中小企業トップは金利ある世界の到来をどう受け止め対策するのか?

事業運営リスク

日本は長らく超低金利になっていたのですが、日銀は金融政策決定会合の中で、政策金利の引き上げを決定しました。

今まで、日本では金利がほとんどなかったのですが、今後は金利が上昇したことで融資も受けづらくなるでしょう。

金利ある世界での、中小企業が取るべき対策について解説します。

金利が上がる影響

金利は、身近な生活にも影響するものであり、特に関心を持たれているのが住宅ローンと、預金金利でしょう。

主要銀行は、政策金利の引き上げによって早々に預金金利を引き上げることを発表しました。

今後どのようになるのかは不透明なのですが、日銀総裁は今後も利上げをしていくという意向を示唆しているため、今後さらに金利が上昇する可能性があるのです。

1990年代には、金利が4%以上もあったことから、今後金利がさらに高くなる可能性もあります。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査2023年」によると、二人以上世帯の平均貯蓄額は1307万円、60代に限ると2026万円です。

もしも預金をはじめとした金融資産の金利が1%上昇した場合は、全世帯平均で利息が年間13万円、60代であれば20万円増加することになります。

しかし、中小企業の場合は貯蓄の利息よりも、銀行融資を受けていることが多いため、金利の方が気になると思います。

中小企業の中でも、リフォーム会社や不動産会社などは、金利上昇の影響を特に大きく受けることになるでしょう。

金利が上昇すると、住宅ローンを利用する人が少なくなってしまい、リフォームなどの利用者も少なくなってしまいます。

また、住宅ローンの金利が上昇したことで家計への負担が増えてしまい、買い控えが増加する可能性もあるのです。

借入がなければ影響はない?

銀行から融資を受けておらず、預金などもあまりない中小企業の場合は、金利が上昇したとしても特に影響はないのでしょうか?

実は全く影響がないというわけではないのですが、多い場合と少ない場合、業種によっても異なります。

例えば、鉄道や電気関係の業種の場合は借入金が多い傾向があるので、金利上昇の影響を大きく受けてしまい、支払う金利が増えて減益になる理由になってしまうのです。

また、金利が上がった場合は円高になってしまうことが多いので、製造業にとっても減益の原因になってしまうでしょう。

金融業は、金利が上昇することは利ザヤが増えるということになるため、増益要因になるのです。

また、輸入が多い業種も円高になるほど購買力が増すため、金利の上昇によって増益になる可能性が高いでしょう。

正確な影響は企業によって異なるので、中小企業はいったん負債比率を確認しておいた方が良いかもしれません。

政策金利の引き上げに関する意見として、住宅ローンなどの一部の貸出金利が上昇するため、一部だけを見ればマイナスの影響しかないというものがありました。

しかし、マイナスの影響は限定的なものなので、大きな影響にはなりにくいだろうとも話していました。

日銀では、物価上昇の目標を2%としているのですが、実は生鮮商品を除いて毎年2%以上消費者物価指数は上がっています。

今春は、定額減税や賃上げなどの影響もあり、利上げをしたとしても個人消費にはあまり大きな影響はないと判断され、利上げに踏み切ったようです。

一方、賃上げや定額減税の効果に持続性はないため、効果が終わった後は個人消費が低迷する可能性もあります。

利上げに関しては、26カ月にわたって賃金はマイナスとなっているので、利上げには慎重な姿勢を取る人もいたようです。

今回、利上げに伴って景気は拡大していくのか、あるいは途中で折れてしまうことになるのかは、

利上げを吸収して景気拡大が続くのか、景気が腰折れしてしまうのかは、今後の取り組み次第でしょう。

金利ある世界への対応策

中小企業の経営をする上で、金利が上がったことによる影響は無視できないのですが、対応策としてはどのような方法があるでしょうか?

多くの業種では、原材料費などのコスト増に伴って販売価格の引き上げが進められていて、現状はコスト上昇分の約半分が上乗せされています。

今後は、原材料価格だけではなく人件費の分も上乗せして販売できるよう、交渉を頑張る必要があるでしょう。

利益を向上させる対策としては、補助金を活用するという方法があり、中小企業では生産性向上のため、3つの補助金があります。

1つ目はものづくり補助金といって、人手不足を解消するための取り組みを行う場合に申請できます。

ものづくり補助金の補助率は最大で3分の2、補助の上限額は1億円となっていて、かなり補助金が多いのです。

2つ目はIT導入補助金といって、効率化を目指してシステムを導入するための費用などが対象になります。

企業にITを導入するためのIT補助金の補助率は最大で5分の4で、補助の上限額は450万円となるのです。

3つ目は、人手不足を解消するためにロボットなどの汎用製品をカタログから選ぶという電力化投資補助金があります。

電力化投資補助金は、補助率が最大で2分の1、補助金の上限額は1,500万円まで補助が受けられるのです。

賃上げの支援や税制の優遇措置がある助成金を利用して、コストを賄うという方法もあります。

業務改善助成金であれば、人材育成や設備投資にかかる費用に最大600万円まで助成があるのです。

取引先が人事不足で倒産したり、事業を自ら畳むことで倒産したりすることがあるため、事前に備えておきましょう。

取引先が倒産した時に備えるため、経営セーフティ共済に加入しておくと、掛け金の最大10倍までの額を借り入れることができるのです。

企業が倒産することは珍しくないため、少しでも怪しいと思えるような取引先には、慎重に接するようにしましょう。

まとめ

日本は、今までゼロ金利やマイナス金利と呼ばれる状態でしたが、新たに利上げがすることが決定したため、中小企業は利上げと周囲の状態に注意しなくてはいけません。

利上げをすると預金は増えやすく、住宅ローンなどは他返済額が増えてしまうのですが、他にも多くの影響があるため、直接接していなくても注意が必要です。

また、利上げによって倒産してしまう企業もあるため、怪しい動きのある企業は避けましょう。