サプライチェーンとは、部品や資材の調達から始まり、製品を消費者に届けるまでの一連の流れを捉えたものです。調達、生産、販売、物流などの業務を1つの供給(サプライ)の鎖(チェーン)として考えています。
この鎖はそれぞれの輪がしっかりとしていることで繋がりますので、輪が破損すれば鎖は切れて壊れてしまいます。
サプライチェーンはそれぞれの情報や物品、資金の流れをマネジメントし、市場の環境変化に最適に対応できることが必要です。
サプライチェーンを取り巻くリスク
例えば自然災害、火災、労働紛争、規制、倒産、輸送中の事故など様々なものがリスクとして挙げられます。製品として出荷した後でも、品質に問題があるとクレームやリコールといった問題が生じる可能性もあるでしょう。
自動車産業を例に考えてみる
大規模で複雑なサプライチェーンとして、代表的な例に自動車産業が挙げられます。
国内だけでも数百社ある部品メーカーから調達し、メーカーで生産されて市場へと送りこまれる自動車。それも数百社という数の販売会社を通じてユーザーに届けられます。
自動車は全ての部品が揃い初めて完成品となりますので、どれか1つでも欠ければ生産できず工場も販売も停止します。生産が継続して行われなければ停止した部品メーカーと無関係の部品メーカーにもその影響は及ぶでしょう。
必要なのはサプライチェーン・リスクマネジメント
そこで必要になるのはサプライチェーン・リスクマネジメントです。サプライチェーンに関わるリスクを特定・分析し、対処するためのプロセスのことです。
対象となるのはサプライチェーンのすべての側面におけるリスクで、サプライチェーン・ネットワークの設計、ルールづくり、リスク対策、リスクが顕在化したときの対処方法などで戦略を構築していくことになります。
事前に損害を防ぐために
サプライチェーンのリスクは絶えず変化しますが、例えば水害などリスクの原因事象によっては影響を被る前に予兆のようにとらえていくことも可能です。全体に波及する前に影響を止めることが可能なケースなどについても検討しておく必要があるでしょう。
原料や部品の品質の不良、異物混入などのリスクは、異常が起きてから自体を把握するまでタイムロスが発生する可能性があります。最終製品になって気がつくケースや、市場に出て発覚するケースもありますが、これらを防ぐためにも定期的な監視や異常や変化の早期検知も必要です。
一過性の手順に留まらない仕組みの構築を
被災時の対応マニュアルなど、具体的な対応についても策定しておくことが重要です。一過性の手順ではなく、継続的に見直しを図りながらリスク管理を行う仕組みを構築していきましょう。