企業活動には避けることができないリスクも存在しているため、あらかじめリスクを想定して適切な対策を行わなくてはならないのです。
しかし、どのようなリスクがあり、どう対策するのが有効なのかを知らなければ、業務を効率よく進めることが難しくなってしまうでしょう。
リスクへの対応方法について、解説します。
企業にとってのリスク
企業の活動や経営における意思決定には少なくないリスクが存在しているのですが、すべてを避けることはできないでしょう。
企業は様々なリスクを想定し、実際に起こったときに備えて対策を講じておいてリスクを最小限に抑えることを求められます。
企業を運営するうえで顕在化するリスクは多くの種類があるのですが、具体的にはどのようなリスクがあるのでしょうか?
まず景気や通貨、金利の変動によって経済的なリスクが起こることがあり、細かく分けると3種類のリスクがあります。
市場変動や経済的要因で起こる経済的リスクのことはマーケットリスクといい、どのような市場でも起こりうる可能性があるでしょう。
海外との取引がある場合など、国際的なビジネス活動を行っている場合は為替リスクに注意しなくてはいけません。
物価が上昇することで起こるインフレーションリスクは、どのような企業であっても影響を受けてしまうでしょう。
法的な問題に関連したリスクもあり、特に近年ではコンプライアンスに注目されていて、法律や規制に適合できない企業はかなり批判を浴びてしまいます。
また、特許や商標などの知的財産権を侵害されてしまうリスクもあり、侵害された企業は損失を被ることとなるでしょう。
契約違反によって損害賠償を請求されるリスクもあるため、契約内容は事前にしっかりと確認しておかなくてはいけません。
近年では人的リスクも目立っていて、従業員の離職や人材確保ができないことなどで企業の成長が妨げられるケースもあるのです。
自然災害や環境規制などに関連した環境リスクと呼ばれるものもあり、企業が活動の中で環境に悪影響を与えることもあります。
環境汚染によって生態系の破壊や地域住民の健康に害を及ぼし、法的制裁などのリスクにつながる可能性もあるでしょう。
日本は地震大国とも呼ばれているため、地震や台風、火山の噴火などで被害を受ける自然災害リスクも少なくありません。
リスクへの対応方法
企業活動においては、様々なリスクが起こることが想定されるため、被害を最小限にするためには事前に対応方法を検討する必要があるでしょう。
しかし、今まで起こったリスク、今後起こる可能性があるリスクなど、すべてのリスクを想定した場合は膨大な数になってしまいます。
リスクへの対策もそれぞれコストがかかるため、自社に起こる可能性が高いリスクから備えるべきでしょう。
リスクにどう対処するのかを考える場合は、いくつかのポイントを重視して対応方法を考えるべきなので、重視するべきポイントを解説します。
まず考える必要があるのはリスクの移転というポイントで、保険などに加入することでリスクを担保することをいうのです。
保険に加入していれば、いざリスクが顕在化した際は受けた被害を金銭的に補償してもらうことができるので、被害を減らすことができます。
ただし、補償となる保険金は被害を受けたときにしか支払われず、損失は金銭でしか補償されないので完全に損害を取り戻すことはできないでしょう。
リスクを移転するというのは損失を減らすということなので、企業活動において必要な機材をリースにしたり、施設を賃貸にしたりすることも移転になります。
業務をアウトソーシングにすることで、自社の機能が停止した場合でも業務を継続することができるため、移転に含まれます。
リスクの回避を考えることもポイントの1つで、想定されるリスクはあらかじめ避けて近づかないようにするという考え方も重要です。
もし、事業の拡大に伴ってリスクが増加し、容認できないような内容だった場合は、拡大した事業を取りやめてしまうという選択肢もあります。
事業の拡大は新たなリスクの顕在化につながることが多いのですが、企業の中核を担う事業であれば取りやめるのは難しいでしょう。
新たに生じるリスクを許容した場合と、回避した場合ではどちらの損失が大きくなるのかを比較検討して、選択しなくてはいけません。
リスクによる被害をすべて受け入れたり、あるいは回避したりするのではなく、低減するという選択肢もあるでしょう。
リスクが顕在化するのを待って対応するのではなく、リスクがいつ顕在化してもいいようにバックアップ体制を整えておけば、被害を最小限に抑えることができます。
また、システムダウンなどにも復旧のノウハウを得ることで備えて置き、自然災害の発生時に備えて施設を改修しておくなどの対策もできるでしょう。
リスクは、ときに受け入れて保有することも必要で、いつ顕在化してもいいように心構えをしておくことで対策するケースもあります。
特に、事前の予想が難しいリスクが顕在化した場合は事前に対策することができないため、受け入れるしかないのです。
リスクを保有しておくという考え方をしておけば、いざ実際に起こった場合でも落ち着いて対応できるようになります。
リスクへの対応方法としては、以上のような方法が大切なのですが、方法はどれか1つを選ぶのではなくリスクごとに対応方法を選ぶことが重要です。
ただし、リスクが顕在化してからどのような方法で対応するのかを考えていると、方法が決まるまでの間に被害が大きくなってしまいます。
リスクすべてに備えるには莫大なコストがかかってしまうため現実的ではありませんが、まずは可能性が高いリスクから想定した方がいいでしょう。
まとめ
企業が活動していくうえでリスクは避けることができないのですが、適切に対応することができれば被害は最小限に抑えることができます。
企業が直面するリスクには、経済的なリスクや法的リスク、災害リスク、人的リスクなど様々な種類のリスクがあるのです。
想定されるリスクに応じて、リスクを移転するか回避するか、あるいは低減や保有などの対応をするべきか、事前に検討しておきましょう。