株主代表訴訟は、株主が会社に代わって取締役など役員の責任を追及するための訴訟です。同族間で株を持ち合う同族企業などで良くみられる訴訟ですので、上場企業だけの問題と思ってはいけません。
株主代表訴訟の約7割は未上場の企業が占めていると言われています。中小企業は取締役会や株主総会などがしっかり行われているケースが少なく、経営に関して徹底したルールが設けられていないこともあります。
特に同族企業になると、親族間のもめ事なども合わさって裁判に発展するケースも少なくありません。
株主代表訴訟とは?
取締役が違法行為をした場合や、判断ミスで会社に損害を与えた場合に会社に代わって株主が取締役にその責任を追及する訴訟が株主代表訴訟です。
6か月以上株式を保有している株主なら誰でも取締役に対して提訴ができます。株式の保有比率は関係ありませんので、例え1株でも6か月以上株式を保有していることで提訴することが可能です。
親族間のトラブルで訴訟に発展するケースも
このように株主代表訴訟は、株主であれば誰でも起こすことができる上、訴訟費用も軽減されています。例え弁護士費用が発生しても、株主が勝訴すれば訴訟関連費用を会社に請求することが可能です。
中小企業になると、経営者の私的流用が行われやすく、社内の状況を良く知っている親族関係が提訴することが多くなることで株主が勝訴する可能性が多いといった特徴があります。
中小企業での株主代表訴訟の実態
会社資産を不当な安値で処分した場合、取締役の善管注意義務違反の責任を負うといったケースがあります。
他にも例えば代表取締役が会社所有の土地を、代表取締役が実質経営している別会社に不当に安い賃料で賃貸したことで会社が損害を被った場合にも賠償責任を負うことが考えられます。
株主総会を開催しておらず、株主総会決議を経ていない状態で役員報酬を支払ったことが違法だと訴えられ、損害賠償義務を負ったというケースも過去にあるなど、中小企業での株主代表訴訟は他にも様々な事例があることから十分に注意しておく必要があるでしょう。
会社役員賠償責任保険で備えを
このような企業の取締役など、役員個人に対する訴訟が急増しているため金銭的な負担について備えておく必要があります。
備える方法としては、「会社役員賠償責任保険(D&O保険)」に加入するという方法ですが、この保険に加入しておくことで役員個人が訴えられた時に訴訟費用や損害賠償金、弁護士費用など様々な費用が補償されます。
損害賠償請求訴訟も高額化の傾向があるため、会社の規模に関係なく十分な備えをしておくことが必要になります。