なぜ脱毛業界の倒産が相次ぐのか??

会社の廃業と倒産

脱毛業界においては、近年大手であっても倒産するケースが増えています。

2024年には、医療脱毛の大手であるアリシアクリニックを運営する法人が破産したというニュースが流れているのです。

過去最大級の消費者被害になると目されているのですが、なぜ倒産が相次いでいるのでしょうか?

脱毛業界の倒産について、解説します。

近年の脱毛業界の倒産状況

近年、脱毛業界において倒産する法人が増えており、2023年度のエステティック業は前年度と比べて1.7倍となる、95件が倒産したのです。

倒産の原因を見ると、全体の8割に当たる77件が販売不振を理由としており、コロナ禍からの客足が遠のいた状態が回復しなかったこととなっています。

倒産件数に含まれているのは負債が1,000万円を超えている件数なので、かなりの赤字が続いていたと考えられるのです。

倒産したエステティック業の中には中小規模のところもありますが、利用者が10万人といわれる銀座カラーも含まれています。

銀座カラーは、株式会社エム・シーネットワークスジャパンが経営しているのですが、経営している会社自体が倒産してしまったのです。

銀座カラーは多くの利用者がいる脱毛サロンだったため、社会問題化して大きなニュースとなりました。

脱毛業界で倒産が増えている原因は?

脱毛業界は、近年美容意識が高まったことで男女問わず利用者が増え、急成長してきた業界です。

しかし、トータルでの利用者数は増えていても件数が多いため、1店舗ごとの顧客数は頭打ちとなっていました。

経営状況が厳しいサロンも増えていて、想定ほど利用者数が増えなかったところから倒産に追い込まれていったのです。

銀座カラーについては前述しましたが、他にも大手脱毛サロンが数年前から何件も倒産しています。

2022年には脱毛ラボが、2023年は銀座カラー以外にシースリーブも倒産しており、今年はビー・エスコートも倒産しているのです。

大手の脱毛サロンも破産したりするのはなぜかというと、主にいくつかの理由があります。

最も大きな理由は競争が激化したことで、脱毛業界に注目が集まったため新規参入が増加しているのです。

脱毛サロンを新規に開業するほか、接骨院や整体院でも従来のサービスの他に脱毛のサービスを提供し始めています。

脱毛サービスは技術をはじめ様々な差が各社で大きく違わないため、主に勝負する土俵は価格となるでしょう。

価格を下げたことで、新規の利用者を獲得できなくなると売り上げは下がってしまい、経営が悪化してしまうという悪循環に陥ることとなりました。

物価が上昇傾向にある現在は、消費者全体で低価格指向が高まっているため、脱毛のような高額なプランは敬遠されることも増えているのです。

また、コロナ禍の外出自粛の影響で家庭用脱毛器の性能が向上し、セルフケアも充実して脱毛方法の選択肢が増えているのも理由の1つといえます。

他の脱毛サロンと差をつけて知名度を高めるため、広告に芸能人を起用するサロンも多いのですが、芸能人を起用すると広告宣伝費が高額になるでしょう。

また、立地のいい都心部に店舗を構えた場合はテナント料が高く、多店舗展開していると固定費が膨らんでしまいます。

店舗が増えるとエステティシャンの人数も多くなるため、育成にかかる費用や人件費なども膨らんでいくのです。

脱毛サロンは、適切に財務管理をしていくことが経営において重要ですが、エステティシャンの知識はあっても経営管理に詳しくない経営者もいます。

特に、売り上げと経費を正確に把握していないというケースもあるのですが、把握できなければ経営上大きな問題となるのです。

分割払いや月額会員制などを導入した場合はキャッシュフローが複雑になってしまい、経費も適切に管理できなくなって資金繰りが悪化することもあります。

脱毛サロンでは、美容脱毛の範囲内のサービスしかできないのですが、一部のサロンでは医療機関で行う医療脱毛のようなサービスを提供していることもあるのです。

医師法によって医療脱毛や効果を過大に宣伝することなどは禁止されているので、違反すると営業停止処分を受けたり、補償問題や風評被害などが生じたりします。

また、利用者がSNSでつぶやいたことが短期間で拡散され、評判が悪化して集客に大きな損害を与えることもあるでしょう。

脱毛業界での倒産を防ぐために

脱毛業界で倒産や破産を避けるためには、どのようなことに取り組んでいけばいいのでしょうか?

主に気を付けるべき点はいくつかあるのですが、まずは広告を利用して継続的に新規顧客を獲得しなければ経営を安定させることはできません。

SNSやWEB広告、チラシなど複数の媒体で広告を出すことで、効率的に集客できるでしょう。

特に、若者層をターゲットとするのであれば、検索エンジンで上位に表示されるようSEO対策をすることが重要となります。

既存の利用者からの紹介制度を整えて、口コミも増やすようにすると、広告費を削減することもできます。

サービスの料金は、過度に価格競争を行って不当に値下げをするのではなく、適正価格で提供するというのも重要な点です。

店舗の経営には人件費やテナント料、光熱費、メンテナンス費用などがかかるため、経費を考慮して持続可能な価格に設定してください。

利用者のニーズも把握して、ニーズに合わせた複数のプランを用意したうえで、必要に応じてキャンペーンなども行うべきでしょう。

適切なプランが用意されていてキャンペーンなども適宜開催されていれば、価格競争力も保ったまま収益性を高めることもできます。

脱毛サロンは、顧客との間でトラブルが起こることも多いため、トラブルを未然に防ぐことも重要です。

トラブルを防ぐためには、事前に契約内容や施術内容、効果やリスクなどを丁寧に説明しなくてはいけません。

カウンセリングでは書面での説明を行って同意を得るようにすれば、トラブルは大幅に減らすことができるでしょう。

まとめ

脱毛業界では、近年倒産件数が増加していて、かなりの利用者がいる大手も毎年のように倒産しています。

脱毛業界で倒産が増えている原因としては、コロナ禍で遠のいた客足が回復しなかったことや、近年の人気を見て新規参入する企業も増えていることなどがあるでしょう。

今後、倒産を防ぐには利用者のニーズに沿ったプランを複数用意して、価格競争はせずに適切な価格でサービスを提供する必要があります。