都の太陽光パネル設置義務化とジェノサイドについて

その他

東京都都議会では、2022年12月に東京都内で新築する住宅には太陽光パネルの設置を義務化する、という条例を可決しました。
施行されるのは2025年からとなるのですが、この条例については「ジェノサイド条約」とも呼ばれています。
太陽光パネルの設置義務化と、ジェノサイドにどのような関係があるのかを解説します。

なぜ、ジェノサイド条約と呼ばれるのか

太陽光パネルの設置義務化は、東京都内で住宅を新築する際は、屋根に太陽光パネルを設置しなくてはならない、というものです。
この義務を負うのは住宅メーカーであり、設置費用の補助金なども都から給付われます。

住宅メーカーでは、太陽光パネルの設置が可能な新築住宅の数や発電容量の目安などを報告する義務があります。
そのため、全ての住宅に設置しなくてはならない、ということもありません。

この条約は、二酸化炭素排出量を減少させる効果が見込まれます。
現在、日本では温室効果ガスの排出量を減少させて実質ゼロにするカーボンニュートラル宣言を出しているため、太陽光パネルを増やすことは大きな助けとなるでしょう。

この条例には、太陽光パネルの維持や廃棄にかかるコストや補助金制度の内容、安定した電力供給ができないこと、災害時のリスクなどの問題が懸念されています。
そして、何より批判されているのが、中国におけるジェノサイド問題を増長させる可能性がある、という点です。

現在、太陽光パネルは95%が中国製で、大きなシェアを占めています。
そして、その多くが新彊ウイグル地区で起こっている人権弾圧度強制労働に関係していると言われているのです。

新彊ウイグル地区は中国の北西部にある自治区であり、ウイグル族が45%、漢民族が41%を占めています。
そして、問題となっているのがウイグル族市民のうち100万人から300万人ほどが、強制収容所に拘留されているという点です。

ウイグル族は、2009年に暴動を起こし13年にも天安門で自爆テロを起こしています。
それ以前にも何度か暴動が起こっていて、ウイグル族の行動には中国も注目しています。
今は、同じウイグル族が監視している例も増えています。

そして2021年になり、アメリカ政府では中国のウイグル族に対する弾圧を、国際条約で定められている民族大量虐殺、ジェノサイドであると判断し、人道に対する罪だと認定しました。

日本ではこの認定に対して、軍事評論家や大学の政治学教授などが賛成、反対それぞれの意見を述べています。
中国のジャーナリストには、日本はアメリカの主張を鵜吞みにして中国を批判することが多いと分析されています。

カナダの下院やオランダの議会でもアメリカの主張は認められ、イギリスの下院でも同様に認定されました。
そして翌年、フランス国民議会でもジェノサイドだという認定がほぼ全会一致で可決しています。

欧米のほとんどは中国を批判していますが、親中派のロシアなどは中国を擁護する立場をとっています。
日本では慎重な姿勢を見せ、まだはっきりとした認定をしていません。

それでも、国連人権理事会では新彊ウイグル自治区の人権状況に対して、他の40か国余りと共に深刻な懸念を抱いていると共同声明を発表しています。
また、台湾の蔡英文総統もインタビューで、ウイグルへの弾圧を止めるべきと呼びかけています。

そして、中国製の太陽光パネルには、ウイグル人が強制労働させられて製造されたものもあるとされています。
それを踏まえて、アメリカなどでは中国製太陽光パネルの一部を輸入差し止めしています。

日本でも、条例の決定前にこのことを小池都知事に質問しています。
太陽光パネルの需要を増やすことは、ジェノサイドを助長することになるのではないか、という懸念を含めた質問だったのですが、それに対しては人権尊重への継続的な取り組みを促進することが重要と回答していました。

しかし、この条例が施行されると間違いなく太陽光パネルの需要は上がります。
その際、第一候補となるのが輸入禁止となった製品でしょう。
そうなれば、中国ではさらにウイグル人に課す労働が厳しくなると思われます。

そのため、太陽光パネルの設置義務化は中国のジェノサイドに加担する行為だとして、批判が相次いでいるのです。
また、これが実施された場合は都民も間接的に加担したとみなされかねません。

太陽光パネルは中国優遇策?

国際的に太陽光パネルの製造に伴うジェノサイドが問題視されている今、なぜ小池都知事は太陽光パネルの設置を義務化することを推し進めたのでしょうか?
それは、中国への助け舟ではないかとも言われています。

現在、中国製の太陽光パネルの一部はアメリカで拒否したことで、船に積まれたまま宙ぶらりんになっています。
その受け皿として、今回の条例を可決したと言われていることは、それほど的外れではないかも知れません。

以前、小池都知事は中国に対して33.6万着の防護服を提供したことがあります。
その結果、東京都で防護服が不足することとなり、日本の医療従事者はゴミ袋を防護服代わりにして治療にあたることとなりました。

当時、現状を悲しまれた秋篠宮一家はゴミ袋を使って防護服を作り、医療従事者へと提供していました。
都民の税金で備蓄されていた防護服を、なぜ中国を優先して提供したのかと批判の声が集まっていたのは記憶に新しいでしょう。

今回の条例も、それに似たような目的を感じるのです。
表面的には、日本のため、東京都民の生活を豊かにするため、そしてSDGsのためなど様々な理由があるのですが、果たして中国の現状を慮っていないと言い切れるでしょうか?

今後、義務化されたときに使用する太陽光パネルが国産のものなら、特に問題はないでしょう。
しかし、中国製でジェノサイド疑惑がある製品だった場合は、中国のための施策だったと言えるかもしれません。

まとめ

太陽光パネル設置義務化法案は、一部でジェノサイド条例と呼ばれています。
中国で問題になっているウイグル自治区での虐待がジェノサイドと判断され、そこで製造されている太陽光パネルを使用した場合、ウイグル人の強制労働を推進することとなり世界的な方針と逆行する条例となるからです。
太陽光パネルの95%は中国製であり、そこにはジェノサイドに関わる製品も少なくないたいため、今後も批判を受けるでしょう。