空き家が発生する原因とは?

その他

日本では、近年空き家が増え、危険性などが懸念されています。

増え続ける空き家への対策として、空き家法といわれる新しい法律も施行されたものの、空き家が減少する傾向はみられません。

そもそも、空き家はなぜ発生するのでしょうか?

空き家が発生する主な原因について、解説します。

使わないため放置されているケース

空き家というのは、誰も生活の拠点としていない家のことです。

生活の拠点としていないだけで、誰かが所有はしています。

しかし、家があるだけで誰も住んでいないと、空き家になるのです。

当然、元々家があるのですから誰かが住んでいたのですが、住む人がいなくなったため空き家になっています。

少子高齢化で人口が減少しているため、世帯数も減少し、古い家に住むのを避ける人や集合住宅へと引っ越す人などがいて、家が余っているというのも原因の1つです。

高齢化が進んだことで、施設に入居する高齢者も増えています。

高齢者が住んでいた家から子供が既に出ている場合、わざわざ古い家に引っ越したくはないという理由から空き家になっているケースもあります。

また、日本人は新築住宅の方を好むというのも理由の1つです。

家を探すとき、予算の問題がなければ土地を買って自分で家を建てるという人が多いので、中古住宅の需要が低くなって空き家が増えているのです。

特に、建物が古く済むのには不便という住宅が建っている場合、わざわざ住みたいという人はあまりいません。

老朽化した住宅は、現在のニーズに適していないでしょう。

わざと空き家にしているケース

空き家の中には、所有者がわざと放置しているケースも少なくありません。

建物を残しておくことで、固定資産税の節税になることがあるのですが、なぜ残しておくことで節税になるのでしょうか?

不動産には、固定資産税と都市計画税が課されます。

土地と家屋には、それぞれの評価額に一定金額をかけた課税標準額を基準として、固定資産税は1.4%、都市計画税は0.3%をかけた税金が課されます。

建物があれば課税対象が増えるのですが、代わりに土地の固定資産税が減税されるのです。

小規模宅地の特例というものがあり、土地にかかる固定資産税が軽減されるのです。

200平方メートル以下の部分の固定資産税は6分の1となり、200平方メートルを超えた部分も3分の1に軽減されます。

また、都市計画税は200平方メートルまで3分の1、それ以上は3分の2になります。

つまり、家屋の価値が土地の価格の6分の1以上安ければ、空き家にしたままの方が税金は少なく済むのです。

ただし、空き家法が施行されたことで節税のメリットは薄くなっています。

空き家を放置するデメリット

空き家を何も対策せず放置しておく人には、様々な思惑があると思います。

空き家があることで土地の固定資産税が安くなる、いずれ今の家から引っ越して空き家に住む可能性がある、誰か利用したい人がいるかもしれない、土地の値段が上がるまで売らないでおきたいなど、人によって理由は異なるでしょう。

しかし、いかなる理由があったとしても、一定期間以上空き家を放置していると大きなデメリットが生じることになるのです。

具体的には、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

まず、放置している空き家であっても自分の資産である以上、所有している間は固定資産税がかかります。

建物は、売却したとしても値段が付かない状態であっても資産価値はあるので、基本的に固定資産として評価額が付けられ、税金も支払わなくてはいけないのです。

また、実は新築の住宅であれば一定の要件を満たしている場合に、一定期間税額が優遇される特例があります。

古い住宅には特例がないため、税金が新築より高くなることもあります。

また、平成27年には空き家対策特別措置法が施行されました。

通称空き家法といわれる法律で、空き家の中でも一定の要件を満たしたものを特定空き家に指定することが定められています。

指定を受けてしまった住宅には、いくつかの不利益が生じることになります。

特に問題となるのが、小規模住宅用地の特例が適用されなくなるという点です。

つまり、税金が安くなるからという理由で建物を残している場合、節税にはならなくなるのです。

小規模住宅用地の特例では、土地にかかる固定資産税が最大で6分の1に軽減されるため、適用されなくなった場合は最大で6倍になってしまうのです。

もちろん、建物に対しても今まで通り課税されるので、単に土地の税金が高くなる分損をする、ということになってしまいます。

また、特定空き家に対しては行政が介入できるようになります。

最初に指導などを受けることになりますが、指導を受けることで問題点が改善されない場合は行政による強制執行、つまり強制的に解体されてしまうこともあり得ます。

当然、強制執行の場合は所有者に解体費用が請求されます。

特定空き家としての指定を受けなかったとしても、やはりデメリットはあります。

空き家の多くは老朽化しているため、強風や災害などをきっかけに破損・倒壊する可能性がかなり高いでしょう。

破損や倒壊によって、周囲に何かしらの被害を生み出すことがあるのです。

例えば、台風などで屋根が飛んでいく映像などをニュースで見ることがあります。

実際に、自分が所有する建物で屋根が飛ぶような事態となった場合、飛ばされた屋根が歩行者に激突したり、あるいは近隣の住宅にぶつかったりすることもあります。

もし歩行者や他の家に被害を与えた場合は、損害賠償を支払わなくてはいけなくなるのです。

他にも、放置していることで生じた害虫・害獣被害や植物の繁茂などで、近隣トラブルへと発展することも考えられます。

場合によっては裁判沙汰にもなりかねないので、空き家はあまり放置しておかない方が良いのです。

まとめ

日本で空き家が増えるのは、少子高齢化が進んだことで家を出て施設に入る高齢者が増え、今まで住んでいた家から出てしまい代わりに住む人がいないケースや、新築住宅が増えて中古よりも新築を好む人が多いというケースなどの原因があります。

また、解体して更地にするよりも、家を残しておいた方が固定資産税の節税になるというのも、原因の1つです。

放置していると犯罪に繋がることもあるので、きちんと対策をしておきましょう。