株価が暴落して反転する様子がないときは、セリングクライマックスという言葉が流れてくることも多いでしょう。
英語で『selling climax』と表記し、直訳すると売りの最高潮という意味ですが、どのような特徴があるのでしょうか?
どのような場合に使われるのか、またどんな特徴があるのかを解説します。
セリングクライマックスとは?
株式市場での取引には、セリングクライマックスという言葉があるのですが、聞いたことはあるでしょうか?
直訳すると売りの最高潮という意味になり、株価が下落したときに投資家が売るのをこらえきれなくなり、株価が急落する最終段階を指していいます。
最終段階なので、売り手は保有している株をほとんど売却してしまっているため、大規模な売り手はいなくなっていて買い手の方が優位な立場になるでしょう。
株価が大きく下がっているため、反発が起こることを狙う買い手が多く注文を出すため、株価は急激に上昇していきます。
単なる下落なのか、最終段階といえる状態になっているのかの判断は非常に困難ですが、見分けるポイントとなるのは信用評価損益率と出来高です。
信用評価損益率は、信用取引での取引を行っている投資家の含み損益を示している指標のことをいいます。
証券会社が提供している指標で、相場の天井や底入れの判断に役立つとされていて、現在の損失状態を確認できるのです。
出来高は銘柄ごとの1日の売買数を示すもので、数量が大きければ大きいほど流動性が高い銘柄ということになります。
多く売られた株を反発狙いで大量に購入されることが多くなると、出来高は急に増えていくのです。
また、似たような言葉にバイイングクライマックスという言葉もあり、買いの最高潮という状態をいいます。
相場が軒並み上昇していて市場も買いが多くの割合を占めるようになり、株価の上昇する速度が最高潮となって高騰した状態です。
上昇相場における最終段階という意味になりますが、高騰が治まった後は反動が起こり、相場が落ち込んでいくこともあります。
何が要因となって起こるのか
株式相場に限らず、為替相場や先物相場、商品相場などどのような相場においても、売りが大幅に増えてしまうことがあるのです。
では、何がきっかけとなって売りが非常に多い相場となって最高潮を迎えてしまうのか、主な要因について解説します。
1つ目は売り方の順張りで、下落トレンドとなったときに利益を得るため、順張りで売り注文を出す投資家が増えることで、さらに下落していくのです。
売りが積み重なっていきスピードが加速していくことで勢いが増しやすくなり、相場は大きく動きます。
また、買い方の損切も要因の1つであり、下落トレンドとなって進行していくと買い方の投資家が損切りのために売り注文を出すのです。
買いポジションのまま下落トレンドで保有し続けていると含み損が増えてしまうため、ある程度下がったところで一気に売り注文が出される可能性もあります。
損切りのために売り注文が増えるとさらに下落していく勢いが増えていくため、最終段階になりやすいのです。
特に、損切り注文が多い価格水準を過ぎてしまえば、下落は一気に進みやすくなってしまいます。
発表された経済指標やニュースがネガティブなものだった場合は、下落圧力が増してしまい最終段階まで下落することも多くなるでしょう。
ネガティブになっている弱気相場では、投資家もリスクに対して普段よりも気を付けるようになるため、売りが増えやすくなります。
セリングクライマックスは狙った方がいい?
セリングクライマックスとなった相場は値動きがかなり大きくなるため、わざと狙って取引をして利益を得る人もいるでしょう。
しかし、失敗した時のことを考えると不安になるのですが、果たして狙うべきなのか悩んでしまうかもしれません。
メリットとして、下落する流れに順張りをして成功すれば、大きな利益を得ることも可能となるでしょう。
また、相場が下落しているため反動によって上昇に転じるのを狙い、逆張りとなる買いポジションでも利益を狙うことができます。
ただし、逆張りの買いポジションによる利益を狙うのであれば、相場がきちんと反転するのを待ってからエントリーするというのが重要なポイントです。
一方、デメリットとしては相場が想定通りに動くとは限らないという点で、たとえセリングクライマックスが発生しても反転上昇する保証はありません。
反転せずに一定範囲で上下するもみ合い相場になったり、下落し続けてしまったりする可能性もあるため、十分注意しなくてはならないのです。
相場が反転するタイミングを見分けることができず逆張りをしてエントリーすると、大きな損失になってしまうこともあります。
また、そもそも判断するのが難しい状態で、いつ発生して下げ止まりとなるのはどこで、いつ反発するのかを見極められないこともあるのです。
反発を狙う場合でもトレンドに順張りする場合でも、エントリーの難易度は高いため細心の注意を払いましょう。
そもそも、めったに発生することはないため、わざと狙って取引をするというのは現実的ではないでしょう。
取引を行う際は、利益を狙って行うのは当然のことですが、損失が出てしまったときのことも考えて損切を設定しておきましょう。
あらかじめ設定したうえで取引していれば、予想が外れてしまった場合でも損失が大きくならないようにできるのです。
売りポジションでの損切は、直近の高値か少し前の高値などを設定し、逆張りとなって買いポジションを持っている場合は直近の安値か少し前の安値を設定しましょう。
まとめ
株式市場では、時折セリングクライマックスという言葉を聞かれることがあり、相場が大きく下落してしまい最高潮となった状態をいうのです。
相場が下落したことで、投資家は損切りのために売り注文を出すことが増え、不安を抱いた投資家がさらに売却していくことで加速されていきます。
順張りで売り注文を出したり、逆張りで買い注文を出したりすることで利益を狙えるのですが、失敗したときの損失が大きくなるでしょう。