過去日本で起きた火山の歴史

事故・災害リスク

日本では地震や台風など様々な自然災害が頻繁に起こっていますが、火山が多い日本では噴火に対しての備えも欠かすことができません。
日本の火山は、過去にどのくらい噴火しているのでしょうか?
過去に、日本で起こった火山の噴火の歴史について、解説します。

昭和より前に起こった火山噴火

日本には、噴火の可能性がある活火山が111山あります。
世界全体の約7%に当たる数で、日本の国土の広さを考えるとかなり多いといえるでしょう。

多くの活火山がある日本では、昔から様々な山が噴火しています。
噴火ははるか昔から起こっていて、記録に残っていない噴火もあるでしょう。
1世紀から昭和になるまでの間に起こった火山の噴火について、解説します。

6世紀前半に、現在の群馬県にある二ッ岳が30年おきに2度噴火して、二ッ岳の集落を壊滅させたといわれています。
764年には、現在の鹿児島県の桜島が噴火して80名余りの死者が出ています。

864年には、日本の霊峰である富士山が噴火しました。
貞観大噴火と呼ばれる噴火で、記録にある富士山の大噴火の中で最も規模が大きく、青木ヶ原樹海を形成しました。

874年に現在の鹿児島県の開聞岳が噴火し、山頂火口に溶岩ドームを形成しました。
直接の死者ではなく、火山灰の降灰で作物が枯れてしまい、川も濁ったことで多数の病死者が出ています。

1108年に噴火した、現在の長野県にある浅間山が噴火し、天仁大噴火と呼ばれました。
12世紀初めの気温の1℃低下や欧州の月食、数年にわたる異常気象の原因という可能性も指摘されています。

1470年には、栃木県の那須岳が噴火していて、噴石や埋没によって180名余りの死者が出ています。
翌年は桜島が再び噴火して溶岩が流出したことで多数の死者が出ており、文明大噴火と呼ばれました。

1596年に浅間山が再び噴火し、噴石によって多数の死者が出ています。
1640年には北海道駒ケ岳が噴火し、山体崩落に伴って内浦湾に岩屑雪崩が流入したことで大津波が発生して100余隻の船舶に被害が及び、700名以上が溺死しました。

1663年には現在の北海道の有珠山が記録上最大の噴火をして、空振が庄内平野まで届いたとされています。
1664年には沖縄県最北端の硫黄鳥島が噴火し、地震が起こり死者も出ています。

1707年には再び富士山が噴火して、宝永山を形成しました。
江戸に数センチの降灰と7億立方メートルにもなる噴出物によって家屋や耕地に被害が生じ、多数の餓死者が出ました。

1716年には、現在の鹿児島県にある新燃岳が噴火して、5名の死者と31名の負傷者が出ています。
1721年の浅間山噴火では、登山者15名が死亡し、1名が重傷を負いました。

1741年に現在の北海道の豊島大島で起こった噴火では、山体崩壊によって岩屑雪崩が生じ、大津波を起こしました。
津軽地方で1,467名が生じ、家屋は791棟、船舶は1,521隻が被害を受けました。

1764年には、現在の北海道にある恵山で噴気により、多数の犠牲者が出ました。
1779年と1781年には桜島が続けて噴火し、海底噴火や海中噴火も伴い津波も生じて合計168名の死者が出ました。

1783年になると伊豆諸島の青ヶ島が噴火し、61戸の家屋が焼失して7名の死者が出ました。
青ヶ島は、1785年にも噴火して島民の半数近くが死亡しました。
1783年には浅間山でも噴火が起こり、1名が即死して計1,443名の死者が出て、957戸が流されています。
1791年には雲仙岳が噴火し、翌年は普賢岳が噴火して大津波が起こり、15,000名以上が死亡した、国内での火山の最大の被害者数となりました。

1822年には有珠山が噴火し、山麓の集落が火砕流によって全滅し、103名の死者が出ています。
1846年には恵山の噴火で泥流が発生し、多くの死傷者が出ました。

1888年には現在の福島県の磐梯山が噴火して、土石流が発生したことで477名が死亡、28名が負傷しています。
また、噴火で移動した土砂が融雪期の洪水を引き起こしました。

1900年には、福島県の安達太良山が噴火して、火口の硫黄採掘所を直撃しました。
採掘所は全壊し、72名の死者と10名の負傷者が出て、山林耕地被害を受けています。

1914年には桜島が再び噴火して、58名の死者と112名の負傷者が出て2,140戸が全焼しています。
1926年には北海道の十勝岳が噴火し、119名の死者が出ました。

昭和以降の火山の噴火

昭和になってから起こった噴火は、まず1929年の北海道駒ケ岳の噴火があります。
死者は2名に抑えられたものの、家屋は1,915棟が損壊して、家畜は136頭被害を受けています。

1940年には三宅島で噴火が起こり、火山弾や溶岩流によって死者が11名、負傷者が20名出ています。
1952年、伊豆諸島の岩礁体であるベヨネース列岩で海底噴火が起こった時は、海上保安庁の観測船が遭難し、乗員31名が全員殉職しています。

1955年にふたたび桜島で噴火が起こっていて、5日間で8回爆発しました。
1955年の噴火以降は、2001年までの間断続的に爆発が起こっていました。
1958年には、熊本県の中岳で噴火が起こり、噴石によって12名が死亡、28名が負傷しました。

1991年に起こった雲仙岳の噴火では、火砕流が発生して報道関係者など計43名が死亡し、3人が行方不明、9名が負傷しています。
2000年に三宅島が噴火した際は、岩脈乾乳やカルデラ、低温火砕流、火山ガスの放出などが同時発生した有史で前例がない種類の活動で、さらに噴火口から排出される二酸化硫黄の平均量は、世界でも類を見ないほどの量でした。

2014年には、長野県の御嶽山が噴火しました。
水蒸気爆発によるもので、山頂付近の登山者が被災して63名の死者・行方不明者が出た、国内では戦後最悪の火山災害となりました。
2015年には口永良部島で噴火が起こりましたが、全島民は避難していました。

上記以外にも、死者や負傷者が少ない噴火はいくつもあります。
また、近年は火山噴火の予測システムがあるため、噴火が起こる前に周辺の住民が避難できるケースも多くなるでしょう。

まとめ

日本には多くの火山があるため、昔から多くの火山活動が起こっていました。
火山活動の内容は、噴火や火砕流、水蒸気噴火などによって周囲の人や家屋が被害を受けるものから、地形が変化するほどの規模の噴火などもあります。
火山の噴火によって、これまで多くの命が奪われてきました。
しかし、現在では火山噴火予測システムもあるため、ある程度事前に予測できるでしょう。