マイナンバー制度は、税・社会保障・災害対策の行政手段で利用されることになっています。民間で活用されることも期待されていますが、民間での利用は禁止されていました。
しかし2016年2月12日、マイナンバーカードに搭載した公的個人認証サービス初の民間企業利用者に3社が認定されています。
認定された民間事業者とは?
マイナンバーカードの民間利用が可能な事業者に認定されたのは、「日本デジタル配信株式会社」「一般社団法人スマートテレビ連携・地域防災等システム普及高度化機構」「一般社団法人ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」です。
認定後の活用方法
認定後には、署名検証者として電子署名などの検証、他にも電子証明書の有効性の確認が可能です。企業がプラットフォーム事業者を活用することで設備を個別に準備する必要もなくなります。
・日本デジタル配信
ケーブルテレビの画面にリモコンと公的個人認証を使い、終身年金の現況届の送信や生命保険会社の通知の閲覧などが可能になります。現在は実証実験段階で、本格的には2017年を目途にサービス提供が開始されるようです。
・スマートテレビ連携・地域防災等システム普及高度化機構
家庭のスマートテレビと登録した利用者のマイナンバーカードを連携させて、家庭状況に応じた避難情報や避難状況など防災・減災情報や地域情報が配信されます。市町村など共同利用を可能とするシステム基盤の構築を目指しているようです。
・ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構
パソコンやスマホから母子健康情報が閲覧できるなど、母子健康手帳のデジタル版化や、医療機関のデータと結びつけることなどが計画されています。スマホ利用の母子健康手帳サービスは開始、医療機関間でのデータ連携もスタートしている地域(群馬県前橋市など)もあります。
情報漏洩のリスクが高くなる?
マイナンバー制度が民間事業者で利用されることは、様々な部分で便利になり効率化が図れるでしょう。しかしマイナンバーカードによって受けることができる恩恵が大きくなる分、情報漏洩の危険も高まります。
情報漏洩のリスクを抱えるのは一般企業も同じです。事業者は給与等の源泉徴収票、支払調書、納税手続、社会保障手続きなどで従業員やその扶養家族のマイナンバーを必要書類に記載するなどの必要があり、適切な管理が求められます。
今後マイナンバーの利用はさらに拡大?
今後のマイナンバーの利用は、預貯金口座への付番や健康保険組合などが行う被保険者の特定健康診断情報管理、予防接種事務に関する地方公共団体間の情報連携などが2018年から開始されます。
預貯金口座などのマイナンバー登録については、2018年は任意ですので強制力はありません。しかし政府は金融機関と協力の上で2021年には告知の義務化を目指しているようです。
さらに様々な状況でも利用されることになるとも言えますので、情報管理を徹底させる必要性はますます高まるでしょう。