場所などを組み替えることで、効率が良くなるかどうかを検討する方法です。
例えば、使用する機器などが変更されて以前の順番では効率が悪いのに、そのまま続けている場合、その順序を変更して効率を高める方法もあります。
様々なシミュレーションで作業順や営業ルートを組み替えて効率を高めることで、業務効率が上がるだけではなくコスト削減にもなります。
Simplifyは、簡単にするということです。
これは、業務の一部を自動化、あるいはパターン化するなど、業務を簡素化するということです。
この時は、設備などへの投資が必要となることもあるでしょう。
正しく計画し、その通りに運用できれば大きな業務効率化も達成できるかもしれません。
時には、イノベーションにつながることもあるでしょう。
成功させるには、投資に必要な資金とアップするパフォーマンスのバランスを考慮しなくてはいけません。
具体的な方法としては、まずマニュアルを整備しましょう。
そうすることで、特定の従業員にだけ頼るようなことはなくなり、技術習得にかかる時間も短縮できるようになるため、人的コストの削減にもなります。
業務をフォーマット化して、可能なところは自動化することも大切です。
また、従業員の働く場所や勤務時間も、フレキシブルにしましょう。
特に、テレワークを前提とした場合に重要です。
一部の業務に関しては、アウトソーシングも検討しましょう。
そうすることで、従業員はより生産性の高い業務に取りかかれます。
これらの方法のうち、複数を組み合わせて実施しましょう。
まとめ
中小企業にとって、業務効率化に取り組むことはかなり大変です。
しかし、それに成功すると中小企業が抱える悩みも解決できることがあります。
また、今後更なる発展を目指すのであれば、必須ともいえるでしょう。
今は、業務を効率化するための様々なツールもあります。
自社に必要な方法を見極めて、業務効率化に取り組んでいきましょう。