中小企業が知っておきたい「M&A」とは何か

企業発展や存続のための合併・買収

複数の企業が1つになる「合併」、他の企業を買い取る「買収」という言葉は良く耳にすることがある言葉です。それでは「M&A」はご存知でしょうか。Mergers and Acquisitionsを略した言葉で、直訳すれば企業の合併や買収という意味になります。ただしM&Aは、合併や買収だけでなく提携や事業譲渡といった広義の意味を持ち、企業間提携の総称として使用されます。

 

M&Aの概念

経営権に影響を及ぼす、または移動を伴う経済行為がM&Aです。自社企業に不足していると考えられる技術、情報、人材、物、お金という経営資源を補うことで再構築や事業拡大に向けて実践する経営戦略のことを言います。

 

M&Aのメリット

企業間でM&Aを適切に実施した場合、譲渡、買収、それぞれどちらにもメリットがあります。

 ・譲渡を行うメリット

経営者はいずれ自分が引退した後、誰にその事業を承継するのかを考える必要があるでしょう。また、企業が存続していくため、発展していくためには社員の成長も必要不可欠になります。もしも経営者の親族や役員、または社員に承継することが難しい場合には、第三者に託すということが検討されます。これこそがM&Aでの企業・事業譲渡にあたります。中堅や中小企業がM&A で企業・事業譲渡を行った場合、事業承継対策、企業体質強化、創業者利潤確保という3つの部分でメリットがあります。

 ・買収を行うメリット

企業を譲り受けることで考えられるメリットは、顧客、人材、販売拠点、ノウハウを一括取得できるという部分です。収益の即効性が見込めることで、事業を一から立ち上げる場合よりも時間と手間、リスクをかなり軽減することが可能です。既存事業と買収した事業の相乗効果により、収益機会を増加させることができるためコスト削減を通じた成長が可能になります。

 

M&Aを行う上での注意点

M&Aは事業規模の大小に関係なく、M&Aを進めてくためには半年さらには数年単位で時間をかけて行うプロジェクトです。進行していく段階で様々な調整事項の発生があり、やり取りも数回だけで終わるものではありません。また、交渉過程がとてもデリケートなものになるため、従業員、取引先、税務会計、ガバナンスといった問題を解決しながら、最終的な条件交渉で利害対立に直面するなどシビアな場面が訪れることも予測されます。納得して成約するまでには様々な障壁が立ちはだかることもあります。

 

M&Aは中小企業に有効な選択肢

経営戦略やニーズに合う企業を買収すれば、規模拡大によるマーケット・シェア確保に繋がるなど様々なメリットがあります。また、譲渡する企業にとっても、新たな発展に向けての再出発が可能となることで経営者はハッピーリタイヤが実現でき、従業員の雇用も継続できるなど有効な手段となります。