買収監査とは、M&Aを買い手側が最終判断するにあたって実態把握のための精密検査を行うことを言います。
買収の対象となる財務内容などについて、正確性を確認していくために必要ですが、公認会計士などが財務監査、税務監査を実地にて行うことが一般的です。
買収監査はいつ誰が行う?
中堅中小企業だと2~3人程度の公認会計士が3日間ほどで行うことが通常ですが、経営コンサルタントによるビジネス監査や弁護士の法務監査などが実施されることもあります。
売る側と買う側が互いに協力し合うことを約束する基本合意締結後のタイミングで実施されることが多いようです。
なぜ買収監査を実施する必要がある?
企業を譲渡する売る側の企業にとっては、会社の内部を他人が色々調査することはけっして気持ちの良いものではないかもしれません。
しかし買い手側の立場で考えると、自己判断での譲受けは投資をする上でかなりのリスクを背負うことになります。そのため実態を正確に確認したいことは当然のことだと言えるでしょう。
買収監査で契約が破棄されることもある?
買収監査が実施され、特に問題が見つからなければ双方の条件を確定して最終契約に進むことになります。
買収監査を行わずにM&Aの後で、考えていたものと違ったという場合や、想定していなかった問題が発見されたということになれば後悔することになります。
M&Aが失敗だったと思わないためにも、買収監査はしっかりと行う必要があると言えるでしょう。
ただし買収監査の段階で重大な問題やリスクが浮上してきた場合、契約内容を再度見直す必要が出てくるでしょうし、場合によっては契約が破棄される可能性もあります。
買収監査で問題が発覚する前に
本来であれば売り手企業の案件を受託する案件化や企業評価の段階で、事前監査を行って問題点を早期に解決しておくことが望ましいでしょう。
それによって適正な株価が算出されていれば、買収監査の時点で問題が見つかっても買収価格の調整などで速やかな対応ができるようになります。
早い段階から細かい調査と問題解決を行うことがM&Aを実践する上で必要です。
良いコンサルタントの見極めも必要
買収監査を抜きでM&Aを実施することは、買い手企業が過大なリスクを背負うことになりますので避けて通ることができない大切な過程と言えるでしょう。
しかし買収監査で問題が発覚して、せっかくの契約がなかったことになってはそれまで費やした時間や費用が無駄になります。
そのため事前調査などをしっかり行うことが必要ですが、仲介者が優れていれば買収監査で問題が発覚することはまずないと考えられます。良いコンサルタントを見極めることもM&Aには重要だと言えるでしょう。