社員ががんにかかる時代、貴重な人材を失わないためにすること

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現在、日本人の死因第1位はがんです。
起業で働く従業員の中にも、がんにかかる人は少なくありません。
そういったがん患者に対して、政府でも様々な取り組みを行っています。
しかし、企業でも貴重な人材を失わないために、対策が必要なのです。
どのような対策を行えばいいのか、解説します。

がんは身近なものに

日本人の死因は様々なものがありますが、過去には欠格や脳血管疾患が死因の第1位でした。
しかし、1981年から現在までは悪性新生物、つまりがんが死因の第1位となっています。

がんと診断される患者は、年間100万人以上います。
そして、年間30万人以上がそれを死因として亡くなっているのです。
がんは年齢に関係なく、若い世代でも発症することがある病気なので、対策が必要なのです。

政府では、がん対策基本法を2006年に策定しました。
そして、2016年にはそれを見直し、がん患者の就労支援の施策なども追加されています。
また、働き方改革でも病気の治療と仕事の両立の支援を掲げています。

社員ががんになることが増えている今の時代は、企業でも独自にがんへの対策を行う必要があります。
特に、従業員が高齢化していることが多い中小企業では、健全な会社経営のために重要となるでしょう。

とはいえ、企業ががんになることを防げというわけではありません。
そうではなく、がんになった社員も受け入れられる体制づくりをしなくてはならない、ということです。

がんは、発症数が多く死亡率も高い病気ですが、医療の進歩によって完治、あるいは病気の進行を抑えて安定状態を長期間保つことに期待できるようになっています。
がんの5年相対生存率でも6割以上が生存していて、年々増えつつあるのです。

がんの治療のための抗がん剤、もしくは放射線治療なども、以前と比較してかなり副作用は抑えられています。
また、外来化学療法で通院治療を行うことも増え、治療中であっても日常生活を送れるようになっている患者も多いのです。

そうなると、考えられるのが仕事への早期復帰です。
がんの治療をしながらでも、働き続けることができるようになっているのです。
起業では、それを受け入れるための対策が必要とされるのです。

また、がんになるともう助からない、長期間の入院が必要となるという誤解をしている人も少なくありません。
従業員がそう誤解して仕事を辞めてしまうケースや、企業が積極的に休職、もしくは退職を勧めるケースもあります。

中には、どうしても通勤時のラッシュに耐え切れないという理由や、通院のために有給休暇を使い果たしてしまって退職を余儀なくされるケースもあるでしょう。
とはいえ、せっかく業務に精通している人材を、簡単に失うのは避けたいという企業も多いでしょう。

それを失わないために、企業が対策を行うべきなのです。
例えば、通勤ラッシュを避けられるように通勤時間をずらしたり、有給を1日単位ではなく時間単位で取れるようにしてフレキシブルな対応をしたりするだけでも、離職率を低くできるでしょう。

中小企業では、そんな余裕がないと経営者が考えているケースも少なくありません。
しかし、こういった支援は何も人道的視点からというわけではありません。
こういった対策ができる企業であれば、その後の業績の伸びにも期待できるのです。

せっかく育てた人材が失われた場合、その代わりは早々見つかりません。
また、人材を見つけても業務の引継ぎや教育には時間がかかってしまいます。
何より、仕事上でそれまで培われた信頼は、戻ることもないでしょう。

担当者が変わったことで、その後の取引に支障が出るケースも珍しくあります。
そのため、たとえ治療をするために休みを取るようになったとしても、その事情を把握して従業員が働き続けられるようにしておくと、大きなメリットがあるのです。

社員が病気になった場合はどう対応するのかは、他の従業員が見ています。
それで便宜を図ってもらえないようだと、自分も病気になった場合は会社から捨てられてしまうと思い、モチベーションの低下にもつながるでしょう。

その反対に、対策をして働き続けられるようにすれば、自分も何かあった時安心だとモチベーションを上げて働くことができるのです。
そのためにも、対策をすることは重要なのです。

社員のがんへの対策

では、具体的にどのような対策をすればいいのでしょうか?
出来ることをまず行うべきなので、最初はインターネットを活用して情報源にする事から始めましょう。

がんについての正確な情報は、国立がん研究センターにあります。
そのがん情報サービスのがんの基礎知識を見ることで、基本的な情報を得ることができるでしょう。
また、治療法なども記載されています。

また、がんと就労という項目には具体例も載せられています。
実際に働き続けた人の事例や、がん対策に取り組む企業の例なども具体的に知ることができるので、まずはそういった情報を把握してみましょう。

また、こういった物はセミナーなども行われているので、積極的に参加してみましょう。
がん患者が身近にいる場合は、聞き取り調査も行ってみてください。
そうして、どんな制度があればうれしかったのかも聞いてみるといいでしょう。

がん患者対策としては、まず現在の支援制度を総点検します。
そして、検査や治療のために休む場合も便宜を図れるようにしておきましょう。
また、困ったことがあったら相談できるように、社内の相談窓口も用意しておくべきです。

治療を受けながら働けるようにするには、在宅勤務やフレックス制度、時短勤務制度などの導入も考えてみましょう。
そういった制度の中で、活用できそうなものをリストアップして備えておいてください。

また、制度を制定した場合はそれを社内に広めることも忘れないようにしましょう。
そうしなければ、がんになった場合は仕事を辞めなくてはいけないと思う人も多くなります。
安心して働けるような制度を制定するのなら、その周知徹底も忘れないようにしましょう。

まとめ

がんというのは、かつて不治の病でしたが、今は特効薬こそないものの効果的な治療法がいくつもあるため、働きながら治療をする人も増えています。
企業では、そういった人が安心して働けるような体制づくりをしておきましょう。
がん患者が働くには、何が問題で何が必要なのかをしっかりと把握しておいてください。
そして、それを基に体制を作り上げていくといいでしょう。