日本人の主食といえば米ですが、近年は米農家が減少していて米価格も高騰しているため、今後の食生活に大きな影響を与えるでしょう。
しかし、日本の主食であるお米を作ってくれている米農家は、なぜ年々減っているのでしょうか?
日本の米農家が減ってきたのか、主な理由について解説します。
日本の米農家が減ってきたのは何故?
日本の米農家が減少しているというニュースは以前から流れているのですが、実際にどの位減っているのかは知らない人も多いでしょう。
全国の水稲収穫農家の数は、1965年には500万戸近くいて、収穫面積は約280万ヘクタールというデータがあります。
しかし、50年後の2015年の水稲収穫農家は100万戸を切って5分の1ほどになっていて、収穫面積も約112万ヘクタールと6割以上減少しているのです。
米農家が大幅に減少しているのはなぜかというと、まず原因として収益の減少がありますが、収益はなぜ減少しているのかといえば、消費量の減少が理由として挙げられます。
日本では食生活が多様化したことで米を食べる機会は減少したため、1962年頃と比べて2020年頃には、消費量が半分以下になっているのです。
近年はお米以外にもパンやパスタなど別の主食が選べるようになったせいで、米の需要は低下して消費量も減少しています。
また、そもそも日本の人口は減少傾向にあるため、日本全体でもコメ消費量が減少しているというのも原因の1つです。
おコメの消費量が減少したことで、需要を供給量が上回るようになってしまい値崩れをおこし、販売価格が低下してしまったというのも原因になっています。
販売価格が下がってしまうと、米農家が同じ量の米を生産しても利益は減少してしまうため、営業を続けることができなくなるのです。
昔は米が余っていたため、日本政府では減反政策を1969年から開始し、米の生産量を調整していました。
減反政策は2018年に終了となったのですが、生産量を制限されている間米農家は作物転換を行ったり廃業したりしたことで、米農家が減少してしまったのです。
また、日本では米農家を脅かさないように米の輸入をしない方針だったのですが、1993年に米が大不作となったため、輸入することになりました。
結果として一定量コメを輸入することが義務付けられてしまい、1995年から年間約77万トンの米を輸入しているのです。
輸入米は輸入を始めた当初は評価が低かったのですが、料理によっては日本の米よりも適していることがあるため、国産米の消費量が部分的に圧迫されてしまいました。
農家の多くの悩みである後継者不足は米農家であっても例外ではなく、少子高齢化が進み後継者がいない農家も増えているのです。
後継者がいないと、積み上げてきた技術や知見などを引き継ぐことができなくなってしまうため、ただ米農家の数がそろえばいいというわけではありません。
現在は職業の選択肢も増えていて、都市部に人口が集中していることもあって新規就農者もなかなか増えないのです。
米農家が減ってしまった場合の問題
米農家が減りつつあるとはいっても、消費者の立場ではなかなか問題点を実感しづらいため、実際にどのような問題が起こるのかを解説します。
2019年度の発表では、日本の食料自給率はカロリーベースで38%となっていて、必要な食料の半分も生産できていないことがわかるでしょう。
日本の場合、米の食料自給率はほぼ100%ですが、高水準を維持できているのは米の消費量が減少したことも要因となっています。
しかし、今後米の生産量がさらに減少した場合は食料自給率がさらに低下してしまい、輸入した食料に頼る割合も増えてしまうのです。
輸入食料に頼っていると、海外の環境や情勢が変化した場合に大きな影響を受けることになってしまいます。
海外で生育不良となったり、輸出入のルートである空路や回路が経たれてしまったりした場合は、輸入量も減少してしまうでしょう。
輸入量が減少してしまうと、価格が高騰してしまう可能性が高くなるため、消費者の負担も大きくなってしまいます。
事態がさらに悪化した場合は、日本で食糧不足に陥ってしまう可能性もあるため、食料自給率の低下は大きな問題となるのです。
日本政府は、米不足や食糧不足を防ぐために様々な対策を行っているのですが、具体的には聞いたことがない人もいると思います。
対策として、まずは米の消費量を増加するために学校給食で消費量を増やしていて、政府の備蓄米なども提供されているのです。
また、米を利用した消費開発などの取り組みを支援して、補助金予算を計上しており、新商品のアイデアコンテストも実施しています。
多くの企業が米を使用した商品開発を行っており、グラノーラや麺にも米を用いた商品が登場しているのです。
近年では、小麦アレルギーへの対応やグルテンフリーへの対応などで米粉にも注目が集まっています。
企業の中には、米粉自体や米粉を使った商品の需要拡大を推進しているところもあるため、農林水産省でも補助金事業を実施して支援しているのです。
米粉の消費や輸出機会を拡大することで、米の消費量を増やして米農家の需要を高めることを目的としています。
米農家の後継者不足や人手不足を解決するために、ICTを活用して生産を効率化することにも取り組んでいるのです。
先端技術を用いることで、品質が安定したコメを生産することができるようになり、コストも削減できます。
消費者の立場から米農家の減少や米問題の解決に向けて、できることはないかと思う人もいるでしょう。
消費者ができることとして、まずは米の消費量を拡大するということがあるため、米を増やす機会を増やしましょう。
朝からご飯を食べる人も少なくなりましたが、ご飯以外でもパンやパンケーキに米粉を使用すれば米の消費量を増やすことができるのです
また、米の消費量を増やすため積極的に購入していても、輸入米を購入していては国産米の消費量が増えないため、国産米を選んで購入しましょう。
日本の食生活を守るためには、米農家の減少や米問題などと向き合って、米農家を支援することが重要です。
まとめ
日本の米農家は年々減少していて、戸数では50年で5分の1になり、収穫面積も60%以上減少しています。
米農家が減少している原因としては、生産性の悪化や後継者不足、高齢化などがあるのですが、何よりも日本人の米の消費量が減少したことによる需要の低下が大きな原因です。
日本の食生活を守るためにも、国産米を食べる機会を増やして消費量も増加させ、米粉などの加工品も積極的に使用するようにしましょう。