事業者が資金を調達する方法の1つにファクタリングというものがありますが、聞いたことはあるという人もいるでしょう。
売掛金を売却して代金を受け取る金融サービスのことであり、回収期日より早く現金化できるという方法です。
しかし、便利な反面デメリットもあるので、主なデメリットを解説します。
ファクタリングとは?
企業が抱えている売掛金を債権の買取会社に売却するサービスはファクタリングといい、近年利用者が増えているサービスです。
売掛金は、通常であれば支払期日まで待たなければ現金が手に入らないのですが、売却することで期日の前に現金を手にすることができます。
また、売掛金は必ずしも回収できるというわけではないのですが、売却してしまえば必ず現金化できるため、リスクを低減することもできるのです。
企業間の取引は売掛金で行われることが多いのですが、入金まで1~2カ月かかることが多いため、資金繰りに困る会社もあります。
素早く現金を調達したいときに役立つサービスであり、早期に現金化することで経営の健全化にも期待できるでしょう。
とはいえ、以前違法業者が摘発されたこともあるため、悪いものだと思っている人もいるかもしれません。
まだ知らない人も多く、売掛債権に債権譲渡禁止特約が付いていれば利用することはできないという欠点もあったのです。
しかし、2020年に改正民法が施行されたことで、特約が付いていても債権を譲渡することが可能となったため、今後は利用されるケースも増えると思われます。
資金の調達方法によって買取型と保証型の2種類があり、一般的には買取型でのサービスを提供しているでしょう。
買取型は早期に資金を調達するためのものですが、保証型は売掛金が未回収になるリスクに対する保険として利用されます。
また、買取型であれば取引に加わるのが利用者と買取会社だけであれば2者間、取引先も含める場合は3者間という契約方法があるのです。
2者間の場合は、債権の買取会社と取引先との間に接点はなく、利用者が債権を買い取ってもらうという形だけで完結します。
売掛金を担保として差し入れることで現金を早期に受け取り、売掛金を回収したら全額を返済するというイメージが近いでしょう。
利用者にとってはメリットがあるのですが、債権を買い取る会社にとっては架空債権や他に売却済みの債権ではないかを確認できないため、リスクが大きい取引となります。
3者間と呼ばれる方法では、利用者が債権を買取会社に売却するだけではなく、取引先も加わって利用するサービスです。
売掛金が発生して債権を所有したら、債権を買取会社に売却する前に取引先の承諾を得る必要があり、売掛金は支払期日になったら債権を買い取った会社に直接支払われます。
取引先と話し合って承諾を得るまでに数日かかることもあるため、すぐ現金化したいという人には向いていないでしょう。
しかし、債権の買取会社にとっては取引先を直接確認できる分危険が少ないため、手数料は少なくなります。
売掛金を早く現金化することができるという特徴があるのですが、取引に取引先が加わるかどうかで異なる点があるため、違いについて把握した方がいいでしょう。
2者間での取引となる場合は、取引先が債権の買取会社と直接関わることがないため、売掛金は利用者に入金されることとなります。
利用者は、取引先から売掛金を受け取ったら、債権の買取会社に送金して清算する必要があるのです。
一方、3者間での取引となる場合は取引先に債権を債権買取会社へと譲渡したことを了承してもらうため、売掛金は取引先から債権の買取会社へと直接支払われます。
3者間での取引の方が、2者間で取引をする場合と比べて利用者の手間が少なく済むのです。
ファクタリングを利用するデメリットは?
売掛金を売却することで期日前に現金化できますが、単に現金化できる便利なサービスというわけではなく、デメリットもあります。
1つ目のデメリットとしては手数料がかかるという点があり、売掛金を満額手にすることはできないのです。
2者間での取引の場合と3者間での取引の場合では手数料が異なり、2者間での取引の方が手数料を高く設定しています。
代わりに、最短即日で資金調達が可能となり、取引先にも知られずに済むため、状況次第で適している方を選んだ方がいいでしょう。
3者間での取引となる場合は、利用者と債権の買取会社、取引先の3者間で契約を結ぶ必要があるため、取引先の承認が必要というデメリットもあります。
取引先としては売掛金を支払う先が変わるだけなので大きな問題ではないのですが、自社の資金繰りがうまくいかなくなっているのではないかと疑われることもあるでしょう。
企業間の信用は取引を続けていくうえで重要なので、信用不安を抱かれてしまうと取引自体が終了となるかもしれません。
債権を売却して現金化した場合は、売掛債権の権利を他の会社に移したという証明のために債権譲渡登記が必要になるデメリットが発生するケースもあるでしょう。
債権譲渡登記をした場合は、登記情報を調べると売掛金の所有権が移動していることが誰でも確認できるようになってしまいます。
また、登記自体にも手数料がかかるため数万円の登記費用が必要となってしまい受け取る金額がさらに目減りしてしまうでしょう。
債権を売却するというのは融資ではなく売掛金の売却なので、調達できる上限の金額は売掛金の額となります。
調達したい金額が売掛金の額よりも多いという場合は、他にも融資などの資金調達の方法と組み合わせて利用する必要があるでしょう。
また、根本的に売掛金がないという場合は利用することができないため、売掛金について確認してから利用を申し込むようにしてください。
まとめ
企業が保有している売掛債権を売却することで、早期に現金を得ることができるサービスは、ファクタリングと呼ばれるものです。
買取は債権の買取会社が行うのですが、取引方法には利用者と債権の買取会社が直接取引する2者間での取引と、取引先も加える3者間での取引があります。
デメリットとしては、手数料がかかるため満額受け取ることはできないという点や、信用を失うかもしれない点などがあるでしょう。