事業承継/後継者問題を考える

事業承継とは会社の経営を次の後継者に引継ぐことですが、中小企業にとって誰を後継者にするかは重要な経営課題だと言えるでしょう。
事業承継は誰を社長にするかという経営承継だけの問題におさまらず、会社の自社株を誰に引継ぐか、後継者教育をどのように行うかも問題になります。
事業承継の方法として、経営者の親族に承継するのか、親族以外の従業員等に承継するのか、M&Aで承継するのかといういずれかを選択することになるでしょう。


親族外承継が増加している傾向
中小企業庁のデータでは、20年以上前は親族内での事業承継が85%を占めていました。しかし直近10年では親族内承継の割合は急減しており、親族外への承継が6割を超えるといった逆転現象が起きています。従業員等やM&Aでの承継が急速に増加している状況です。
事業承継を円滑化させるべき理由
経営者が高齢化している状況ですが、経営者の年齢が上がるほど投資意欲は低下していく傾向にあります。しかし経営者が交代した企業や経営者が若い企業だと売上高や利益率を向上させている傾向が強くなります。
このような企業成長という観点から考えても、事業承継が円滑化されることが必要だと考えられますが親族内だけでなく親族外承継も併せて促進していく必要があるしょう。
業績に問題はないのに廃業?
しかし実際のところ、経営者が70代や80代であってもまだ事業承継の準備が終わっていない企業が半数を占めています。
廃業を予定している企業でも、その3割が同業他社より良い業績という状況で、続けようと思えば現状を維持できる状況であるようです。
しかし事業承継を選択しなければ廃業せざるを得ない可能性は高くなり、雇用、そして習得した技術やノウハウは失われることになるでしょう。
廃業を予定している企業のうち3割近くが、子供に事業を継ぐ意思がないことや、そもそも子供がいない場合、さらには適当な後継者が見つからないといった後継者難が理由のようです。
後継者がいない場合の解決策
後継者がいない企業が事業承継問題を解決する策にM&Aがあります。M&Aとは、2つ以上の会社が合併することや他社を買う買収を意味します。
親族や従業員に事業承継する場合には、次の経営者を教育するという面から考えても10年はかかります。
しかしM&Aを検討する場合には、社外からの経営者ということになるため、短期間で実施することができます。
余裕を持った事業承継問題への対策を
ただ、M&Aの相手がすぐに見つかるとは限りませんので、最適な相手に希望する条件で引継ぐためには時間的な余裕も必要です。
いずれにしても、誰にどのような方法で、どのタイミングで事業承継していくのか計画を立てて実行することが必要です。