上場企業の上場というのは、株式市場とも呼ばれる証券取引所に登録して、会社の株式を取引できるようにすることです。
企業が証券取引所に上場することにはメリットもあるのですが、会社経営においてデメリットとなることもあるのです。
上場にはどのようなリスクがあるのか、解説します。
上場とは?
企業によって上場しているところとしていないところがあるのですが、そもそも上場とは何なのでしょうか?
上場というのは、株式会社が発行している株式などを取引できる市場に登録し、自由に売買ができるようにすることをいいます。
株式会社は株式を発行して売買可能にすることで、会社自体を商品として提供することになるのです。
株式会社は株式市場に会社の株式を公開することができるようになり、投資家や他の企業が株式を購入することで資金を調達できます。
しかし、どの企業も自由にできるわけではなく、株式市場ごとに条件が定められているため、必要条件を満たさなければ自由に取引できるようにはならないのです。
株式というのは、資金を出資してくれた人に対して会社が発行する証券のことをいい、株式を集めて作られる会社を株式会社といいます。
株式会社の主な資金調達方法が株式売買なので、資金を調達するためには多くの投資家が売買できるようにすることが重要であり、集めた資金によって会社を運営するのです。
投資家は株式を購入する代わりに出資して、株式を保有していれば会社の株主となり経営に関わることができるようになります。
主に株主総会を通じて会社の経営に参加することになるのですが、会社に利益が生じた場合は株主に一部が還元されるのです。
株式を市場に登録することで不特定多数の投資家が売買できるようにしている企業が、上場企業となります。
特徴として、まず株式の所有者は主に投資家であり、会社の社長が必ずしも所有しているとは限らないのです。
株式というのは、会社の所有権を分割した証書のようなものなので、株主の意見は経営に影響を与えます。
また、株式を公開していると株式市場で取引することができ、投資家も手軽に購入できるため、資金を集めやすくなるでしょう。
一方、上場していない企業は株式市場に株式を公開していない企業のことをいいますが、できない企業だけではなくあえてしていない企業もあります。
日本の企業の99%は非上場企業であり、非上場企業の総数は300万社以上といわれるほど多いのです。
上場することでどんなデメリットがある?
日本では非上場企業が多いのですが、非上場企業の中には上場基準を満たしていてもあえて上場していない企業も少なくありません。
企業が上場することにはメリットが多いように思えるのですが、デメリットも少なからずあるのです。
メリットだけではなくデメリットもいくつかあり、まずはどのような手続きが必要か、維持するためにコストがかかるという点があります。
手続きとしてまず申請をする必要があるのですが、審査を受けるために上場審査料が必要となるのです。
また、審査の結果基準を満たしていることが認められて上場することになれば、新規上場料も発生してしまうのです。
上場審査料や新規上場料は株式市場によって異なり、例えば東京証券取引所ではプライム市場、スタンダード市場、グロース市場でそれぞれ異なります。
基本的にはプライム市場が最も高額であり、グロース市場が最も安価となっていますが、どの市場でもさらにTDnet利用料として12万円を支払う必要があるのです。
年間上場料は、グロース市場で時価総額が50億円以下なら48万円、プライム市場で時価総額が5,000億円を超える場合は456万円かかります。
また、多くの株主がいるようになると、社会的な責任が大きくなるため重大になってしまうというデメリットもあるのです。
多くの株主がいる分、企業は以前よりも多くの人から注目されるようになるため、社会的な問題を起こしてしまうとメディアなどを通じて説明する義務が生じます。
株主は企業の経営権を持つため、企業は株主に対して会社の経営状況などを事細かに説明する必要があるでしょう。
今まで数人の株主にだけ説明してきたという会社も、上場することで多くの株主を抱えることとなるため、多くの人が納得できるよう説明する必要があります。
また、企業がどう費用を使用しているかをまとめた財務内容や、事業内容などを開示する義務もあるのです。
株価に影響を与えると思われる情報がある場合も、開示することが義務付けられています。
上場企業は、ホームページ内で財務内容や経営成績をまとめた決算内容を確認できるようにしていることも多いため、一度確認してみた方がいいでしょう。
株式が株式市場で公開されて取引できるようになれば、基本的には誰でも自由に売買できるようになります。
つまり、会社を買収したいという人がいた場合は、少数の人が買い占めてしまう可能性もあるのです。
株式を買い占められてしまうと、株式会社では多くの株式を持つ人が会社を支配できるようになるため、経営者が挿げ替えられる可能性があります。
株式を買い占められてしまうと、元の経営者は今までのように会社を運営することが難しくなってしまうでしょう。
ニュースやドラマを見ていると、買収という言葉を時折耳にすることがあると思いますが、株式を買い占めて自分のものにすることも買収に含まれます。
会社を買い取るためには、非上場企業よりも上場企業の方が難易度は低くなるため、上場した場合は注意が必要です。
ただし、一定以上の株式を購入して保有している場合は申告が必要になるなどの決まりもあるため、一方的に買収されることはあまり起こりません。
時価総額が大きくなるほど買収も難しくなるので、自社の規模に合わせて対策をした方がいいでしょう。
まとめ
企業には上場企業と非上場企業があり、日本の企業の99%は非上場企業で一部だけが上場しています。
自社の株式を市場でだれでも取引できるようにすることを上場といい、企業は投資家に株式を購入してもらうことで資金調達ができるのです。
しかし、上場することで様々なコストがかかるようになり、会社を買収されやすくなるなどのデメリットもあるため、上場は慎重に決めるようにしましょう。