人材不足が問題となっているIT業界は、労働者の過重労働が問題になっています。
過重労働が重なることで、家に持ち帰って作業せざるを得なくなり、そこから情報が漏洩するリスクに繋がるケースや、疲れが溜まってミスを起こす要因になるケースなど、色々なリスクに繋がっている状況です。
さらには精神的な疾患を抱えるケースも増えています。精神障害に関して労災補償が請求される件数が、全体件数と比較した時に圧倒的に多いわけではありませんが、社会的にIT業界はうつやストレス障害を抱えることが多いと認識されつつあります。
労災認定の基準
精神障害は外部から、例えば仕事や私生活の上での心理的負荷が大きくなることによるストレス、そしてそのス卜レスに対して個人で対応できる強さを超えてしまうと疾患に至る可能性があります。
精神疾患が労災だと認定されるのは、発症が仕事による強いス卜レスに起因するものだと判断できるケースです。
仕事によるス卜レスが強かった場合でも、私生活上でもス卜レスを強く抱えている場合や、個人に既往症やアルコール依存症などがあることで影響している可能性がある場合は、簡単に労災認定されないでしょう。
精神障害が労災認定を受ける条件
労災認定されるには、認定基準の対象になるうつ病などの精神障害を発症していること、その証明として医師の診断書等が必要になるでしょう。
その精神障害が発症する前の6か月間に、業務で強いストレスがあったことが認められる必要があります。
業務上に強いストレスがあったと認められやすいケースは、月160時間の残業や重大なケガ、セクハラやパワハラといった事実がある場合です。
そして私生活や個人的な要因で発症したのではないことが認められる必要があります。
従業員がストレスでうつ病になった時の企業の負うリスク
労働災害が起きた場合、原則として使用者は医療費や休業補償を負担することになります。補償に対する保険として労災保険制度が用意されていますが、労災保険料を企業が支払い、労災事故が起きた場合には労災保険から医療費などが補償されます。
ただし労災保険制度による補償対象に、精神的損害に対する慰謝料や逸失利益に対しての賠償は含まれていません。
労働災害を防ぐために
労災認定されれば労働環境は改善することが求められますので、企業の社会的な印象や信用が下がり、経営に支障をきたすことになります。それによって優秀な人材が流出してしまうことになるかもしれません。
このようなリスクを負わないために、労働災害が起こることを徹底して防止する必要があります。
労働時間の管理や従業員の健康状態、職場環境への配慮など、労働環境の整備に努めていく必要があります。
IT企業が特に配慮すべきこと
厚生労働省は「IT業におけるストレス対処への支援」を公表しており、IT業における特徴的な職業性ストレスの状況を挙げています。
労働者の心の健康を保持増進するためには、企業がどのように対応していくべきかを具体的に説明しています。労働災害の防止するために、労働環境の整備に役立てましょう。