税金には、様々な種類があります。
その中で身近なものの1つに、ガソリン税があります。
しかし、このガソリン税には多くの人が気付いていない、闇の部分があるのです。
ガソリン税の闇というのは、どのようなものなのでしょうか?
その詳しい内容について、解説します。
そもそもガソリン税とは?
車を動かすには、ガソリンが必要です。
車を使う人は、ガソリンスタンドで給油をして当たり前のようにガソリン代を支払っているでしょう。
そして、そのレシートを見ると、ガソリン税が含まれていることが分かります。
しかし、ガソリン税というのはそもそも何なのでしょうか?
何気なく支払ってはいるものの、その使い道などは知らない人も多いでしょう。
ガソリン税は、どのように使われているのでしょうか?
ガソリン税の主な使い道は、道路の補修です。
道路にはアスファルトが敷かれていますが、時が経つにつれてひびが入ったり摩耗したりしてしまいます。
アスファルトの上を人が歩いても、劣化することはまずありません。
劣化の原因となるのは、車やバイクなどの車両です。
そのため、道路の整備費用は車を使う人に負担してもらおう、ということでガソリン税が誕生しました。
誕生したのは、およそ50年前です。
当初は道路特定財源として、目的税でした。
しかし2008年限りで一般財源化されました。
これは、「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律案」が成立して、道路特定財源制度が廃止されたためです。
それによって、ガソリン税がそのまま道路補修費用とはならなくなったのです。
ガソリンの小売価格を詳しく分けると、以下のようになっています。
・ガソリン1L当たりの小売価格の内訳
消費税
上乗せ分 25.1円
本則税率 28.7円
石油・石炭税 2.8円
ガソリン本体価格
元々の税率でいうと、ガソリン税は28.7円です。
しかし、それに上乗せ分というものが加算されています。
これは、1974年から暫定税率として加算されているものです。
道路整備計画の財源が不足したことで、租税特別措置法によって本則税率と同額の暫定税率が加算されることになっていたため、ガソリン税は本来の2倍となっていました。
そして一旦失効したのち復活して、上乗せ分という名称になりました。
そして現在は、ガソリン1Lあたり53.8円のガソリン税が課されることとなったのです。
約束と異なる暫定税率
暫定税率、現在の上乗せ分に関しては、元々トリガー条項というものが定められています。
もし、ガソリンの小売価格が160円を超え、それが3か月間続いた場合は、課税停止されることとなっていたのです。
しかし、現在はそのトリガー条項が凍結されています。
それは何故かというと、その理由となっているのが東日本大震災です。
その復興資金が必要となるため、税金を減らすことはできないという意見から、凍結されています。
しかし、東京など都市部に住んでいる人は、公共交通機関を主に使うため車の利用は少なく、ガソリン税の負担も大きくありません。
東北など地方に住む人々の方が車の利用も多いため、ガソリン税を負担する割合も大きくなるのです。
つまり、復興するべき地域に住む人々が、そのための資金となるガソリン税を負担する割合が大きくなるという状態になっているのです。
その結果、地域格差も拡大しているのです。
ガソリンの小売価格のうち、4割近くは税金となっています。
その税金が、道路整備に使われるとしたら問題はないでしょう。
しかし、一般財源である以上は、その使い道に制限がないのです。
ちなみに、ガソリン税のトリガー条項の凍結に関しては、松野官房長官から凍結解除は考えていない、というコメントが出されていました。
その理由は、買い控えが起こることを懸念して、ということでした。
トリガー条項の凍結が解除されて、時期にガソリンが安くなるのなら、それまで給油せずに待つ人が増えてしまうことが懸念される、という意見ですが、まずありえないでしょう。
特に地方で暮らしている人々であれば、車は毎日の足です。
ガソリンは毎日消費して、無くなる前には給油しなくてはならないものなので、安くなるまで待つということはできないのです。
このガソリン税には、地方税も含まれています。
それを下げると、地方の財源にも影響が出てしまいます。
そういった面でも、減税は避けたいと考えているでしょう。
車を保有していない人であっても、ガソリン代が高くなると影響は出ます。
宅配便など、物流の面で料金が上がる可能性があるのです。
ガソリン代が高騰すれば、配達料が高くなるか運送会社がそれに耐えるかのどちらかとなるでしょう。
全国民に影響が出るのですが、それを安くする方法は簡単です。
ガソリン税を削ればいいのです。
しかし、せっかくの財源を減らすというのは国としてなかなか行えるものではありません。
ガソリン税の在り方
政府では、備蓄していた石油の放出をすることを決定しました。
しかし、その効果は限定的です。
原油先物価格が上昇している中で、限りある備蓄を放出したとして価格上昇を抑える効果にはそれほど期待できないのです。
また、地方こそガソリンを大量に使ってガソリン税を支払っているのに、地方の道路はそれほど整備されていません。
東京などの大都市が、優先されます。
そのため、ガソリン税という仕組みは地方からお金を吸い上げて中央に還元する、地方を衰退させる政策と言えます。
税金に消費税がかけられているため、二重課税であるともいわれています。
このような問題点が多数あるガソリン税については、見直しをするのが当然ともいえます。
漠然とガソリン税を支払うのではなく、問題点にも目を向けておかしなところはおかしいと声を上げましょう。
まとめ
ガソリン税は古くからある課税制度ですが、その内訳に上乗せ分という部分があることについては、あまり意識していない人も少なくありません。
この点は、以前から国会の議題にも取り上げられているのですが、一時的に撤廃されたことはあっても再び復活していて、さらに上乗せ分を減額できるタイミングでも、そうならないような制度を追加されています。
深い闇をはらんでいる制度なので、詳しく知っておいたほうがいいでしょう。