企業経営者は攻めの経営と守りの経営を考える事が必要か?

IT化やボーダレス社会が進むとともに企業経営は非常に複雑化するようになりました。これまでの常識が通用しなくなり、今まで存在していなかった脅威が突如現れたりなど、経営者は多くの決断をハイスピードで行わなければならなくなりました。
今回はそのような時代に経営者が考えるべき「攻めの経営」と「守りの経営」について解説させて頂きます。

時代に適応できているかを見つめ直そう

現代は大きな変化の途中にあると言えます。
これまでも人類は農業革命や産業革命などの大きな変化とともに成長してきました。そして今、これらの革命に匹敵するかもしれない変化の途中にあります。
この変化の火付け役になったのはインターネットです。特にスマートフォンの登場は大きく時代を加速させたと言えるでしょう。
インターネットの登場により、世界とリアルタイムでつながる事が可能になり、移動時間や物理的距離などのこれまで障壁となっていた物がなくなりました。
そしてスマートフォンの登場により、インターネットを持ち歩く事が可能になり、いつでもどこでも世界と繋がっていられる時代になりました。
これらはあらゆる業種業態に影響を与えており、今やWEBを無視できる会社は存在しなくなったと言えるでしょう。
しかしこれは単なる序章にすぎません。今話題のフィンテックやAI、仮想通貨の登場はさらなる変化を生み出すに違いありません。
フィンテックで言えば、海外送金コストが大幅に削減できる可能性が高く、そうなればボーダレスな社会はより加速するでしょう。また、AIはあらゆるビジネスを変えてしまう可能性が大いにあります。仮想通貨にしても同様です。
実際中国では、すでにキャッシュレス社会が進み、現金を持つ必要性がなくなってきています。顔認証で買い物ができるサービスも登場しており、手ぶらで買い物も近い将来珍しくなくなるでしょう。
このように時代は今大きく変化しているのです。
しかし、日本はこの変化の波に少々遅れをとっている傾向があります。その影響もあってか、多くの経営者はまだこの変化の波を自分ごとの様には捕らえられていない方が多いようです。
もし「ウチみたいな会社には関係ないよ」と考えている方がいれば非常に危険です。社会が変われば常識が変わります。企業経営は利益を生み出す必要がありますから、この変化に対応せざるおえないのです。

攻めの経営とは?

では、企業経営において今後行わなければならないことは何か?
それは「攻め」と「守り」をバランスよく行うことです。
どちらが欠けてもダメでこれらは表裏一体です。
チャレンジとリスクマネジメントと言い換えることもできるかもしれません。
では、まず「攻め」の経営についてです
コチラは比較的イメージしやすいかと思います。
攻めの経営とは、これまで行ってこなかったような手段や業態にチャレンジすることです。
変化の激しい時代に現状維持は非常に危険で、現状維持を行うためには常に前進する必要があります。
近年、日本の大手企業の倒産や海外企業により買収がニュースになっておりますが、あれらの多くの原因は「攻め」の経営を行わなかったことにあります。
変化に取り残されたからこそ、業績不振に陥り、場合によっては企業ブランドを損なわない為に隠蔽などの誤った選択がされてしまっております。
そうならない為に、「攻め」の発想は非常に重要です。
例えば、これまで行ってこなかった集客手法や営業手法を取り入れてみたり、設備投資をしたり、自社だからできる新たな業種業態にチャレンジするなどは攻めの経営と言えます。
攻めの経営を行う為には、安定した基礎が必要です。
なせなら、チャレンジには当然お金や人員が必要です。経営が全く安定しないまま新たなチャレンジをすれば、結果がどうなるかは明白です。
つまり、攻めの経営を行う前に、投資原資の確保や組織作りなどが必須になるのです。これらは「守りの経営」にも繋がります。

守りの経営とは?

次に「守り」の経営についてです。
守りの経営は想定されるリスクをあらかじめ想定し、事前に対処する事を意味しています。
攻めの経営の解説でもあったように、キャッシュの確保や組織体制は守りの経営で非常に重要な事柄と言えます。
しかし、どちらかと言えば守りの経営は苦手という経営者が日本には多い傾向があるようです。
おそらくそれは今経営を行っている多くの方が成長期を経験しているからでしょう。成長期とは需要と供給のバランスでいえば、需要が多い時期です。
つまり、極端な言い方をすれば集客する事さえできれば業績を伸ばすことができる時期なのです。
しかし、業界の調子が良いと分かれば多くの企業が同様のビジネスを提供し始めますから、価格競争がおき、最後には供給過多となり成長期は終了します。
成熟期に入れば生き残りをかけ、独自固有の強みを磨き、顧客から選ばれる商品・サービスを提供しなければなりません。
少し話が逸れましたが、現在は多くの業界が成熟期に入っておりますが、どうしても成長期のイメージを捨てきれていな場合が多いようです。
成熟期の経営のポイントは、「攻め」と「守り」のバランスです。
そして守りの経営とはリスクマネジメントに意識を向けることとも言えます。
リスクマネジメントはすぐに機能するものではない為、継続性が必須です。
具体的な方法としては、リスクマネジメントを行う専門の部署やチームを作ることです。そしてその専門部隊に経営陣も入る、もしくは意識決定には必ず携わることです。
これにより会社全体にリスクに対する意識が芽生えます。
しかし、これだけでは不十分で、リスクへの対応はスピードが命です。
つまり、現場で起きた問題はすぐに対応する必要がある為、現場で決定権を持つリスクマネージャーをおくべきです。これより、大事になる前にスピード対応することができます。
特に、攻めの経営を行う場合はチャレンジする分リスクは当然大きくなりますから、これらの準備も合わせて行っておかなければなりません。
また、リスクマネジメント委員会も有効な手段でしょう。
先程までのリスクマネジメントは実際に起きた問題に焦点を当てていますが、リスクマネジメント委員会はこれから起こり得るリスクを検討する事で事前に回避する為にあります。
例えば、経営者の突然死や取引先に損害を出してしまった場合の対応、退職金の規定などあげ出せばキリがないほどリスクは存在しています。
しかしリスクは実際に起こってから対応していては、スピードが遅い場合がほとんで、あらかじめの前準備が欠かせません。
これらの守りの基礎があった上で、最も重要なことは従業員一人一人の心がけです。
人間は忘れる生き物です。注意しろと言われたときはできていても、時間が経てば注意は薄れて行くものです。
ですから、リスクに対する意識が薄れない為にも、定期的にかい技で議題あげたり研修を行うことが必要になります。
これらを継続することで守りの経営を浸透させることができます。

最後に、これまでお読みいただいてご理解いただけたと思いますが、
「攻めの経営」と「守りの経営」は表裏一体です。
どちらもお互いに作用し合う関係性のため、どちらがかけても上手く回すことはできません。
新しいチャレンジを行うときは、そのチャレンジがもたらすリスクをあらかじめ検討した上で判断しなければなりません。
「攻め」と「守り」の経営バランスがうまく機能するポイントを見つけられれば、変化の激しい今の時代の中でも業績を伸ばすことができるでしょう。